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2011年7月例会
・教育講演
「モダンゲノミクスの成果と展望−如何に使いこなすか?-」

・緊急特別講演
「東日本大震災の経験-震災後の対応と被災状況」

・トピックス
「動物実験を取り巻く最近の情勢」

・企業・製品紹介

・一般講演
1. スンクスの脳におけるGnRH2ニューロンの局在

2. マウス副腎重量とX層の形態

3. ICRマウスの特徴を有するヘアレスマウスに関する基礎的研究

4. 動物実験における動物の安楽死について −生命尊厳のための最後の動物福祉−

5. 化学発癌モデルで解ること解らないこと・遺伝子改変発癌モデルで解ること解らないこと

6. セラミド細胞内選別輸送タンパク質 (Ceramide transfer protein; CERT)はマウス個体発生に必須である

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・教育講演
「モダンゲノミクスの成果と展望−如何に使いこなすか?-」
 

北村 浩 先生(名古屋市立大学大学院医学研究科 病態モデル医学分野 准教授)

 ゲノミクスは大量の遺伝子情報を俯瞰することで、真理を見出す典型的なEvidence-driven study(証拠主導型研究)である。先入観なく集めた幅広いデータを対象にすることから、客観的で信頼性の高いアウトプットを導き出し、また思わぬ発見に繋がることも多い。この10数年DNAマイクロアレイを用いたトランスクリプトミクスや質量分析計を用いたプロテオミクスは、様々な難治性疾患の原因遺伝子や診断マーカー分子群の同定に繋がった。実験動物学の領域においても疾患モデル動物の病態評価や遺伝子改変動物の表現型解析にゲノミクスの手法は必須の手法となっている。この教育講演ではまずゲノミクスとはどういった学問・考え方なのかを御紹介したいと考えている。
 ゲノミクスは大量のデータを生み出す。私は長年の様々な研究者との共同研究において成功例の裏で、大量のデータを前にただ呆然と立ち尽くす失敗例も数多く目の当たりにした。うまくゲノミクスの技術を活用し、利用するには、個々」のアプローチの特徴を充分に理解する必要がある。そこで教育講演の中ではゲノムデータと上手に付き合っていくための研究デザインのコツも御紹介できればと考えている。
 最後に、近年次世代シーケンサーやマイクロ流路系に代表される新たな解析ツールが実用化され、ゲノミクスも新たな局面に移行しつつある。そこでこれら最新の技術を紹介しながら、今後ゲノミクスがどういった方向に向かうのか?実験動物分野にどういう影響をもたらし、どう共存すべきなのかを考えていきたい。

最近の主な文献)
Nat. Immunol. 12(5), 450-459, 2011; Immunity 33(19), 71-83, 2010;
Sci. Transl. Med. 2(17), 17ra9; Nat. Cell Biol., 11, 1427-1432, 2009;
Nat. Immunol., 10(8), 872-879, 2009; J. Exp. Med., 205(8), 1807-1817, 2008,
Physiol. Genomics 33(1), 121-132, 2008

URL: http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/animal.dir/animalweb/dcem/index_ncu.html

e-mail: ktmr@med.nagoya-cu.ac.jp

 

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