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2009年9月例会
一般講演

1. DXA法による実験動物の大腿骨測定

2. ラット胸腺過形成、胸腺腫、腎欠損および腎水腫の診断における画像解析の有用性

3. 動物実験施設への動物搬入に伴う検疫時におきたStaphylococcus xylosusによる病変

4. Survival of Common Marmoset (Callithrix jacchus jacchus)

5. 老化促進モデルマウスSAMP1系統における被毛と皮膚の加齢変化

6. 遺伝子改変技術を用いて作成した新たな癌悪液質モデルマウスの解析

7. セラミド細胞内選別輸送タンパク質 (Ceramide transfer protein; CERT)欠損マウスの作製


5. 老化促進モデルマウスSAMP1系統における被毛と皮膚の加齢変化
 

佐倉正明1,2、神谷江美1、千葉陽一2、細川昌則2
1ホーユー株式会社、2愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所)

〔目的〕皮膚と毛髪の老化は男女を問わず大きな悩みの1つであるが、それらを研究する適当なモデルが少ないのが現状である。老化促進モデルマウスの1系統SAMP1系統は、加齢に伴い被毛の光沢の減少、毛の粗造化、脱毛、眼周囲病変などを示すことが知られている。しかし、これらの被毛と皮膚の老化兆候について詳細な組織学的検討はほとんどなされていない。今回我々は、被毛と皮膚の加齢変化を形態学的に検索した。

〔材料と方法〕コンベンショナル条件下で飼育したSAMP1系統(12〜70週齢)、ならびに対照のSAMR1 系統(12〜108週齢)雄マウスを用いた。マウスは頚椎脱臼で屠殺し、背部の被毛を一定面積バリカンで刈り取り、重量を測定した。次に、刈った部位の皮膚を切除し、画像解析装置により面積を測定し、単位面積当たりの被毛重量を求めた。重量を測定した被毛については、約150本を任意に選んでスライドに貼り付け、毛根側断端から0.2mm長の平均毛径を計測した。採取皮膚は1週間室温にて10%リン酸緩衝ホルマリンで固定を行い、その後、パラフィン包埋し、6μmで薄切した標本をヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色を行い観察した。

〔結果と考察〕背部の被毛重量は、SAMP1系統では56週齢まで増加し、70週齢で約30%減少した。一方、SAMR1系統では108週齢まで有意な加齢変化は認められなかった。毛径は両系統共に加齢に伴う変化は認められなかった。SAMP1マウスの70週齢で認められた毛重量の減少は、被毛数の減少によると考えられる。皮膚組織を

観察した結果、SAMP1マウスの70週齢では、表皮と真皮の扁平化、マスト細胞などの炎症性細胞の増加などが認められた。今後、皮膚と被毛の加齢変化について詳細な検討を進める。

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