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2009年9月例会
一般講演

1. DXA法による実験動物の大腿骨測定

2. ラット胸腺過形成、胸腺腫、腎欠損および腎水腫の診断における画像解析の有用性

3. 動物実験施設への動物搬入に伴う検疫時におきたStaphylococcus xylosusによる病変

4. Survival of Common Marmoset (Callithrix jacchus jacchus)

5. 老化促進モデルマウスSAMP1系統における被毛と皮膚の加齢変化

6. 遺伝子改変技術を用いて作成した新たな癌悪液質モデルマウスの解析

7. セラミド細胞内選別輸送タンパク質 (Ceramide transfer protein; CERT)欠損マウスの作製


1. DXA法による実験動物の大腿骨測定
 

辻尾 祐志1・田中 愼1・齋藤 亮一21国立長寿医療センター 加齢動物育成室・2日本クレア)

 先に、F344/Nラットの下顎骨解析で報告したように、dual x-ray absorptiometry (DXA)法は2つの異なるエネルギーのX線を利用した骨塩定量法であり、非侵襲性である簡便さや被曝線量が低いことから診療や研究において広く用いられている。しかし、in situで計測された骨とさらし骨標本の骨塩量にどの程度の差があるのかは知られておらず、そこに着目した基礎的研究は皆無である。そこで我々は動物実験の利点を生かし、in situからさらし骨標本に至るまで同一個体における骨塩量を計測し、その変遷について検討した。
 供試動物には当センターAging Farmにて加齢育成中に自然死した約12月齢の雄のC57BL/6CrSlcマウスを用いた。右大腿骨の骨塩量測定はすべてアロカ株式会社製DCS600EX-VRで行った。測定条件は、
1) in situのDXA、
2) 股関節から外した状態のDXA、
3) 大腿骨周囲に付着する皮膚および筋肉を除去した状態のDXA、
4) さらし骨標本のsingle x-ray absorptiometry (SXA)、
とした。結果として、大腿骨の骨塩量はin situで計測された数値が最も大きくさらし骨とした場合が最も小さくなった。in situの骨塩量と比較した時、骨周囲組織を除去した状態とさらし骨において有意な低値を示した(p<0.01)。以上のことから、DXAによる骨塩定量は骨周囲の軟部組織の影響を受けることが明らかとなった。また、in situとさらし骨の骨塩量間にはかなりの乖離が存在することを研究者は留意しておかねばならないことが提唱された。

Keywards: BMC, BMR, DXA, Species difference.

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