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2013年7月例会
・講演
「実験動物の系統差を用いた疾患感受性遺伝子同定の試み」

「動物実験を取り巻く最近の情勢」

・一般講演
1. ミニブタ3系統の大腿骨

2. 適切な疾患モデル動物に関する考察 ―多発性嚢胞腎症モデル動物を例としてー

3. コモンマーモセットの生存性

4. Wntシグナル活性化が胃上皮細胞および胃癌細胞に及ぼす影響

5. 動物福祉に配慮した加齢・老化モデル動物の飼育環境のあり方について−国立長寿医療研究センター新実験動物施設棟の紹介−

6. ob/obマウスの2型糖尿病進行に対するプロポリスの抑制効果 -腸管膜脂肪組織における免疫細胞の役割-

7. 遺伝子改変肺がんモデルマウスと系統差を用いた発癌感受性関連遺伝子探索システムの作製と解析

8. ピューラックスによる浸漬消毒についての検討


ピューラックスによる浸漬消毒についての検討
 

羽根田 千江美、長尾 静子
藤田保健衛生大学 疾患モデル教育研究センター

【目的】飼育器材の消毒として、消毒液に浸漬させる方法の効果について確認した

【方法】専用の容器に、以下の条件に設定したピューラックス使用液を用意した。飼育器材は洗浄機で洗浄し、使用液に10分浸漬させた後乾燥棚にて自然乾燥させた。
1) ピューラックスを300倍希釈した使用液(未使用)
2) 1)を2日間使用した後の使用液
3) 1)にフンや使用済みチップを混入させ、汚染させた使用液
1.飼育器材の微生物検査(消毒効果の確認)
@使用済みケージを通常の洗浄方法で洗浄した後、スタンプ培地でスタンプし、37℃で24時間培養後付着細菌を検査する
A各消毒薬に10分浸漬し通常の方法で乾燥させ、翌日スタンプ培地でスタンプし、@と同様に付着細菌を検査する
2.浸漬用消毒薬の微生物検査
@消毒薬を更新した直後の液を採取し、使用液および使用液の10倍希釈液を作成する
A2日間使用した使用液、フンなどで汚染させた使用液を採取し、使用液および使用液の10倍希釈液、100倍希釈液を作成する
B普通平板寒天を用い、それぞれの溶液を培地に0.1ml乗せ均等に塗布し、37℃で48時間培養後、発生した細菌集落数を算定する

【検査結果】
1.飼育器材の微生物検査(消毒効果の確認)
はじめに通常の洗浄による清浄度を確認したところ、洗浄直後のケージは細菌が付着していた。乾燥室で1日乾燥した後のケージにも細菌が残っており、通常のケージ洗浄だけでは洗浄効果が十分であるとは言えないことがわかった。
1)洗浄直後のケージは細菌で汚染されていたが、消毒薬に10分浸漬した後のケージでは菌の繁殖が見られず、浸漬することで消毒効果が得られることが確認できた。
2)2日間使用した消毒薬での効果を確認したところ、消毒効果は変わらなかった。
3)細菌で汚染されていないケージをフン等で汚染された消毒薬に浸漬したが、消毒効果が確認できた。
2.浸漬用消毒薬の微生物検査
 いずれの場合も細菌の繁殖は見られず、消毒効果が劣化していないことが確認できた。

【結論】通常の洗浄作業後のピューラックスによる消毒は、10分浸漬するだけでケージ等の飼育器材に十分な効果があることが認められた。
また、2日間使用した後やフンなどが混入した場合も消毒効果は劣化せず、汚染の機会にならないことが確認できた。