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2013年7月例会
・講演
「実験動物の系統差を用いた疾患感受性遺伝子同定の試み」

「動物実験を取り巻く最近の情勢」

・一般講演
1. ミニブタ3系統の大腿骨

2. 適切な疾患モデル動物に関する考察 ―多発性嚢胞腎症モデル動物を例としてー

3. コモンマーモセットの生存性

4. Wntシグナル活性化が胃上皮細胞および胃癌細胞に及ぼす影響

5. 動物福祉に配慮した加齢・老化モデル動物の飼育環境のあり方について−国立長寿医療研究センター新実験動物施設棟の紹介−

6. ob/obマウスの2型糖尿病進行に対するプロポリスの抑制効果 -腸管膜脂肪組織における免疫細胞の役割-

7. 遺伝子改変肺がんモデルマウスと系統差を用いた発癌感受性関連遺伝子探索システムの作製と解析

8. ピューラックスによる浸漬消毒についての検討


動物福祉に配慮した加齢・老化モデル動物の飼育環境のあり方について
−国立長寿医療研究センター新実験動物施設棟の紹介−
 

◯小木曽昇、尾前哲也、六車香織、燒聡美
(独)国立長寿医療研究センター研究所実験動物管理室)、(株)ケー・エー・シー

 長寿科学や老年学・老年医学に関する総合的・中核的な国立の研究機関である国立長寿医療研究センター(長寿研と略す)の新実験動物施設棟が昨年9月に完成した。長寿研は、老化のメカニズムや認知症(アルツハイマー病含む)、骨粗鬆症、口腔歯科疾患等の研究に用いる加齢・老化モデル動物を長期飼育している理由から、適正な飼育環境の下で管理を行う必要があり新棟の建設に至った。
 新棟は、延べ床面積1,725 m2 の2階建ての建物であり、一般飼育室11部屋(マウス飼育室9部屋、ラット飼育室2部屋)、実験用飼育室3部屋、行動実験を含む実験室4部屋、感染実験室(P2, P3)各1部屋、検疫検査室1室、胚操作実験室1室で構成されている。なお各階の天井裏にはISS(INTERSTITIAL SPACE)が設けられ、一般飼育室および実験用飼育室においてはマウス約4,000ケージ、ラット約500ケージが収容可能である。
 飼育室および実験室には、可視光応答型光触媒(二酸化チタン)コーティングを行った。本コーティングは消毒薬による一過性な作用だけでなく、継続的な抗菌・脱臭作用を維持することができるため、人のアレルギー対策等の一役になることが期待される。また一般動物飼育室の飼育設備として、一方向気流ラックに自動フラッシング装置を装備した自動給水システムを導入した。空調機器等の設備については省エネルギー化を目的とした空調機器給排気のCAV (Constant Air Volume)導入によって風量調整を行っている。入室者作業時と不在時での飼育室照明の照度コントロールは、人感センサーにより自動で制御されている。一方、検疫検査室および胚操作実験室は、飼育室と実験室が同室であるだけでなく、飼育室の空調とは別に一般空調となっていることから、温度や湿度の制御の対応で苦慮している。
 本発表では、加齢・老化モデル動物を適正に飼育管理を行うための設備機器等を中心に紹介するとともに今後の施設建設のあり方について解説する。