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2013年7月例会 ・一般講演 2. 適切な疾患モデル動物に関する考察 ―多発性嚢胞腎症モデル動物を例としてー 4. Wntシグナル活性化が胃上皮細胞および胃癌細胞に及ぼす影響 5. 動物福祉に配慮した加齢・老化モデル動物の飼育環境のあり方について−国立長寿医療研究センター新実験動物施設棟の紹介− 6. ob/obマウスの2型糖尿病進行に対するプロポリスの抑制効果 -腸管膜脂肪組織における免疫細胞の役割- 7. 遺伝子改変肺がんモデルマウスと系統差を用いた発癌感受性関連遺伝子探索システムの作製と解析 |
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ob/obマウスの2型糖尿病進行に対するプロポリスの抑制効果 -腸管膜脂肪組織における免疫細胞の役割- |
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北村 浩1、直江吉則2、木村俊介3、宮本智美1、三好一郎1 ミツバチ産品であるプロポリスは人類の長い歴史の中で、古くから民間療法に用いられてきた。抗炎症効果や抗がん効果、抗酸化効果と効能は多岐にわたるが、近年、主にラットを用いた検討で、2型糖尿病に対する抑制効果も知られるようになった。しかしながら現在のところその詳細な細胞・分子メカニズムは不明である。一方、2型糖尿病の発症・進行に脂肪組織における軽度の炎症反応が関わっていることが相次いで報告されており、糖尿病学における最大のトピックの一つとなっている。そこで我々はプロポリスによる抗糖尿病効果において、脂肪組織内の免疫細胞が一定の役割を果たしているのではないか?と考え検討してきた。自然発症肥満モデルマウスであるob/obマウスにブラジル産プロポリスエタノール抽出液を週二回100 mg/kg腹腔内投与し続けると、体重、摂食量は殆ど変化が見られなかったが、投与開始12週目の血糖値の有意な減少がみられた。また、糖負荷試験、インスリン負荷試験で評価した耐糖能、インスリン感受性にも大きな改善がみられた。このとき腰部の皮下脂肪組織、生殖器周囲脂肪組織、腸間膜脂肪組織の重量を測定したところ、腸間膜脂肪組織のみ有意な減少がみられた。そこで腸間膜脂肪組織より間質画分を調製しFACS解析および免疫組織化学的解析行い、免疫細胞集団をプロファイリングした。プロポリス投与群は特に好酸球の増加が顕著であった。また炎症反応を進めるM1マクロファージの減少が認められた。次に遺伝子発現をqRT-PCR法で確認したところ、FACS解析や組織学的所見と一致して、M1マクロファージマーカーであるItgaxやIl12bの減少が確認されたが、炎症を抑えるM2マクロファージマーカー遺伝子の発現は増減様々であった。一方腸管膜脂肪組織間質画分のマイクロアレイ解析を行い、バイオインフォマティクス的手法で解析したところ、プロポリス投与により増加する遺伝子には糖尿病病態や炎症反応と関わりのある集団は見いだせなかったが、減少する遺伝子群には統計学的有意に免疫反応や炎症反応に関わる集団が見いだせた。また、発現減少する遺伝子の中にはCd36やMmp12といった粥状動脈硬化症に関わるマクロファージ発現分子も含まれていた。以上のことからプロポリスが腸管膜脂肪組織の好酸球やマクロファージの機能を変化させ2型糖尿病の進行を抑える可能性が示唆された。 参考文献: Kitamura H, Naoe Y, Kimura S et al. Adipocyte, in press.
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