病院薬剤部

概要案内

薬剤部の役割

名古屋市立大学病院は、病床数約800床・職員数1000人以上・年間経費が約185億円(平成21年度)に達する総合病院です。うち医薬品材料費は約68億円(37%)を占めています。現在の医療において、医薬品を使用しない治療というものは存在しないと言ってもよいでしょう。

このように重要な医薬品の専門家である薬剤師が集まっている薬剤部の業務は、最近の医療の高度化およびチーム医療の広がりと共に非常に多様化しています。

従来の「調剤」はもちろんのこと、入院患者への医薬品の説明や副作用モニタリングを行う「薬剤管理指導」、感染制御チーム・緩和ケアチームなどの「医療チームへの参加」、適正な薬物療法の実施による治療効果の向上を目的とした「医薬品情報の提供」など、多くの重要な業務があります(詳しくは「業務体制」および「業務紹介」をご覧ください)。

薬剤師は、個々の患者にとって最適な薬物療法が安全に実施されるために、必要とされる場で薬剤師の職能を生かした業務を行い積極的に他部門と協力・連携しています。

名市大薬剤部の強み

抗がん剤治療に対する安全性確保のための取り組み

日本人の2人に1人ががんになると言われるように、がんは「国民病」ともいえる病気です。そのがんに対する薬(抗がん剤)はがん治療の大きな柱です。当院では抗がん剤、輸液、支持療法の薬剤などすべての薬剤の投与を時系列的に網羅した治療スケジュール(レジメン)の作成・登録はもちろん、レジメンの妥当性を評価、承認し、登録する委員会を設置しています。さらに、電子カルテシステムを最大限活用してレジメンごとのオーダリングを可能としており、オーダ時の過誤防止に取り組んでいます。また抗がん剤調製に関しては、「アイソレーター®(ケモシールド)」および「抗がん剤自動調製装置(サイトケア®)」を使用した薬剤師による調製を実現しています。

業務体制

調剤係
医師が処方した処方せんについて、飲み方や投与量,薬の飲み合わせなどをチェックした後に薬を正しくつくり、患者さんに対して飲み方の説明や注意点を行ってお薬を渡しています。
薬務係
院内で使用する医薬品の選定・院内での使用数の集計・問屋への発注・確認後の購入・医薬品ごとの品質管理などを行っています。コンピュータによる数量管理を実施しています。
製剤室
先進医療に用いる薬剤や採算性のない薬剤などは市販されていないものがあります。こうした特殊な薬剤を薬剤師の専門的知識を生かして安全かつ効果を保った状態で作っています。
医薬品情報係
適正な薬物療法の実施による治療効果の向上を目的として、病院の医療スタッフ(医師・薬剤師・看護師・コメディカル等)はもとより、患者さんに対しても医薬品情報を提供しています。そのために医薬品に関する情報の収集および整理も行っています。
医療用麻薬
麻薬及び向精神薬取締法で厳格に定められている医療用麻薬について、適切に管理をしています。
抗がん剤使用の管理
使用法を誤ると重大な副作用が予想される抗がん剤について、投与スケジュール(レジメン)の管理・医師の処方の登録・抗がん剤の正確で安全な調製などを行っています。
薬物血中濃度モニタリング
薬を使用している患者さんの血液をとり、その中の薬の量を調べて使用している量が適切かどうか確認し、投与量の変更について医師と意見交換を行います。
薬剤管理指導
薬剤師が入院患者さんの所へ行って薬の説明や副作用・相互作用のモニタリングなどを行っています。
持参薬管理
患者さんが入院時に持ってみえる「現在飲んでいる薬」について内容や飲んでいる状況の確認を行い、入院中の問題点を確認し、医師と意見交換を行います。

詳細は[業務紹介]の各項をご覧ください。

人材育成

薬学部5年生の長期実務実習については、本年度は1期あたり12名(年間計36名)を受け入れ予定です。また早期体験については、薬学生のみならず、医学生・看護学生の受け入れも行っています。また、医学生については、医学部5年生の臨床実習(BSL)も今年度から開始されています。さらに薬学生の卒業研究も数名実施中です。

詳細は[人材育成]、[学生実習]をご覧ください。

地域・社会貢献

  • 糖尿病教室・腎臓病教室などの慢性疾患に対して病院内で定期的に開催される「糖尿病教室・グループ指導」や「腎臓病教室・相談会」などに積極的に参加して患者教育へ取り組んでいます。
  • 地域保険薬局との定期的な連絡会を開催し、病院の薬剤師と地域の薬剤師との連携を図っています。
  • 東日本大震災に対して、当院からは3/21-4/15までの期間で、計5回の医療チームが仙台市宮城野区の避難所で救護活動を行いました(1チーム5日間、活動日数3日+往復各1日、医師1名、薬剤師1名含む)。

薬剤部の理念

大学病院の薬剤師としての職能を十分に発揮し、高度先進医療に貢献する。

薬剤部の基本方針(目標)

  1. 臨床現場における薬剤師業務を充実し、チーム医療の一員として責任ある行動をとる。
  2. 薬剤部内の業務を見直し、効率的な運営に務める。
  3. 薬学研究、薬学・医療教育に参画し、質の高い医療人の育成を目指す。
  4. 薬剤部内でのコミュニケーションを十分に取り、相手を思いやれる職場を作る。
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