病院薬剤部

人材育成

新人教育・キャリアアップ

1年目

1年目の目標は、大学病院の薬剤師としての基礎的な業務を一通り自分のものとすることです。具体的には初めに行われる病院全体のオリエンテーション(3日間)に続き、調剤、化療などの各部門を半年間でローテーションし、調剤や調製、鑑査の基本、窓口業務や電話対応、電子カルテの使い方、などを実際の業務の中で順次学んでいきます(図1)。

この期間は3~5年目ぐらいの薬剤師がメンター薬剤師として指導・相談役に就きます。実際に必要となる業務を項目ごとに細分化した「名市大病院薬剤部 新人教育プログラム 業務確認表」を用いて本人とメンター薬剤師の双方で確認し、業務理解の漏れがないように工夫しています。また専門性の高い業務(感染制御・緩和・栄養サポートチームなど)についても、順次オリエンテーションを行い、この段階で理解しておくべき内容を学ぶことができます。

半年後、各部署に配属され、他の職員と同じローテーションで業務を進めていきます(日当直への参加も始まります)。また病棟についても見学から見習い、実際の業務と順次拡大し、年度途中には病棟専任として各病棟を先輩薬剤師とともに担当します(図2)。

図1.新人教育プログラム スケジュール表
[図1.新人教育プログラム スケジュール表]

図2.病棟業務研修のスケジュールと到達目標
[図2.病棟業務研修のスケジュールと到達目標]

2年目

2年目の目標は、1年目で身につけた大学病院の薬剤師としての基礎的な業務への理解をより深め、完全に自分のものとすることです。

1年目と同様に、「薬剤部内業務+病棟業務」の組み合わせとなりますが、どちらの業務についても自立した業務遂行が求められます。また大学病院薬剤部の業務以外の使命である研究・教育に関しての関与を深めるために、実務実習生の病棟実習を担当します(当院はマンツーマン性の病棟実習を実施しています)。また、各種研修会への参加や学会での発表を積極的に奨励し、自己研鑽に励んでいただきます(学会発表については、学位を持った薬剤師や専門薬剤師などが適宜指導します)。

3~5年目

3~5年目の目標は、これまで身につけた基礎をもとに、大学病院で求められる薬剤師としての専門性を追求することです。

具体的には、個人差もありますが3年目ぐらいから、本人の意向と組織的な必要度を考えながら、専門的な分野を担当してもらいます。

  • 薬剤部内業務の例)DI、麻薬、製剤など
  • チーム活動の例)ICT・NST・PCTなど

学位取得希望に対しては、医学部と薬学部の教授を兼任している薬剤部長が中心となり、責任をもって研究室の紹介や論文投稿・英訳などのサポートを行っています。一方で、本院では薬剤師としての専門性も重視しており、認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得に対しても研修会参加や症例数確保のための積極的なサポートを行っています。

また先述の通り、このころメンター薬剤師として新規職員の指導を担当します。

6~9年目

6~9年目の目標は、専門性の追求に加えて、マネジメント能力の向上が重要となります。具体的にはただ与えられた業務をこなすだけでなく、他との連携・調整を恒常的に実施していく役割も順次学んでいただきます。係長との緊密な連携が前提ですが、他部署との交渉なども裁量を与えて任せていきますので、必然的にコミュニケーション能力やマネジメント能力の向上が必要となります。業務の改善や教育についても、PDCAサイクルの活用などを積極的に意識し、係の中心として対応していただきます。

専門性については、習得したスキル、取得した資格について更新に努めながら、後進の育成を行い、更なるスキルアップを目指していきます。

10年目以降

10年目以降は、専門性、後進の育成、組織運営のマネジメントをバランスよく向上させることはもちろん、社会の動向や病院全体のミッションも常に意識して大学病院の薬剤師としての役割を果たすことが目標となります。

具体的には管理職としての組織運営などに携わることとなります。

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