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眼の病気
糖尿病網膜症
加齢黄斑変性症
網膜静脈閉塞症
黄斑円孔
黄斑上膜




臨床研究
1. 網脈絡膜疾患
   現在、本邦の社会的失明(視力0.1以下)の二大原因疾患は、糖尿病網膜症と加齢黄斑変性であり、両疾患は小椋教授の臨床における専門分野の一つである。糖尿病網膜症の治療の第一は、内科医との密接な連携のもとに行われる血糖コントロールであるが、病期に応じてはレーザ光凝固を行い、さらに進行して増殖性糖病網膜症に至った症例、遷延する硝子体出血、レーザー治療の効果が十分でない黄斑浮腫などに対しては、時期を逸せずに硝子体手術を行っている。

   糖尿病網膜症の
 眼底写真

   加齢黄斑変性症は、従来、レーザー光凝固以外に有効な治療方法がない疾患とされてきた。このように従来は、少なからず手をこまねいて診療していた加齢黄斑変性症に対して、放射線療法、TTT(経瞳孔温熱療法)、PDT(光線力学的療法)を順次導入した。PDTというのは光によって活性化される特殊な薬剤(光感受性物質)を全身投与し、その後に患部に光を照射して光感受性物質を活性化させることにより、患部のみに効率よく薬剤の効果を発現させる手法である。海外ではすでに多数例の実績があり、有望な治療法として日本への導入が待たれていた。名古屋市立大学では中部地方で最初にPDTを導入している。

   加齢黄斑変性症の
 眼底写真

   黄斑円孔、黄斑前膜、増殖性硝子体網膜症などに対する硝子体手術も、最新の手法を取り入れ、小椋教授を中心に積極的に行っている。手術成績においても、統計学的な解析で非常に良好な結果を得ている。

2. 眼先天異常
   馬嶋前教授と白井前助教授が中心として行っていた眼先天異常の診断と治療は、基礎的な研究とともに引き続き行われている。眼先天異常は稀な疾患ではあるが、全国から当院へ来院する多数の症例に基づいて、従来明らかにされていなかった種々の眼先天異常の成立過程を解明し、これらの疾患の診療に反映させている。

3. 未熟児網膜症
   馬嶋前教授の専門のひとつであった未熟児網膜症の診断と治療の研究も引き続き行われている。なかでも、馬嶋前教授が製造から携わった単眼レーザー光凝固装置は、従来からの他の光凝固装置に比較して操作性に優れ十分な治療成績も挙げている。


実験研究
1. 網脈絡膜循環の研究
   細胞核を染色する蛍光色素のアクリジンオレンジと走査型レーザー検眼鏡を用いて、網膜微小血管内の白血球を非侵襲的にin vivoで観察する手法を開発した。ヒトの糖尿病網膜症、インターフェロン網膜症、自己免疫性ぶどう膜炎、高脂血症など種々の疾患の実験モデルをラットで作製し、前述の手法を応用して、これらの疾患における網膜微小血管内の白血球の動態、白血球と網膜血管内皮細胞間の相互作用を観察して、これらの疾患の病態を検討している。現在我々は、アクリジンオレンジ蛍光眼底造影の手法を応用して、高脂血症モデル、虚血再灌流障害モデル、種々のノックアウト、トランスジェニックマウスにおける白血球の循環速度、rolling、adhesion、trappingなどの現象を定量的に評価し、正常群と比較することにより、その白血球動態、白血球-血管内皮の相互作用等を検討している。また、自然発生糖尿病ラット、虚血・再潅流モデルラットの網膜血管における各種接着因子の発現についても免疫組織学的にも検討し、糖尿病網膜症、虚血・再潅流時網膜障害の発症機序の解明を目指している。

2. 網膜・硝子体ドラッグデリバリーシステムの開発
   薬剤を全身投与しても眼球とくに網膜・硝子体へは移行が悪く、硝子体内に直接注射しても、薬剤の代謝が早く有効濃度の維持は困難である。さらに注射を繰り返すことは、患者さんの負担も小さくなく、感染や眼内出血の危険があるため、理想的な投与法とは言いがたい。そこで我々は、生体分解性高分子(ポリ乳酸、ポリグリコール酸ポリマー)から作製したマイクロスフェアーやサブミクロン粒子のナノスフェアーに各種薬剤を含有させて、硝子体内へ投与することで、持続的に有効濃度を保つ網膜・硝子体薬剤投与法を開発した。さらに、これら生体分解性高分子を用いて薬剤含有強膜プラグを作製し、中間透光体の混濁も全く起こさず薬剤徐放システムを開発した。近い将来的に、5-FUなどの代謝拮抗剤を含有させて、増殖性硝子体網膜症の発生予防や治療、抗真菌剤や抗ウィルス剤を含有させて、真菌性眼内炎やサイトメガロウィルス網膜炎の予防や治療への臨床応用を目指している。

3. 眼先天異常の実験奇形学的研究
   ヒトの眼先天異常は症例数が少ないため、器官形成期の妊娠マウスに催奇形物質であるochratoxin A、レチノイン酸、エタノ-ルなどを投与し、その胎仔に効率よく種々の眼先天異常を成立させて、その成立過程を組織学的・組織化学的に検討し、眼先天異常の成立機序や臨界期を解明し、ヒトの眼先天異常と比較検討して、最終的には、ヒト眼先天異常の成立機序を解明し、その発生を予防することを目指している。


最後に・・・
名市大眼科は教授以下、全員が若々しく、真摯かつ誠実に臨床、教育、研究に取り組んでいます。
私どもの教室を訪れてくれる皆様の若い力に期待しています。