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活動レポート

ICS2017

[文責]:前田 琴美 (病院薬剤学 大学院博士課程1年)[公開日]2017年11月1日

2017年9月12日~15日にイタリア・フローレンスのバッソ要塞で開催されたInternational Continence Society(ICS、国際禁制学会)に参加致しました。ICSは年1回開催されており、国内外から下部尿路機能障害、女性泌尿器疾患、排便障害等を扱う専門家約2,000名が一堂に会する学会です。

今回、私はThe relationship between kynurenine pathway in bladder and hemorrhagic cystitis induced by cyclophosphamide (膀胱におけるキヌレニン経路とシクロホスファミド誘発性出血性膀胱炎との関連) というテーマで、short oral sessionで発表致しました。必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンは体内でキヌレニンへと代謝されます。この代謝経路はキヌレニン経路と呼ばれ、肺や大腸などの組織で炎症時に亢進することが知られております。しかし、膀胱組織中におけるキヌレニン経路の働きについてはいまだ明らかとなっておりません。本研究では、抗がん剤であるシクロホスファミドをラットに投与して膀胱炎を発症させたモデルを用い、膀胱組織中におけるキヌレニン経路の働きを検討しました。その結果、シクロホスファミド誘発性膀胱炎モデルラットの膀胱組織中において、キヌレニン経路が亢進していることを世界ではじめて明らかにしました。また、キヌレニン経路を阻害することで、膀胱炎ラットの頻尿症状が改善することも解明しました。

私が口頭発表を行った会場は今回の学会の中で最も広く、最大収容人数が1,200人のホールでした。たくさんの聴衆を前にするととても緊張しましたが、拙い英語ながらもなんとか発表を終えることができました。座長の先生からご質問を頂きましたが、うまく英語で答えることができず、悔しい思いもしました。

国際学会での発表は初めてであり、また海外渡航自体もとても久しぶりだったため、出国前は期待よりも不安の方が大きい気持ちでおりました。しかし、フローレンスの歴史を感じる街並みを見ると、それだけで気持ちが昂るのを感じました。学会では、世界中から集まった専門家たちが活発に意見を交わしており、強く刺激を受けました。同時に、最新の研究内容を学ぶことで、研究意欲の向上にもつながりました。また、学会の合間にはフローレンスの街並みを散策したり、イタリア料理を堪能したりと、非常に充実した海外渡航となりました。今回の学会参加で得られた経験を今後の成長の糧とし、さらに研究や英語の勉強などに尽力していきたいと思います。


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