患者さんへ

肝炎について

C型肝炎

B型肝炎

ウイルス肝炎には急性肝炎と慢性肝炎があります。日本におけるウイルス肝炎の主な原因としてA型、B型、C型、E型肝炎ウイルスがあります。

A型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物を介して経口感染し、B型、C型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染します。特にB型、C型肝炎ウイルスは、感染すると慢性肝炎から肝硬変に進行します。一部の方では、倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸(皮膚が黄色くなること)などの症状が出ることがありますが、全く症状がないまま進行してしまう場合がありますので、一生に一度はウイルス肝炎検査を行うことが大切です。

かつては、C型肝炎は治療を行っても半数ほどの患者さんしか体内からのウイルス排除ができませんでしたが、最新の治療によりほぼすべてのC型肝炎患者さんでウイルス排除ができるようになりました。また、B型肝炎についても、抗ウイルス薬の治療により病気の進行を防ぐことができます。従って、これらの肝炎ウイルス感染の有無を調べ、感染していることが分かった場合は、専門医療機関を受診して、適切な診断・治療を受けることが大切です。肝炎ウイルス感染の有無については、保健所等で検査を受けることができます。


肝がんについて

肝がん

我が国ではB型、C型肝炎ウイルス感染が原因で起こる肝がんが多数を占めますが、最近では、脂肪肝などのウイルス肝炎以外の原因が増加傾向にあります。

肝がんの治療では早期発見が重要であり、腹部超音波検査やCTなどの画像検査と血液検査で診断します。早期に発見すれば、外科手術や内科的局所治療によって良好な治療効果が期待できます。

当院では、外科手術をはじめ、内科的治療であるラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓療法、全身化学療法、放射線療法など最新の集学的治療を行っています。特にラジオ波焼灼療法や肝動注化学塞栓術の治療症例数は多く、経験が豊富であり、さらに、進行肝細胞癌に対する抗がん剤治療も積極的に行っています。加えて、名古屋市立大学医学部附属西部医療センターと連携して肝がんに対する陽子線治療も積極的に行っています。

また臨床治験等の最先端の治療も提供できるように心がけております。肝がんは再発率が高く治療年数が長くなることが多いため、治療効果を向上させると同時に、 患者さんの病期に応じた適切な治療を提供するように努めています。


肝炎肝がんの研究

当院では、肝炎、肝がんに関する臨床研究に取り組んでいます。

ひとつに、新しい治療薬の開発に関連する治験への参加があります。特にB型肝炎や肝がんに関する国際共同治験を多数行っており、近い将来に医療機関で使用できる新しい治療法の開発に貢献しています。

また、現在すでに承認されている抗がん剤をどのような患者さんに使用すると効果が得られるのか、ならびに抗がん剤の副作用を調査する全国的な臨床研究や、 肝炎の患者さんが社会的な差別や偏見から苦しむことがないようにするため、その実態調査に関する全国調査にも参加しています。

さらにCOVID-19が肝がん診療に与える影響、各種抗がん剤・免疫抑制剤がB型肝炎ウイルス再活性化を起こすリスクに関する研究などの全国多施設共同研究にも参加しています。

加えて、ウイルス肝炎、肝線維化、肝がん治療の予後に関連するバイオマーカー開発などの基礎的な研究も行っています。


地域医療連携

肝疾患の診療においては、かかりつけ医と専門医療機関との連携が重要です。とりわけ、C型肝炎ウイルス排除後の肝発癌に関する定期フォローアップ、非アルコール性脂肪性肝疾患の診療、肝がんの治療などにおいて、かかりつけ医と基幹病院、あるいは基幹病院間の連携が非常に大切になってきています。

名古屋市立大学病院では、かかりつけ医と専門医療機関が、共通の治療計画に沿って相互に診療を進めることができるよう、双方向の情報共有に基づき患者さんの治療を行っています。

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