名古屋市立大学病院は、
平成20年4月に愛知県で初めて肝疾患診療連携拠点病院に指定されました。
肝疾患診療連携拠点病院には、
1.肝疾患診療に係る一般的な医療情報の提供
2.都道府県内の専門医療機関等に関する情報の収集や提供
3.医療従事者や地域住民を対象とした研修会や講演会の開催や
肝疾患に関する相談・支援
4.肝疾患に関する専門医療機関と協議の場の設定 が求められています。
肝疾患センターでは、このような肝疾患診療連携拠点病院としての業務を遂行し、愛知県の肝疾患診療の向上と均てん化に取り組んでまいります。
また、当院1階には、肝疾患相談室を開設し、専任の相談員が患者さんやご家族からのご相談をお受けしております。肝疾患に関してお尋ねになりたい
ことがありましたら、どうぞご利用ください。
治療法の劇的な進歩により、100%近いC型肝炎ウイルス(HCV)の排除が可能となりましたが、HCV排除後の肝発癌が重要な課題となっています。
B型肝炎ウイルス(HBV)についても、核酸アナログ製剤(抗ウイルス薬)の投与によりウイルスの複製、肝炎のコントロールは可能となり、
肝発癌リスクも軽減できるようになりましたが、完全に防ぐことはできません。また、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を背景とした
肝硬変、肝癌が増加しており、世界中で問題となっています。
これらの慢性肝疾患における治療目標は、適切な抗ウイルス療法、NAFLDに
併存する糖尿病、高脂血症、肥満などに対して治療介入することにより、肝硬変・肝癌への進展を予防することにあります。
一方、肝硬変・肝癌へ病態が進展しても、近年、これらに対する薬物治療も進歩しており、QOL(生活の質)、予後の改善が得られています。
当院では、上記を含む様々な肝疾患に対して、大学病院としての専門的な診断・治療を行い、患者様の病態進行の予防、QOL(生活の質)、
予後の改善に努めています。また、地域のかかりつけ医と連携して、患者さんに良質な医療を提供できるように取り組んでいます。
慢性肝炎は自覚症状がないのが特徴でそれゆえに知らない間に肝硬変、肝がんへ進行していることが少なくありません。現在日本人の慢性肝炎の
最大の原因であるC型肝炎の治療法は最近著しく進歩し、早期診断されれば完治も望めるようになってきています。
また、名古屋市立大学病院肝疾患センターでは、C型肝炎以外の肝臓疾患(たとえば最近増加してきている非アルコール性脂肪肝炎など)の治療や
予防法を始め、肝硬変に進行した場合の治療法や肝がんに関する治療や予防法についても様々な情報を提供しています。ぜひ当センターにご相談いただければと思います。
さらに、肝疾患の診療においては、かかりつけ医と専門医との連携が重要です。
当センターでは、患者さんの治療が円滑に行えるように、かかりつけ医や専門医療機関との連携にも積極的に取り組んでいます。