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2011年春例会
企業紹介
「動物実験施設等における脱臭・除菌を目的とした光触媒技術の応用」

講演1
「外科系臨床医の手術手技向上を目指した実験動物の利用 -岐阜大学トレーニングセンターの紹介-」

講演2
「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals第8版について」

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・講演2
Guide for the Care and Use of Laboratory Animals第8版について
 

鈴木 真(沖縄科学技術研究基盤整備機構)

2011年に実験動物資源局(Institute of Laboratory Animal Resources: ILAR)のガイドライン(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals: Guide)が改訂された。1996年に改訂されて以降の改訂であるためか、内容の抜本的な見直しが行われた。まず、第7版では序文として記載されていた内容が、第一章「Key Concepts」として内容を充実することにより4章であった構成が5章になった。また、第7版では「研究所の規範と責任」として第一章を構成した章が、第8版では「動物の飼養と使用に関するプログラム」と改題され、研究機関における動物実験施設の運営に関わるプログラムについて、より詳細に記載されるものとなった。他の三章、「動物の環境、住居および管理」「獣医学的管理」、「施設」については、改題はされていないが、記載内容については同様に詳細なものとなった。

「動物の愛護と管理に関する法律」は2005年に改訂(2006年に施行)されたが、この改訂は実験動物の原則である3R に言及するものであった。これを受けて、日本学術会議は2006年にガイドライン「適切な動物実験の実施に向けて」を公表し、日本における動物実験の進め方は、研究機関が自主的に管理して実施すべき事柄としている。その上で機関等の責任体制ならびに動物実験委員会、動物実験操作・実験動物の選択、実験動物の飼養・保管、健康管理、施設等および安全管理、教育訓練、自己点検・評価および検証ならびに情報公開に関して記述している。米国における動物実験の進め方も、日本と同様に自主管理を基本としていることから、ILARのGuide第7版には、日本学術会議のガイドラインと類似した記述が散見される。このことは、ILARのGuideが改訂されたことは、日本学術会議のガイドラインにも少なからず影響を与えることが予想される。

ILARのGuideは、第三者認証組織であるAAALAC Internationalが動物実験施設を認証する際の、判断基準の拠り所にしている。国内の動物実験施設でも、この認証を取得している、或いは準備している組織においては、改訂内容に配慮した運用が求められることになる。AAALACでは、すでに改訂内容を検討して、2010年の米国実験動物学会において変更点に対する見解を示し、2011年以降の然るべき時期から第8版に準じて施設訪問・調査を実施することを明言している。 本日は、ILARの第8版Guideに書き改められた重要なポイントを紹介すると共に、AAALACが示した見解を参考にして改訂された内容の背景や意図する点について言及する。