診療のご案内

 

下部消化管グループは、竹山廣光教授、高橋広城講師、原賢康講師を中心に、診療を担当しています。

対象疾患は、結腸・直腸癌を主体に、家族性大腸腺腫症、潰瘍性大腸炎、クローン病、イレウス等であり、悪性疾患から良性疾患、独特の問題を抱える炎症性腸疾患を扱っています。

大腸がんは年間150例前後で、根治性を高めた十分な郭清と機能温存術式・低侵襲手術を行い、退院後の早期回復を目指しております。腹腔鏡下手術は、近年件数が増加しており、良性疾患、早期癌に加え、手技の上達や、器具の改良によりその適応を広げつつあります。また、より低侵襲をめざした手技の工夫(Reduced Port surgeryやSILS)も行っています。リンパ節郭清は、進行癌では3群郭清、早期と思われるものは2群郭清を標準にして行っています。左側結腸癌では性機能温存の観点から下腹神経、骨盤神経叢の温存、直腸癌では性機能と排尿機能の温存をめざしてTotal Mesorectal Excision の考え方を取り入れて直腸を切除すると共に、進行した下部直腸癌では、腹膜外アプローチを併用した、側方郭清を併せ行う形にしています。また、術式に関しては、前方に浸潤傾向の強いものは、特に直腸の前面の術野の良好な後方経路すなわち腹仙骨式直腸切断術を行なっております。また、根治性があれば、泌尿器科や婦人科とも協力し、他臓器の合併切除も積極的に行っています。

腸管の吻合法に関しては、狭窄を防ぐ目的でキーホール吻合法を考案し臨床応用するなど、縫合不全・吻合部狭窄などの合併症の軽減に努めています。

抗がん剤治療が必要な方においては、化学療法部と協力し、専門の外来化学療法室にて、新規抗がん剤を併用した最新の化学療法を取り入れて行っております。また、全国で行われている臨床試験にも積極的に参加しており、患者さんにも、将来の有効な治療の開発に貢献できるようにお願いしています。

手術で病変が取りきれた方でも、他臓器浸潤や脈管侵襲などのリスクファクターを有する方に、補助化学療法を行っています。また、同時性肝転移および術後の肝転移再発を有する方にも、根治切除率を上げるために術前化学療法を取り入れたりし、積極的な肝切除を行い治療効果の改善を得ています。より進行した多発肝転移例には、皮下埋め込みリザーバーによる全身化学療法を施行することで、切除可能になる症例もあり、集学的治療にてより高い治療効果を目指しています。

大腸癌初回手術症例については、大腸癌全国登録を行っており、またそれに加えて独自データベースに登録し今後の治療法の基礎データとして活用しています。

退院後、再発がないかどうかを確認するため、術後フォロー計画も綿密に行っています。3ヵ月毎の腫瘍マーカー、1年毎の画像診断、1〜2年毎の大腸内視鏡検査を基本に行っています。

大腸内視鏡検査は、毎週月曜の午後に5例、毎週火曜日午前に1例、水曜日午後に2例を行っています。大腸ポリープや、早期癌に対し、内視鏡的切除(ポリペクトミー・EMR)を行っています。また、内視鏡の手技を腹腔鏡手術にも導入することで、確実性の高い手術手技を目指しています。

進行・再発癌に対しては、緩和ケアチームとも連携して、少しでもQOLを良好に保ちつつ長期に生存期間を得られるようにチーム医療を推進しております。

クローン病や、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患では、消化器内科とも協力して治療にあたっております。クローン病に対しては保存的治療でコントロール困難な部分・症状に対して、strictureplastyを含めた小範囲切除を心がけています。クローン病の消化管吻合は、再狭窄を防ぐため、当院で開発したキーホール吻合法を活用しています。潰瘍性大腸炎に対しては、薬物療法でコントロール不良であったり、出血、Toxic Megacolon、癌合併症例に対し、(腹腔鏡下)大腸(結腸)全摘と、回腸J-pouch肛門吻合を基本に、回腸J-pouch肛門管吻合や、回腸直腸吻合による再建を行っています。

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