研究室紹介

教授ご挨拶

 この度、伊藤猛雄 教授の後任として2017年9月1日付で薬理学分野の教授を拝命いたしました。
 私の研究課題は「イオンチャネル(特に、カリウムチャネル)の分子薬理学研究」です。イオンチャネル作用薬は、循環器病治療薬や糖尿病治療薬をはじめ、中枢神経系疾患、アレルギー性疾患、炎症性疾患、癌の治療法的としても期待されています。実際に、カリウムチャネル活性化薬は高血圧症、気道過敏症、排尿困難、勃起不全、癲癇の治療薬として、カリウムチャネル阻害薬は多発性硬化症、関節リウマチのような自己免疫疾患や大腸癌・乳癌をはじめとする癌の治療薬として期待されています。現在は、イオンチャネルを介した抗炎症性サイトカインIL-10発現調節機構の解明、癌細胞増殖、浸潤、抗癌剤耐性獲得におけるイオンチャネルの役割などに着目して研究を進めています。将来的には、医学研究科にて構築中のバイオバンクや薬学研究科創薬基盤科学研究所の所有する化合物ライブラリーを活用して免疫系疾患、癌のイオンチャネル創薬研究へと発展させたいと思っています。分野主任として、「指導力」だけでなく「決断力」と「実行力」が求められる重圧を感じつつ、教室員と協調、団結して前進したいと思っております。
 コミュニケーション能力を含めた豊かな人格的素質と高度な知識、課題解決能力を身に着けた医療人の養成が社会のニーズとなっており、本学のアドミッションポリシーでも人材育成が重要視されています。名市大未来プランにはそれらを達成するための具体的なビジョンが描かれています。また、アクティブ・ラーニングも本格的に導入されています。大学、大学院教育改革の新しい潮流の中で、「薬理学」と新しい気持ちで向き合えることを楽しみにしております。学生達がこれまで育んできた自立心をさらなる向上心に結び付けられるよう、次世代の医学教育、研究の実現にチャンレンジしたいと思っております。
 微力ではございますが、教育、研究を通じて、優れた研究能力と医師としての職能を併せ持ち、国際社会で活躍できる人材育成に尽力する所存でございます。

学生へのメッセージ

 薬理学分野では、学生達が研究を通して薬理学をはじめ分子生物学、免疫化学、細胞生物学の幅広い知識・実験手技を身に着け、自信に満ちた社会人として活躍できるような研究体制を整備しています。研究室内で定期的に開催される様々なセミナー(文献抄読・データ検討会)や関連学会に積極的な姿勢で参加し、研究者としての資質や能力を身に着けることの重要性を理解し、有意義な研究室生活を送りましょう。 
 また、薬理学分野では、国内外の研究者(基礎・臨床)との共同研究や製薬会社との連携研究、国内外の研究者(基礎・臨床)との共同研究を積極的に推進しています。
 「研究」は「自己研鑚の場」であり、「つらく苦しい修行の場」ではありません。①研究テーマに関する背景・意義をしっかり理解し、②周囲の人との信頼関係を築くことにより、「研究を楽しむ」ことができると思います。また、「研究を楽しむ」ことができれば、個々の達成感を周囲と共有できるような人間関係が生まれると思います。社会で「踏ん張れる力」を発揮するためには、「短期的な人生の目標(1-5年後)」と「長期的な人生の展望」を積極的にイメージし、それを段階的に具現化することが重要です。自ら「今すべき事」を挙げ、緊急性・重要度に基づいて序列化し、計画性を持って全力で立ち向かうことが重要です。我々と一緒に「失敗して傷つくことを恐れない力」、「踏ん張れる力」を養成しましょう。
 「自身の研究テーマに没頭できる研究環境」と「薬理学全般を理解できる教育環境」の中で自身の能力を最大限に発揮したい学生諸君を歓迎します。また、大学院進学(博士号(Ph.D.)取得)に積極的な学生諸君を歓迎します