スタッフ

先端医療技術イノベーションセンター長

公立大学法人 名古屋市立大学
大学院医学研究科 統合解剖学分野 教授
臨床医療デザイン学分野 教授
先端医療技術イノベーションセンター長

植木 孝俊

先端医療技術イノベーションセンター

■センター長よりご挨拶■

 この度、中部東海地区における厚労省の「実践的な手術手技向上研修事業」の拠点として、先端医療技術イノベーションセンターを開設する運びとなりました。サージカルトレーニングの実施に向け、ご協力いただいた皆様、そして何よりも、尊いご遺体をサージカルトレーニングのためにご献体下さいました不老会会員とご家族の皆様に心よりお礼申し上げます。

 サージカルトレーニングの必要性は、近年、高度な技量を求められる内視鏡などによる低侵襲性の術式の普及に照らせば言を俟ちませんが、その実現までの道程は、1997年に実施された歯科インプラント手技講習会について厚労省から死体損壊罪抵触の恐れが指摘されて以来困難に富んだものでした。2012年に解剖学会・外科学会による「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」が策定され、医学部、歯学部におけるサージカルトレーニングが公認されるに至るまでのブレークスルーには、2003年からの村上弦札幌医大教授による未固定凍結解剖体での臨床解剖の研鑽、2008年の近藤哲北大教授による厚労科研「医療手技修練のあり方に関する研究」の実施などが挙げられます。

 今後、名市大に留まらず、広く県内、中部東海地区の良質な医療人の育成に資することができる手術手技研修の機会の提供を行って参ります。従前の予備的なサージカルトレーニングの試行では、消化器外科、呼吸器外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、麻酔科など広汎な診療科の参加を得た他、口腔外科領域での医歯連携も愛知学院大歯学部との恊働で始動しております。近年の内視鏡などでの医療過誤の増加に鑑みれば、本センターの責務は重大です。また、本センターでは、新たな術式の開発に加え、深層学習、機械学習などに掛かる人工知能研究、計算解剖学、ロボティクスなどの最近の医工連携の成果を、臨床解剖上の知見と融合させることによる、わが国発の手術支援ロボットシステムの創出なども企図しております。

 本センターの活動が、医育機関としての本学の社会的な役割を高めること、そして、術式開発、医療機器創出なども通じてわが国の社会福祉、医療イノベーションによる産業振興に貢献することができるのであれば望外の喜びです。どうぞ皆様方には引き続いてのご指導のほどを、よろしくお願い申し上げます。


平成29年1月吉日