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2008年10月例会
教育講演

「実験動物のウイルス感染症と動物由来ウイルス感染症」

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「実験動物のウイルス感染症と動物由来ウイルス感染症」

 

佐藤 浩 先生(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所)

 わが国の実験動物における微生物感染症は、平成12年(2000年)頃のマウス肝炎ウイルスの流行をピークとして減少してきているように思われる。その要因としては、微生物統御が各生産業者により、あるいは各研究機関等によって適切に行われ、実験動物の微生物学的品質が向上してきたことがあげられよう。
しかしながら、実験動物分野と相反して、ヒトを取り巻く環境においては微生物感染症でも特に動物由来感染症(人獣共通感染症)が新興・再興感染症としてグローバルな問題となり、常日頃私達の身の回りの話題として事欠かない状況となっていて、高病原性鳥インフルエンザや西ナイル熱等のほかに、今年8月下旬にはカナダのリステリア症流行で死者が15人にのぼったとの報道もある。一方、実験動物の微生物感染症は、感染症法改正による2005年からの輸入動物届出制度スタートと相俟って、今後、極端に少なくなることが期待されているが、果たしてそうであろうか?
実験動物分野においては、新しい免疫不全動物の開発、KO・Tgマウス・ラットなどの遺伝子操作動物の作製などに伴って、免疫学的・微生物学的に未解析な実験動物の飼育数激増があり、あらたな局面を迎えている。我々がこれまで永年蓄積してきた知識や経験だけではただちに解決できない感染症の出現による脅威や感染症の潜在化を懸念する意見もかたや存在する。さらに、実験動物の近代的な飼養保管方法(IVC、個別換気ケージ等)も開発・確立され、それがかなり普及しつつある現状、それにマッチした新しい微生物モニタリングシステムの開発なども望まれている。
本日は、実験動物微生物感染症の中でも特に「ウイルス感染症」に焦点を絞り、演者がこの分野に永年係わってきたこともあり、その軌跡も兼ねて、これまで進めてきた実験動物固有及び動物由来ウイルス感染症並びにその他の関連研究を述べる予定である。また、演者がこのたび新しく就いた動物実験コーディネータの業務についても触れたい。

順序は次のごとくである。
1. 実験動物の微生物検査項目に関する最近の話題
  わが国(学会統一案)と欧州について
2. 実験動物固有のウイルス感染症
3. 動物由来ウイルス感染症(人獣共通感染症)
4. その他の関連研究
5. 今後の問題点と展望
6. 動物実験コーディネータ職について

話題提供予定のウイルス

実験動物固有
ウイルス感染症

動物由来
ウイルス感染症

その他の関連研究(時間があれば)

センダイウイルス

ハンタウイルス

ケージダストによる微生物モニタリング

マウス肺炎ウイルス

パラインフルエンザ3型ウイルス

 

マウス脳脊髄炎ウイルス

サルヘルペスBウイルス

 

ラットコロナウイルス

リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス

 

ラットカルジオウイルス