第7号(平成12年5月)

1.挨拶 医学部長 西野仁雄

 年報の発刊にあたり一言ご挨拶申し上げます。
 昨年末は2000年(Y2K)を向かえるにあたり、実験動物研究教育センターにおきましても電力、制御系、空調等において予期せぬトラブルが発生しないか? もし発生した際はどのように対処するか等について、白井センター長、安居院助教授をはじめ関係の皆様に大変ご配慮いただきましたが、無事何事もなく新年を迎えることが出来、このように1999年度の活動を総括する年報を発刊する運びとなりました。関係の皆様方のこの一年間のセンターに対するご理解とご援助、また直接業務に携わっておられる教職員の皆様のご努力に心からお礼申し上げます。
 動物実験は常にその倫理性が問題にされるところでありますが、医学とその関連領域の研究には動物実験を避けて通れない分野があります。また最近は、遺伝子操作動物、変異動物、感染動物、病態モデル動物等の開発、維持、管理等、実験動物センターの重要性は益々高まっております。新動管法も大きな変更なく国会で承認され一安心というところですが、数年後にはまた見直すということになっておりますので、「動物実験は如何にあるべきか」という原点に常に立ち帰って、施設のあり方、運営、実験計画とその実施等にご配慮いただき、益々の成果をあげていただかんことを願っております。


2.年報の発刊にあたって センター長 白井智之

 本年報は1999年度の当センターの利用状況、実験動物に関わる諸活動及び研究業績をまとめたものです。センターを利用した多くの研究の成果が論文として発表されました。このような研究成果に対してセンターが貢献できたことをセンター長として大変うれしく思うところです。これには、研究者各位の努力はもちろんでありますが、センター関係各部局の皆様のご理解とご努力、教職員並びに業務に直接携わっておられる職員の皆様の努力があったからこそであります。お礼を申し上げます。
 2000年初頭には、いわゆるY2K問題の発生が懸念され、本センターにおきましても万全の体制を整えてこれに対処したわけでありますが、幸運にも問題は全く発生せずセンター職員共々ほっと胸をなで下ろしたところであります。問題の対処にご尽力いただきました関係者の方々、またご心配をいただきました研究者の方々に熱く御礼申し上げます。
 今年度はいよいよ21世紀に突入いたします。21世紀を迎え動物実験を巡る動きもまた一段と険しくなってくることが予想されます。ゲノムプロジェクトにもみられますように、近い将来ヒトの全ゲノムの塩基配列が明らかにされようとしています。また、ヒトに続きマウスの全ゲノムの塩基配列も明らかにされようとしています。このような21世紀に相応しい動物実験とはどのようなものなのか、我々はこれから模索していかねばならないと思います。今年度も引き続き関係各位のご理解・ご協力をお願い致します。


3. 利用状況

(1)各講座月別登録者数
(2)年間月別搬入動物数(SPF、コンベ)
(3)各講座月別搬入動物数
●マウス
●ラット
●ウサギ
ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ
(4)各講座月別延日数飼育動物数
●マウス
●ラット
●ウサギ
ハムスター、モルモット、イヌ、ブタ、サル


4.沿革

昭和25年4月 名古屋市立大学設置
昭和45年3月 医学部実験動物共同飼育施設本館完成[昭和45年5月開館]
昭和54年3月 医学部実験動物共同飼育施設分室完成[昭和54年7月開館]
昭和55年3月 医学部実験動物共同飼育施設別棟完成[昭和54年7月開館]
昭和55年4月 第一病理学講座 伊東信行教授が初代施設長に就任
平成元年4月 医学部動物実験施設に名称を変更
平成3年4月 小児科学講座 和田義郎教授が第二代施設長に就任
平成3年5月 新動物実験施設改築工事起工
平成4年11月 新動物実験施設完成
平成4年12月 安居院高志助教授が施設主任に就任
平成5年3月 新動物実験施設開所式
平成5年4月 第二生理学講座 西野仁雄教授が第三代施設長に就任
平成5年5月 新動物実験施設開所
平成9年4月 第一病理学講座 白井智之教授が第四代施設長に就任
平成9年5月  医学部実験動物研究教育センターに名称を変更


5.構成

センター長        白井智之(併任、第一病理学講座教授)

センター主任(助教授)  安居院高志

衛生技師         宮本智美

業務士          西尾政幸

大学院生         成 際明、丁 銘

研究員          鄭 且均、趙 ari

飼育委託     株式会社ケー・エー・シー

ビル管理委託   日本空調システム株式会社


6.平成11年 行事

1月20日  平成10年度 第10回講習会

2月9日  平成10年度 第11回講習会

3月5日  センター主催講演会

       北海道大学大学院獣医学研究科 実験動物学教室 教授、渡辺智正 先生

         感染症および発生研究のための遺伝子疾患モデルマウス

4月5日 センター合同花見・歓送迎会(鶴舞公園)

4月15日  平成11年度 第1回講習会

4月21日  センター主催講演会

       東北大学医学部附属動物実験施設 三好一郎 先生

         遺伝子操作マウスによる疾患モデルマウスの開発及び疾患原因遺伝子の同定

5月6日  平成11年度 第1回運営委員会

5月14日  平成11年度 第1回運営協議会

5月25日  平成11年度 第2回講習会

6月28日  平成11年度 第3回講習会

7月12日  平成11年度 第1回動物実験委員会

7月19日  平成11年度 第2回動物実験委員会

7月22日  平成11年度 第4回講習会

9月14日  実験動物感謝式

9月25-26日  センター合同登山(長野県蓼科)

10月13日  平成11年度 第5回講習会

12月9日  平成11年度 第2回運営委員会

12月14日  平成11年度 第6回講習会

12月17日  センター合同忘年会

12月17日  平成11年度 第2回運営協議会


7.研究成果

 名古屋市立大医学部実験動物研究教育センターを使用し得られた研究成果のうち、2000年中に公表された論文をまとめた。ここには原著のみを掲載し、総説、症例報告、学会抄録等は割愛した。

第1解剖学講座
第2解剖学講座
第1生化学講座
第2生化学講座
第2生理学講座
第1病理学講座
細菌学講座
法医学講座
分子遺伝部門
生体高分子部門
第1内科学講座
眼科学講座
泌尿器科学講座
実験動物研究教育センター

8.編集後記

 今年も第7号(平成12年度版)の年報を発行することができました。今年度から、年報は印刷した冊子の形にはせずセンターホームページへの掲載という形のみにすることに致しました。印刷製本費用の節減という意味もありますが、地球資源の節減という大きな意味もあります。実際には年報の号数が進むに連れて保存版の年報を保存しておくスペースがなくなった(なくなる)というのも主要な理由の一つであります。ペーパーレス時代に突入し、年報を必ずしも印刷した冊子形式として発刊・保存する必要はないのではないかという結論に達しました。以前から年報は別途ホームページ上に掲載しておりましたが、今年度からはホームページ上での掲載のみになりました。皆様の御理解・御協力を乞う次第です。
 もう一点昨年度の出来事として特筆することとしましては、昨年末に動管法が動物愛護法として改正されたことであります。動物実験に関することについては旧来の動管法と変更はありませんでしたので、実験動物の維持管理・動物実験に関しては旧来通り変更することはないと思われます。しかしながら、動物の福祉については一段と進み、罰則も強化されました。動物実験を行うに当たっては、これまで以上に動物の福祉を念頭においていただくようお願い申し上げます。

(安居院)