年報第20号(平成25年10月)

1.挨拶 医学研究科長 浅井 清文

 実験動物研究教育センター年報第20号の発刊にあたり、この一年間、センターの円滑の運営にお骨折りいただきました、三好一郎センター長をはじめ、センターの職員の皆様、関係の委員会の皆様に心より感謝申し上げます。
 研究者は、自身の仮説を立て、それを立証しようとします。生命科学の研究においては、研究が進むにつれ、分子や細胞レベルで確認できた知見が、実際に生体(個体)内で生じているか、そしてそれが全身にどのような影響をもたらすか、証明する必要が出てきます。このように、動物実験は、生命科学の研究者にとって必要不可欠な存在ですが、実験計画を周到に練り、in vitroで可能な実験はそれで行い、3Rをできる限り求めて努力すべきです。動物実験に携わる研究者におかれましては、自身の研究計画が適切に行われているか、常に自省しながら研究を進めていただきたいと思います。
 さて、実験動物研究教育センターが建設されてからすでに20年を超えました。建設当時は、多くの研究者が、この新しい施設で研究が出来ると期待に胸を膨らませ、その通りに、このセンターを利用して数多くの研究成果が発表されてきました。今も外観はほとんど変わりませんが、内部の施設は徐々に老朽化が進んでいます。この間、研究のアクティビティを損なうことが無いよう、関係の皆様のご努力で、機器の更新が行われてきましたが、これからも医学研究科としてできる限りのサポートをして参りたいと考えております。
 今後も、センターの円滑な運営にご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。


2.年報の発刊にあたって センター長 三好一郎

 医学研究科実験動物研究教育センターは,竣工後21年目を迎え一部の設備・備品に老朽化の影響が認められますが,幸いなことに,今年度も大きな事故あるいは事件を起こすことなく維持され日常のご利用に対応することができました。また,動物を保存するための冷凍室が壊れて修理できない状態に陥ったため,代替のフリーザを補填して頂きました。さらに,開所当時の備品であった製氷機も更新して頂きました。利用者の皆さま,医学研究科ならびに本学の関係諸氏の皆様のご理解とご支援に厚く御礼申し上げます。
 技術支援の一貫として,当センターでは,マウスの胚や配偶子の凍結保存,あるいは凍結胚や配偶子からの個体化,微生物学的清浄化を実施してまいりました。平成18年度は27件,翌19年度は17件程度でしたが,最近は年間60件程度と利用者の皆様に定着してきたような印象です。作業に携わる人員や飼育スペースに限りがあることから実施時期の調節が必要であったり,マウスに限定される等の制約はありますが,微生物感染の可能性を抑制する安全な授受,並びに,飼育スペースの効率的な利用,飼育費の抑制,安定な系統維持などの観点から,今後も益々ご利用頂ければ幸いです。また,基礎自主研修で作製したCAG-Creマウスは,どこにも気兼ねなく利用できる名市大オリジナルのツールですので,こちらもご利用下さい。
 文部科学省は,各研究教育機関に対して,動物実験が適正に実施されているか自己点検評価し,その情報を開示すると共に外部検証を受けるよう求めております。適正な動物実験の実施のためには,原則である3Rの遵守は当然のこと,センターの管理運営が健全でなければなりません。センター関係者一同は,愛護や福祉に基づいた科学的かつ倫理的な動物実験を通して教育研究の実践に適した環境を構築維持するために一層の努力をして参ります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。


3. 利用状況

(1)各分野月別登録者数
(2)年度間月別搬入動物数(SPF、コンベ)
(3)各分野月別搬入動物数
●マウス
●ラット
●ウサギ
●ハムスター、モルモット
(4)各分野月別延日数飼育動物数
●マウス
●ラット
●ウサギ
●ハムスター、モルモット、マーモセット


4.沿革

昭和25年4月 名古屋市立大学設置
昭和45年3月 医学部実験動物共同飼育施設本館完成[昭和45年5月開館]
昭和54年3月 医学部実験動物共同飼育施設分室完成[昭和54年7月開館]
昭和55年3月 医学部実験動物共同飼育施設別棟完成[昭和54年7月開館]
昭和55年4月 第一病理学講座 伊東信行教授が初代施設長に就任
平成元年4月 医学部動物実験施設に名称を変更
平成3年4月 小児科学講座 和田義郎教授が第二代施設長に就任
平成3年5月 新動物実験施設改築工事起工
平成4年11月 新動物実験施設完成
平成4年12月 安居院高志助教授が施設主任に就任
平成5年3月 新動物実験施設開所式
平成5年4月 第二生理学講座 西野仁雄教授が第三代施設長に就任
平成5年5月 新動物実験施設開所
平成9年4月 第一病理学講座 白井智之教授が第四代施設長に就任
平成9年5月  医学部実験動物研究教育センターに名称を変更
平成14年4月 医学研究科実験動物研究教育センターに名称を変更
平成14年9月 安居院高志助教授が北海道大学教授として転出
平成15年4月 宿主・寄生体関係学 太田伸生教授が第五代センター長に就任
平成15年4月 三好一郎助教授がセンター主任に就任
平成17年4月 実験病態病理学 白井智之教授が第六代センター長に就任
平成19年4月 生物化学 横山信治教授が第七代センター長に就任
平成20年12月 病態モデル医学 三好一郎教授が第八代センター長に就任


5.構成

センター長 三好一郎(併任、病態モデル医学分野 教授)
衛生技師 宮本智美
施設管理員 西尾政幸
飼育委託 株式会社ラボテック
ビル管理委託 日本空調システム株式会社


6.平成24年度 行事

平成24年4月19日 平成24年度 第1回動物実験規程講習会
平成24年5月21日 平成24年度 第2回動物実験規程講習会
平成24年6月20日 平成24年度 第3回動物実験規程講習会
平成24年6月18日 平成24年度 第1回運営委員会
平成24年7月12日 平成24年度 第1回運営協議会
平成24年7月27日 平成24年度 第4回動物実験規程講習会
平成24年7月31日 平成24年度 第1回動物実験委員会
平成24年9月25日 実験動物感謝式
平成24年9月27日 平成24年度 第5回動物実験規程講習会
平成24年10月19日 平成24年度 第6回動物実験規程講習会
平成24年10月29日 平成24年度 第7回動物実験規程講習会 (基礎自主研修)
平成25年1月17日 平成24年度 第8回動物実験規程講習会
平成25年2月5日 平成24年度 第9回動物実験規程講習会
平成25年3月13日 平成24年度 第10回動物実験規程講習会


7.研究成果

 名古屋市立大学大学院医学研究科実験動物研究教育センターを使用し得られた研究成果のうち、2012年中に公表された論文をまとめた。ここには原著のみを掲載し、総説、症例報告、学会抄録等は割愛した。