第11号(平成16年9月)

1.挨拶 医学研究科長 横山信治

 実験動物研究教育センター 2003 年度年報が発刊の運びとなりました。一年間のセンターに対する皆様のご理解とご支援に感謝し、センター長太田伸生教授、センター主任三好一郎助教授を始めとする、その管理運営業務に携わってこられた教職員・スタッフの方々のひとかどならぬご努力に、心よりお礼申し上げます。また、日常のお忙しいなかで、こうした年報を発行されるスタッフの方々のご努力にも改めて感謝申し上げます。これが継続して発行されることが、センターの活動の維持の大きな力になっているものとも確信いたします。
 名古屋市立大学医学研究科の実験動物センターは、文字通り医学研究科の研究活動の中心的施設として、一年をとおし、昼夜を分かたずその活動を続けています。動物実験モデルはこれまでもこれからも、医学生命科学の研究にとって、なくてはならない研究手段であり、遺伝子改変動物などの技術が進歩した現在、その重要性はますます増していることは言うまでもありません。また、それとともに、維持管理が難しいモデル動物が必然的に増加しています。また一方では、動物愛護団体による「実験動物の権利擁護」の潮流も無視できないものになっております。こうした背景の中で、実験動物を行き届いた環境のもとで安定した飼育状態に維持することは、研究機関として備えねばならない必須条件であります。このような意味で、よく管理された実験動物センターは、生命科学の研究機関にとって、欠くことにできないものとなっています。
 実験動物センターは、困難な条件の中で、その任務を十分以上に果たしています。しかしながら、現在の名古屋市の財政事情や、近くに控える大学の「法人化」などの情勢は、当センターにとっても決して安心できる状況とは言えません。しかし、ここが機能不全に陥っては、医学研究科の研究活動に致命的打撃を与えることになります。その意味で、医学研究科の総力を挙げて、このセンターの活動を守る努力が必要だと考えております。
 今後とも、センターがその機能を十二分に発揮し、本学の研究教育活動の中心として発展できるように、医学研究科全教職員の皆様のご支援をお願いいたします。


2.年報の発刊にあたって センター長 太田伸生


 年報第11号の発刊にあたってご挨拶申し上げます。この年報は名古屋市立大学実験動物研究教育センターの平成15年度の利用状況ならびに研究その他の活動実績をまとめてご報告するものです。利用者各位にはルールを遵守したセンターの利用を徹底していただき、多くの研究及び教育の実績を残していただいたことをセンター長として感謝いたします。平成15年度よりセンター主任として前任の安居院助教授から三好一郎助教授が引き継ぎました。新チームのもとでセンター所属の教職員の真摯な努力がありましたことをこの紙面をお借りして皆様にご報告申し上げます。
 さて、本学は大学院大学として研究面での一層の活性化が要求される中、動物実験の重要性は今後益々大きくなっています。その支援のために本センターは最大限の努力を払って日常業務に当たってきました。しかし一方で、医学研究の進歩がこれら実験動物の尊い犠牲に立って初めて成ることを常に認識すべきであり、利用者の方々と共に動物福祉の面で今後とも改善を図っていきたいと思います。幸いに本センターでは明確な基準の下に動物実験が実施され、この年報所載の多くの業績が上がっています。今後もセンター利用者各位のご協力をお願い致します。
 本学も独立行政法人化に向けた準備が進んでいます。私たちの研究が地域貢献、ひいては地球人類の福祉増進にどのような貢献をしているのか、など大学としての存在意義が厳しく問われるようになりました。 本センターもこれから変わろうとする大学の中で、担っていくべき役割を広範な議論の中で認識を深め、責任感をもって真摯に努力していきたいと考えています。関係の皆様には変わらずご指導、ご助言を賜りますようにお願い致します。


3. 利用状況

(1)各講座月別登録者数
(2)年間月別搬入動物数(SPF、コンベ)
(3)各講座月別搬入動物数
●マウス
●ラット
●ウサギ
イヌ、ブタ、モルモット、ハムスター
(4)各講座月別延日数飼育動物数
●マウス
●ラット
●ウサギ
イヌ、ネコ、サル、スナネズミ、モルモット、ハムスター


4.沿革

昭和25年4月 名古屋市立大学設置
昭和45年3月 医学部実験動物共同飼育施設本館完成[昭和45年5月開館]
昭和54年3月 医学部実験動物共同飼育施設分室完成[昭和54年7月開館]
昭和55年3月 医学部実験動物共同飼育施設別棟完成[昭和54年7月開館]
昭和55年4月 第一病理学講座 伊東信行教授が初代施設長に就任
平成元年4月 医学部動物実験施設に名称を変更
平成3年4月 小児科学講座 和田義郎教授が第二代施設長に就任
平成3年5月 新動物実験施設改築工事起工
平成4年11月 新動物実験施設完成
平成4年12月 安居院高志助教授が施設主任に就任
平成5年3月 新動物実験施設開所式
平成5年4月 第二生理学講座 西野仁雄教授が第三代施設長に就任
平成5年5月 新動物実験施設開所
平成9年4月 第一病理学講座 白井智之教授が第四代施設長に就任
平成9年5月  医学部実験動物研究教育センターに名称を変更
平成14年4月 医学研究科実験動物研究教育センターに名称を変更
平成14年9月 安居院高志助教授が北海道大学教授として転出
平成15年4月 宿主・寄生体関係学 太田伸生教授が第五代センター長に就任
平成15年4月 三好一郎助教授がセンター主任に就任


5.構成

センター長        太田伸生(併任、宿主・寄生体関係学教授)

センター主任(助教授)  三好一郎

衛生技師         宮本智美

業務士          西尾政幸

研究員          安居院高志

飼育委託     株式会社ラボテック

ビル管理委託   日本空調システム株式会社


6.平成15年 行事

2月4日 平成14年度 第8回講習会

4月7日 平成15年度 第1回動物実験委員会

4月21日 センター長主催歓迎会

4月 24日 平成15年度 第1回講習会

5月1日 センター主催歓迎会

5月12日 平成15年度 第1回運営委員会

5月19日 平成15年度 第1回運営協議会

5月23日 平成15年度 第2回講習会

6月26日 平成15年度 第3回講習会

8月5日 平成15年度 第4回講習会

8月6日 センター主催暑気払い会

9月18日 平成15年度 第5回講習会

9月24日 実験動物感謝式

11月7日 平成15年度 第6回講習会

12月19日 平成15年度 第7回講習会 12月26日 センター主催納会


7.研究成果

 名古屋市立大医学部実験動物研究教育センターを使用し得られた研究成果のうち、2003年中に公表された論文をまとめた。ここには原著のみを掲載し、総説、症例報告、学会抄録等は割愛した。


8.編集後記

 竣工以来11年が経過し,本センター内の設備備品等の経年劣化が顕在化しております。しかしながら,医学部・医学研究科あるいは大学本部に努力して頂き,中規模のものまでは可能な限り更新・修理を施し従来通りの運営が持続できています。また昨年度は,安全キャビネット及びオートクレイブの導入など検疫業務周辺設備の拡充を図って頂きました。心より感謝申し上げます。いずれにせよ,社会の必要性に対応した継続性のある研究支援を維持するためには,近い将来,空調機器あるいは配管など大規模な更新・修理あるいは人員の確保などに関して計画的に対応しなければならないでしょう。
 経過した年数を考慮しますと,高レベルの飼育環境を提供するために,当センターは,大学の施設としてはかなり厳重に維持されていることに気付きます。管理者および関係者のこれまでのご尽力に敬意を表すると同時に,この姿勢こそが当センターの寿命を延長する原動力になり,将来にわたる研究支援としての貢献に欠かせないと考えます。今後とも宜しくお願い申し上げます。

(三好)