研究・技術レポート

医療レポート

No.1 電気的に神経機能を調整する
-脳深部刺激療法(脳外科) & 脊髄刺激療法(麻酔科)- 脳神経外科 病院准教授 梅村 淳、麻酔科 病院准教授 薊 隆文

[公開日:2008年12月8日]

はじめに

脳神経外科と麻酔科は協力体制をとり、中枢神経疾患に対するひとつの治療法として、脳深部刺激療法あるいは脊髄刺激療法を行っています。これらは、電気的な刺激によって神経機能を調整し、症状を緩和しようという治療法です。

脳深部刺激療法

脳深部刺激療法(DBS)
脳深部刺激療法(図1)

パーキンソン病の治療は薬物療法が基本ですが、薬物のみで症状のコントロールが困難となった患者さんに対して、最近では脳深部刺激療法(DBS)が行われています。DBSは手術により脳に設置した電極からの電気刺激で神経機能を調整する治療法です(図1)。脳神経外科では神経内科の協力の下で既に100例以上のパーキンソン病に対してDBSを行って良好な結果を得ています。DBSはその他ジストニアや本態性振戦などの不随意運動症の治療に対しても行われています。また、海外では強迫神経症やうつ病などの精神疾患への応用も始まっており、今後の発展が期待されています。


脊髄刺激療法

脊髄刺激療法(SCS)
脊髄刺激療法(図2)

一方、脊椎手術後の痛みや外傷後の神経損傷に伴う痛みなどの難治性疼痛に対して、脊髄刺激療法(SCS)が行われています。これは、DBSと同様の電極を硬膜外腔に挿入します。弱い電流を流すことにより、痛みの信号が脳に伝わりにくくなることを利用して、痛みを和らげる治療法です(図2)。世界では約15万人の方がこの治療を受けており、近年日本でも盛んに行われるようになりました。麻酔科では、脳神経外科の協力を得てSCSを行っており、比較的良い結果を得ています。今後、様々な難治性疼痛に対する治療法として、SCSはより身近な治療法になっていくと思われます。


さいごに

今後も脳神経外科と麻酔科は、臨床と研究において協力体制を維持し、当該分野の発展に力を入れていきたいと考えています。

脳神経外科:病院准教授 梅村 淳、麻酔科:病院准教授 薊隆文

ご案内

脳神経外科、麻酔科の最新のご案内はホームページにてご確認ください。
医局ホームページへ「脳神経外科学分野」ホームページ
医局ホームページへ「麻酔科学・集中治療医学」ホームページ