オープンカレッジのご案内


最新医学講座   オープンカレッジ   2017年第3期のご案内。

No.3「免疫の制御で病気を治す新時代〜名古屋ゆかりの免疫学者が世界へ発信する研究と治療戦略について」

[開講日程] 平成29年11月10日(金) 〜 平成30年1月5日(金) (12月29日を除く)
[応募受付期間] 平成29年10月2日(月) 〜 平成29年10月20日(金)
[選考結果] 平成29年11月1日(水)
[コーディネーター]医学研究科 免疫学分野 教授 山崎 小百合
免疫とは、文字通り"疫"を"免"れるために体に備わっているシステムです。免疫学は、古くは天然痘のような感染症に対して「ワクチンがなぜ効くのか?」を明らかにするために発展しました。現在では免疫は感染症のみではなく、自己免疫疾患、癌、アレルギー、移植の他、習慣性流産の一部や肥満、メタボリック症候群、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞に伴う炎症にも関わっていることが判っています。このような広い臨床分野と関連する免疫を上手にコントロールできれば、色々な疾患の治療につながります。本シリーズでは、名古屋ゆかりの免疫学者が世界へ発信する最新の研究と治療戦略についてわかりやすく解説いたします。

第1回   11月10日 (金)

免疫制御-免疫の制御で病気を治す新時代が来た!-

名古屋市立大学大学院医学研究科免疫学分野 教授 山崎 小百合
本オープンカレッジのコーディネートの構想とご講演いただく「名古屋ゆかりの免疫学者」について、ご紹介をしつつ、免疫とは何か、最新の免疫の研究がどのように治療に結びついているか、をわかりやすく説明いたします。さらに、免疫を制御する二つの重要な免疫担当細胞、制御性T細胞と樹状細胞について解説し、これらの細胞を使った新しい治療法の可能性について、これまでの私たちの研究成果を交えてお話しいたします。

第2回   11月17日 (金)

抗体遺伝子改変機構-抗体とその遺伝子のお話-

岐阜大学大学院医学系研究科分子病態学 教授 長岡 仁
抗体医薬品という言葉を耳にした事があるでしょうか。医学・生物学の進展に伴い、種々の病気に対しその病態の鍵となる分子や細胞を標的にした治療戦略が立てられるようになってきました。抗体はその要の一つと言えるでしょう。抗体は、病原体等の侵入に対抗して生体内で作られその無害化のため機能します。無数に存在する異物に特異的な抗体を作るため、リンパ球は抗体遺伝子を改変していきます。本講演では、抗体遺伝子改変に関わる分子機構を紹介し、さらにそれに関連する興味深い知見についてもお話ししてみたいと思います。

第3回   11月24日 (金)

がん免疫療法、抗CCR4抗体の開発研究-がん臨床における、がん免疫療法の現状と期待-

愛知医科大学腫瘍免疫寄附講座 教授 上田 龍三
これまでのがん治療は、手術(外科)療法、放射線療法、薬物療法(化学療法、分子標的療法)の三大療法を駆使して闘ってきましたが、21世紀に入り第四の治療法として新しいがん免疫療法が俄に脚光を浴び、その臨床効果には目を見張るものがあります。私達が研究開発してきた抗体医薬である"抗CCR4抗体(モガムリズマブ)"の臨床導入の経験を実例として、がん免疫療法の現状と将来展望に関して皆さんと話し合いたいと思います

第4回   12月1日 (金)

抗体、レパトア、多様性-末梢血B細胞の抗体遺伝子レパトア解析から見る免疫応答-

星薬科大学大学院薬学研究科微生物学 准教授 築地 信
免疫システムは、巧妙なメカニズムで自己と非自己を識別します。さらに、一度遭遇した抗原を記憶するメカニズムもあります。このシステムの乱れが病態に関わることが明らかになってきました。そこで、私たちは、この乱れの指標の一つとして、末梢血中のB細胞に注目しています。B細胞は抗体遺伝子の組換えにより多様性を作り出し、抗体を産生し、多様な抗原を認識します。その多様度(レパトア)を詳細に調べる方法を用いて、抗体の「質」を評価しようという試みです。最新の知見を含めて、その将来性についてもお話ししたいと思います。

第5回   12月8日 (金)

自然免疫、補体、共生細菌-細菌と免疫-

名古屋市立大学大学院医学研究科免疫学分野 講師 今井 優樹
わたしたちの周りには細菌などの微生物がたくさん存在しています。これらの微生物が体内に侵入すると、わたしたちの気付かないうちに免疫という生体防御反応によって、進入した微生物は排除されています。しかしながら、近年、健康の維持に役立つ細菌(共生細菌)の重要性が、多数報告されています。本講座では、細菌に対する生体防御機構を解説するとともに、国内外で報告された最新の共生細菌に関する研究をご紹介します。

がん免疫-がん細胞の味方をする裏切り者(?)の免疫細胞-

名古屋市立大学大学院医学研究科免疫学分野 助教 志馬 寛明
腫瘍というと、悪性のがん細胞が異常に増殖してできる塊というイメージを持たれることが多いですが、内部にはがん細胞でない正常な細胞も数多く含まれています。実は、それらの正常細胞の手助けによって、がん細胞が増えていくことがわかってきました。それはまるで、悪者の味方をしているかのようです。本講演では、腫瘍内の免疫細胞を中心に、正常細胞がどのようにがん細胞の増殖を助けるのかお話しします。

第6回   12月15日 (金)

がん免疫療法、免疫ゲノム、免疫制御-がん免疫療法の現状と展開-

国立がん研究センター研究所 腫瘍免疫分野 分野長、名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞免疫学 教授 西川 博嘉
非小細胞肺癌などの様々ながん種で免疫チェックポイント阻害剤が臨床導入されています。これらの治療法の臨床効果は限られた患者さんでしかみられないことから、より効果が良いがん免疫療法の開発が必要です。加えて、治療効果が見られやすい患者さんを見分けるバイオマーカー(十分にがんを攻撃する免疫応答が起こっている目印)を明らかにすることも重要な課題です。免疫チェックポイント分子の一つである抗PD-1抗体治療のバイオマーカーとして、リガンドの一つであるPD-L1のがん組織での発現が注目されています。一方、PD-L1陰性患者にもレスポンダーが存在することから、より厳密なバイオマーカーの同定が必要だということが明らかになってきました。本講演では、もう一度自己と非自己を見分けるという免疫系の本質にたちもどり、がん免疫療法の効果が出やすい患者さんおよびがん免疫療法のみでは治療効果が十分でなく、そのほかの治療との複合がん治療が必要となる患者について考えたいと思います。

第7回   12月22日 (金)

がんの免疫療法-PD-1とがん、そして自己と非自己の識別-

奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 機能ゲノム医学 准教授 石田 靖雅
みなさんは、「オプジーボ」という新薬が登場したことをご存知ですか。これまでの抗がん剤のようにがん細胞を直接、攻撃するのではなく、人間に本来備わっている免疫の力を活性化することにより、間接的にがん細胞を殺傷することを可能にした画期的な薬です。オプジーボは、日本とアメリカで共同開発され、2014年に世界に先駆けて、我が国でがん患者さんへの使用が承認されました。現在では、世界の60カ国以上で、がん治療薬として広く使われています。今回は、この薬の開発に至る基礎研究の歴史についてお話しします。

第8回   1月5日 (金)

免疫寛容-制御性T細胞を利用した自己免疫疾患および癌治療は可能か?-

大阪大学大学院医学系研究科附属最先端医療イノベーションセンター基礎腫瘍免疫学特任教授 大倉 永也
免疫反応は、外敵を排除する仕組みと、自己を許容する仕組みとのバランスで成り立っています。この自己を許容する仕組みを担う細胞群が制御性T細胞(Treg)であり、異常、過剰な反応を抑制することにより免疫恒常性を維持しています。近年、Treg細胞の発生、分化には、Treg特異的なエピジェネテック変化が必要であることが解ってきました。本講演では、人工的にTregを増加、減少させることにより、がんおよび自己免疫疾患の治療が可能かについてお話しいたします。