オープンカレッジのご案内


最新医学講座   オープンカレッジ   2016年第3期のご案内。

No.3「あなたならどうしますか?:がんと診断された時のために-最先端の研究・治療から心のケアまで」

[開講日程]平成28年11月11日(金) 〜 平成29年1月13日(金)
[コーディネーター]医学研究科 遺伝子制御学分野 教授 近藤 豊
日本では年間30万人超のがんによる死亡が続いており、年々その数は増加傾向にあります。このような時代の到来を予測して、現行のがん対策基本法が成立し今年で10年目を迎えます。その間、私たちがん医療に携わる専門の医師や研究者は、がんの動向を知るためのがん登録の推進、がん医療への実用化をめざした研究、放射線療法・薬物療法・手術療法の更なる充実、がんと診断された時からの緩和ケアの推進など、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」に貢献できるよう努めてまいりました。今回のオープンカレッジでは、最先端のがん研究や治療法からがんの緩和ケアまで、その道の一線で活躍する医師・研究者が「がんに関する知識」についてわかりやすく紹介いたします。

第1回   11月11日 (金)

がん研究の最先端-新しいがん治療に向けた医学研究-

名古屋市立大学大学院医学研究科 遺伝子制御学分野 教授 近藤 豊
最近のバイオ解析技術の進歩に伴い、がん研究も着実に進歩しています。こうした基礎研究の成果に基づいて「がん細胞に特徴的な弱点」を狙う薬が作られ、さらに個々のがんに応じて治療薬が選択できるなど、今まで治療効果が期待できなかった難治性のがんにも有効な治療法が開発されています。本講義では医療への応用を視野においた最先端のがん研究の一端をご紹介するとともに、これから始まる講義の理解を深めるための基礎知識を解説します。

第2回   11月18日 (金)

iPS細胞を用いたがん研究の最先端-日本発iPS細胞をどのように活かすか-

京都大学iPS細胞研究所 幹細胞腫瘍学 教授 山田 泰広
iPS細胞は再生医療への応用において大きく期待されているのみならず、特定の患者さんから樹立された疾患特異的iPS細胞は、疾患病態の解明や創薬のツールとして大きな期待を集めています。本講義では、まずiPS細胞樹立の背景とその性質について説明します。次にiPS細胞の再生医療への応用とともに疾患特異的iPS細胞を用いた疾患研究の現状について解説し、その創薬への応用の可能性について紹介します。さらに私たちが行っているiPS細胞作製技術を使ったがん研究を紹介します。特に遺伝子の使い方の変化(エピジェネティクスの変化)によるがんの発生と、その治療への展望について説明します。

第3回   11月25日 (金)

がん疫学最前線-がんの予防を考える-

名古屋市立大学大学院医学研究科 公衆衛生学分野 教授 鈴木 貞夫
いまや国民の三分の一はがんで死亡し、半分はがんにかかります。がんは非常に身近な病気ですが、部位により性質が異なるため、ひとくくりでがんを語ることはできません。治療法も進歩し、がんサバイバーという単語からもわかるとおり、がんは「治る病気」になりつつあります。そんな中でも昔から変わらないことは、「がんにかからないようにすること」、「がんを早く見つけて治療すること」です。前者を一次予防、後者を二次予防といいますが、がんの部位によりそれぞれの予防法に違いがあります。本講義では、部位ごとのがんの推移について概説したあと、それぞれのがんについての予防法の最近の考え方を説明します。

第4回   12月2日 (金)

がんの内視鏡医療最先端-内視鏡でがんを治す-

名古屋市立大学大学院医学研究科 内視鏡医療センター センター長,准教授 片岡 洋望
わが国における内視鏡医療技術のレベルは非常に高く、常に世界をリードしています。がんに対する診断、治療においてもその発展は目覚ましいものがあります。最新の日本のがん統計(2014年)によると、がんの死亡数は1位 肺、2位 大腸、3位 胃、4位 膵臓、5位 肝臓と上位2位から5位までを消化器のがんが占めており、消化器がんに対する内視鏡医療の重要性が認識されています。本講義では消化管がんに対する医療を中心に、当大学病院内視鏡医療センターで行われている最先端の内視鏡的診断、治療をご紹介します。

第5回   12月9日 (金)

がん放射線治療の最先端-最新の放射線療法とは-

名古屋市立大学病院 放射線科 中央放射線部 副部長 柳 剛
放射線治療の基礎をわかりやすく解説しながら、最新の放射線治療を学びます。前立腺癌、肺癌、食道癌、子宮頸癌、頭頸部癌、膵癌等を題材にして、治療法の変遷をたどりつつ現状についてお伝えします。特に、IMRT(強度変調放射線治療)については、前立腺癌を例に、治療の流れや治療中、治療後の注意点などについて詳しくお話し致します。時間の許すかぎり皆様からの質問にもお答え致します。すでに身近にがんの方がおられる方はもちろん、万が一がんと診断されたときにあわてなくてすむようにご参加をお待ちしております。

第6回   12月16日 (金)

最先端のがん薬物療法-薬でがんを治す-

名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学分野 教授 飯田 真介
がんの薬物療法といえば、20年前まではDNA傷害や代謝経路阻害など、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼすことから、副作用の克服が大きな課題でした。21世紀のがん薬物療法を一変させたのは、(1)分子標的薬と呼ばれるがんを引き起こす原動力になっている異常分子をピンポイントで攻撃する薬剤の登場、そして(2)免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれ、がん細胞がキラーT細胞から身を守るために発現している免疫抑制分子の働きを阻害することによってキラーT細胞にがん細胞を攻撃させる免疫療法の発展です。しかし、これら新規のがん薬物療法は著しい効果を発揮する反面、これまで経験しなかった新たな副作用発現、そして医療経済的な問題など新たな課題を投げかけています。

第7回   1月6日 (金)

乳がん治療の最先端-女性に最も多い乳がんの治療とは-

愛知県がんセンター中央病院 副院長 兼 乳腺科部部長 岩田 広治
乳がんは女性のがんの罹患率トップで、生涯で12人に1人が罹患します。生活習慣、食生活の変化によって今後更に増加が予想されています。治療手段はこの25年で劇的な進歩を遂げ、多くの乳がんが生活の質を担保したうえで、完治が望めます。さらに再発をしてからもがんと共存しながら長期生存が可能な慢性疾患のような病気となっています。がん細胞の遺伝子・あなたの持って生まれた遺伝子を調べて患者さん毎の個別医療を提供する時代に向け、がん医療は進んでいますが、乳がんの分野も例外ではありません。最先端の診断技術、薬剤の開発が日進月歩で進んでいます。

第8回   1月13日 (金)

がん緩和医療の最先端-より質の高い緩和ケアとは-

しんじょう医院 院長 新城 拓也
最近、緩和医療は変化しています。早期からの緩和医療の実践が世界中で広がりそのうねりは日本にもやって来ています。緩和医療を受けることで余命が延長するとも言われており、緩和医療は亡くなる直前のみに受けるものではなくなってきました。最近の緩和医療は痛みのように身体を衰弱させる症状を少しでも緩和させるだけではなく、心のケアや家族へのケアを通じて、さらには、がん治療による苦痛の緩和、また複数の医療機関、医療者の連携を円滑にし、毎日の生活をより良くするための働きかけをするのです。緩和医療の今をお伝えします。