オープンカレッジのご案内


最新医学講座   オープンカレッジ   2016年第2期のご案内。

No.2「やる気とこころの発達の科学」

[開講日程]平成28年9月2日(金) 〜 平成28年10月21日(金)
[コーディネーター]医学研究科 統合解剖学分野 教授 植木 孝俊
日本は世界有数の長寿国で、21世紀末には平均寿命が100歳を超えるとの予測もあります。反面、社会保障改革の進まぬ状況で、未来の経済を支える子どもや若者の数は減り続けるとともに、「ひきこもり」や「現代うつ」に悩む青少年の数は高止まり、「やる気」と「こころの発達」の問題の解決が喫緊の課題となっています。本オープンカレッジでは、私たちがスマートフォン、インターネットへの依存を深め、食や睡眠のスタイルが急速に変貌して行く時、それらが私たちの「やる気」や「こころの発達」を障害するメカニズムと、問題を抱える人々への教育支援・治療の方策について、わが国を代表する心身発達の研究者、臨床医が平易に解説します。尚、本講義シリーズは、平成28〜32年度の文科省新学術領域研究「意志動力学(ウィルダイナミクス)の創成と推進」研究班に参画する研究者、医師により行われます。

第1回   9月2日 (金)

運動-楽しい軽運動で高める脳フィットネス-

筑波大学体育系教授 ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター長 征矢 英昭
身心の活力低下は子どもにも及んでいます。この解決策として、仲間と楽しむ軽運動に意欲と認知を共に高める効果があることが明らかとなってきました。楽しい軽運動がどのように脳に作用し、認知機能を高め、快適さを高めるのか?このからだを通して心に働きかける「脳フィットネス効果」について解説しながら、誰でもどこでもできる「フリフリグッパー体操®」のノウハウを紹介します。

第2回   9月9日 (金)

心理-やる気の心理学:伸びる人・伸ばす人-

同志社大学心理学部教授 田中 あゆみ
やる気が出るとき,出ないとき,心に何が起こっているのでしょうか。この講義では,私たち人間の「やる気」をめぐる心のしくみを,心理学の視点から解説します。実際の実験の例をもとに,心理学ではどのように心を研究するのかについても紹介します。やる気のしくみを理解することで,自分だけでなくまわりの人のやる気もアップさせることを目指しましょう。

第3回   9月16日 (金)

精神疾患-「現代うつ」「社会的ひきこもり」の多面的理解と治療戦略-

九州大学 先端融合医療レドックスナビ研究拠点・九州大学大学院 医学研究院 精神病態医学分野 特任准教授 加藤 隆弘
最近、特に若者の間で「現代型うつ」「新型うつ」などと称される新しいタイプの抑うつ症候群が台頭しており、「社会的ひきこもり」と同様に、医療・産業・経済・教育現場に深刻な影響を及ぼし社会問題と化しています。本講演では、こうした現象に文化(「恥」など)、社会(「甘え」「ネット化」など)、あるいはカラダ(「栄養」「炎症」など)が如何に関与しているかを最新の知見を元に概説し、その治療戦略に関して紹介したいと思います。

第4回   9月23日 (金)

免疫-育ちと暮らしの「環境」が「やる気」に及ぼす影響を考える-

名古屋市立大学医学研究科 統合解剖学分野教授 先端医療技術イノベーションセンター長 植木 孝俊
日本が未曾有の超少子高齢化を迎える中で、将来の経済を担う青少年に見られる「学級崩壊」、「不登校」、「ニート」などの「やる気」と「こころの発達」の障害が問題となっています。今、身の回りにインターネットが張り巡らされ、日本の伝統的な生活スタイルが失われていく中で、子ども〜青年の生育・生活「環境」の「現代化」が、「やる気」にどのように影響を及ぼすかを、神経科学や免疫学などの立場から考えてみたいと思います。

第5回   9月30日 (金)

覚醒-「やる気」と覚醒の密接な関係-

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授 櫻井 武
「やる気」には脳の報酬系というシステムが深く関与しています。「やる気」が発動している時には覚醒レベルが高くなり、脳だけではなく、体の動きも活発になることが知られています。脳がどのような情報処置によって、報酬を感じ、それがどのような神経機構によって覚醒を高め、行動を支えているのかを解説します。

第6回   10月7日 (金)

発達障害-発達障害のある人の「やる気」を支えるために-

医療法人好生会小笠病院院長 鈴木 勝昭
「やる気」を、何らかの行動をしようとする意欲や、その行動への意識の集中と考えたとき、発達障害、たとえば自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症のある人は「やる気」の面で様々な問題を抱えやすいことが知られています。それらの問題がいかにして生じるのかを、各々の発達障害を特徴づける一次障害、および環境との不適切な相互作用に伴う二次障害との関係から解説します。そして、発達障害のある人たちが自分の好きなことに注目し、興味を持って工夫を重ねていける「その人に合った学び」のための支援について考えたいと思います。

第7回   10月14日 (金)

食-食と心身の健康-

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心身内科学分野教授 乾 明夫
健やかな心と身体は、いかなる年齢にあっても重要ですが、食がこれを支えることは言うまでもありません。成長期には、食にかかわる様々な問題が見られます。肥満症と悪液質がその代表ですし、1型糖尿病や摂食障害も若い人に多く見られます。社会的に孤立することや、不安や怒りなどの気持ちを強く持つことも心身を疲弊させ、食行動の異常としてあらわれることがあります。家族や地域での繋がり・心の絆が、食を含む心身の健康に必要です。食の分野も大きな進歩が見られつつあり、そのお話もできればと思います。

第8回   10月21日 (金)

脳-脳が語るこころの健康状態-

浜松医科大学光尖端医学教育研究センター生体機能イメージング研究室教授 尾内 康臣
やる気が起こるとは、まずこころの状態が不穏でないことが基本です。では、このこころの状態はどのようにして知ることができるのでしょうか?脳の働きを調べる画像手法を使えば、こころの状態を可視化することが可能です。機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)やポジトロン断層画像法(PET)の出番です。PETの利点は脳のこころの作用を分子の働きとして捉えることができます。本講演では、PETを用いてヒト脳内のこころの健康状態に関する神経機構を画像化してみたいと思います。やる気を生じるには何が必要かも画像学的に考察したいと思います。