オープンカレッジのご案内


最新医学講座   オープンカレッジ   2016年第1期のご案内。

No.1「外科治癒における最新の話題」

[開講日程]平成28年6月3日(金) 〜 平成28年7月22日(金)
[コーディネーター]医学研究科 腫瘍・免疫外科学 教授 中西 良一
国民の死亡原因の第1位である「悪性新生物(がん)」や第2位の「心疾患」に対する治療法として、外科治療は今なお進歩し続けています。本オープンカレッジにおいては、21世紀になり特に注目されている治療法や最新の話題として、低侵襲な内視鏡手術(胸腔鏡・腹腔鏡手術)、ロボット手術やカテーテル手術だけでなく、新しい再建治療や人工心臓の進歩について、専門家の立場からわかりやすく説明し、市民の皆様に最新の外科治療に対する理解を深めていただくことを目的とします。

第1回   6月3日 (金)

腹腔鏡手術からロボット手術へ

医学研究科 腎・泌尿器科学分野 准教授 戸澤 啓一
前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen: PSA)による検診の普及に伴い、早期前立腺癌の割合が増加しています。この中で、低侵襲手術の確立、放射線療法の進歩により根治療法の選択肢が大幅に増加しました。患者にとって大きなメリットですが、逆に自分に最も適合した治療法は何か?で迷うことも多くなっているのが現状です。本講演では、近年の前立腺癌の治療法の進歩、特にロボット支援手術をはじめとした低侵襲手術の進歩、去勢抵抗性(ホルモン抵抗性)前立腺癌の薬物療法についてわかりやすく概説します。

第2回   6月10日 (金)

上部消化管における最新の外科治療

医学研究科 消化器外科学分野 准教授 石黒 秀行
最近、芸能人の食道癌、胃癌の話題がテレビで報道され、その治療方法が注目されています。食道癌の死亡率は相変わらず高く、胃癌死亡数は減少傾向にあるものの、いまだがん死因の第2位であります。近年外科的治療の進歩、特に胸腔鏡、腹腔鏡の技術進歩によって、より低侵襲に、より精密に手術が行えるようになってきました。消化管癌を中心に、その他の疾患でもその適応は広がっています。本講演では、実際の手術ビデオを供覧し、臨床現場の現状と今後の展望を紹介致します。

第3回   6月17日 (金)

肝胆膵疾患の外科治療~より安全な手術を求めて

医学研究科 消化器外科学分野 准教授 松尾 洋一
「肝胆膵外科」とは,肝臓・胆道・膵臓の手術治療を言います。消化器外科の中でも、胃や大腸と違って少しなじみが薄いかもしれません。もちろん、胆石症に対する胆嚢摘出術のような比較的小さな手術もありますが、膵癌や肝癌の手術は侵襲も大きく、術中術後の合併症も多い治療法です。本講演では、肝胆膵疾患についてわかりやすく説明し、外科治療、特により安全な手術を求めた最近の話題について概説したいと思います。

第4回   6月24日 (金)

心臓血管外科における最近の進歩~からだに優しい治療とは~

医学研究科 心臓血管外科学分野 准教授 須田 久雄
最もお体に負担がかかる"大手術"といえば、心臓や大動脈の手術が真っ先に連想されることでしょう。一方で高齢化社会を迎えた今、心臓血管外科領域でも"体に優しい(低侵襲)"手術の進歩は目覚ましいものがあります。今回は、低侵襲手術といわれるカテーテルによる弁膜症治療(経皮的大動脈弁置換:TAVI)、動脈瘤に対するステントグラフト治療、心臓を止めない冠動脈バイパス術等の現状と限界について、わかりやすく概説します。さらに、重症心不全に対する治療として、心臓移植に替わりうる補助人工心臓についても解説します。

第5回   7月1日 (金)

乳がん診療の最近の話題

医学研究科 腫瘍・免疫外科学分野 病院教授 遠山 竜也
乳がんは日本人女性が罹患する悪性腫瘍の第一位であります。その患者数は年々増加傾向にあり、年間罹患者数は8万人を超えています。しかし、乳がん患者の約7割において治癒が可能ですので、早期に発見し、適切な治療を受けることが乳がんの克服につながります。また、乳がんの約5~10%は遺伝性であり、遺伝性乳がんには通常の乳がんとは異なる治療アプローチが必要となります。本講演では、乳がんの診断・治療の進歩、および遺伝性乳がんを含む最近の話題について解説致します。

第6回   7月8日 (金)

乳房再建

名古屋市立大学病院 形成外科部長 鳥山 和宏
乳輪乳頭形成、自家組織による乳房再建に引き続き、人工乳房(インプラント)による乳房再建も保険適応となり、乳癌術後の整容性を求める患者さんが増加しています。当院では、昨年3月の形成外科の新設に伴い、人工乳房および自家組織(広背筋皮弁と腹直筋皮弁)による再建を行っております。そこで、乳房再建の手術方法と各方法の利点と欠点について講義します。また4月から新設される乳癌・乳房再建センターについてご紹介します。最後になりましたが、本講義が患者さんおよびご家族の治療選択の一助になれば幸いです。

第7回   7月15日 (金)

特異な悪性腫瘍「胸腺腫」

愛知医科大学 呼吸器外科 特任教授 矢野 智紀
胸腺腫は腫瘍性の上皮細胞と非腫瘍性のリンパ球で構成される特有の悪性腫瘍であります。腫瘍細胞の形態も多彩ですが、その特徴として自己免疫疾患を合併することが挙げられます。その代表疾患が重症筋無力症であります。重症筋無力症は胸腺の摘出によって改善する可能性がありますが、そもそも正常胸腺ではTリンパ球が選択増殖される場であり、抗体産生とは無関係であり、興味深いところであります。悪性腫瘍としての性格はおとなしいのですが、細胞実験が困難なことや症例数が少ないことから研究の進まない悪性腫瘍の一つであります。不思議な腫瘍である胸腺腫を紹介し、さらに最近の本邦の動きや世界の取り組みを紹介致します。

第8回   7月22日 (金)

肺がんに対する胸腔鏡手術

医学研究科 腫瘍・免疫外科学分野 教授 中西 良一
日本人の癌死亡の中で最も多い「肺癌」に対し、1990年代初頭に導入された胸腔鏡手術は、低侵襲による多大な恩恵を患者にもたらすことから、早期肺癌を対象に徐々に増えつつあります。しかし、多くの技術的修練を外科医に要求するため、日本独自の変化を遂げました。日本ならではの開胸手術との融合によるちょっと傷の大きな胸腔鏡補助下手術と、世界に通用する傷の小さな完全胸腔鏡手術があるのを、ご存じでしょうか?本講演では、この完全胸腔鏡手術の実際を紹介し、その術式開発や進行がんへの適用について、当科の取り組みを解説致します。