オープンカレッジのご案内


最新医学講座   オープンカレッジ   2014年第3期のご案内。

No.3「高齢化社会・環境変化とともに変貌する呼吸器疾患」

[開講日程]平成26年11月7日(金) ~ 平成27年1月9日(金)
(12月26日、1月2日は除く)
[コーディネーター]医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 教授 新実 彰男
呼吸器(気管支、肺)は常に外界に接するため環境変化に最も敏感な臓器です。環境要因の悪化や人口高齢化などに伴って呼吸器疾患は増加傾向にあり、WHO(世界保健機構)の予測では2020年には世界の死因の3−5位を慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、呼吸器感染症、呼吸器癌(主に肺癌)が占めるとされています。また生命に関わることは多くはないものの生活の質に大きく影響する喘息などのアレルギー性呼吸器疾患も増加しています。さらに慢性咳嗽(長引く咳)や肺非結核性抗酸菌症などの増加も問題となっています。本企画では代表的な呼吸器疾患について、加齢と環境変化をキーワードとしてわかり易く解説します。

第1回   11月7日 (金)

高齢者肺癌の治療 -体にやさしい治療を目指して-

医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 准教授 小栗 鉄也
日本における死因のトップが癌であることは、今や常識ともいえるものだと思いますが、その癌の中で最も死亡数の高い癌が「肺癌」ということをご存知でしょうか。実は日本の場合、肺癌患者さんの半数以上が高齢者なのです。つまり、肺癌の治療を考える場合には、同時に高齢の患者様の治療をどうするかという視点が必ず必要になります。今回は、肺癌治療の進歩とともに、体にやさしい治療を目指した高齢者における肺癌治療についてお話します。

第2回   11月14日 (金)

COPDについて:その息切れ、年のせいにしていませんか?

医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 病院講師 竹村 昌也
COPD (シーオーピーディー)という病気をご存じですか? 以前は慢性気管支炎や肺気腫といわれていましたが、WHO (世界保健機構)の提唱に従って、この2つはまとめてCOPD(慢性閉塞性肺疾患) と呼ぶようになりました。COPDの主な原因はタバコです。タバコを吸っていると気管支や肺に慢性的な炎症が起こり、咳・痰・息切れなどの症状を自覚するようになります。40歳以上の日本人の8.5%はCOPDあるいは予備軍で、世界的にも喫煙率が高く高齢化の進む日本では今後もCOPD患者は増加することが予想されます。本講義ではCOPDの病態、治療、禁煙のススメについて解説します。

第3回   11月21日 (金)

喘息は子供の病気?:成人喘息の疫学・診断・治療

医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 教授 新実 彰男
喘息(ぜんそく)とは、気管や気管支 (空気の通りみち=気道) が狭くなるために咳、喘鳴(ヒューヒューゼーゼー)、呼吸困難が生じる疾患です。狭くなった気道が治療で広がると、症状は改善します。小児期に発症する病気と思われがちですが、実は成人の喘息の約6割は成人後発症です。高齢発症も珍しくありません。高齢者は呼吸困難を感じにくいので発作治療が遅れることがあり要注意です。治療はアレルゲン、喫煙などの悪化因子の回避が基本です。その上で気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を中心とする薬物治療を行います。短期間で治癒する疾患ではないので根気よく治療を続けましょう。

第4回   11月28日 (金)

間質性肺炎:あまり知られていないがよくある病気

医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 助教 大久保 仁嗣
間質性肺炎という病気をご存知でしょうか?有名人の死亡原因や知り合いの病名として、知っている方もいるでしょう。肺炎というと微生物の感染で起こるものがほとんどですが、間質性肺炎は感染症ではありません。原因不明の間質性肺炎は特発性間質性肺炎と呼ばれており、古くから研究されている病気です。原因のある二次性の間質性肺炎にはリウマチなどの膠原病、薬剤の副作用、居住環境のカビに対するアレルギーなどがあります。間質性肺炎は、あまり知られていない割には結構一般的な病気です。

第5回   12月5日 (金)

石綿(アスベスト)による病気

旭労災病院 副院長 宇佐美 郁治
平成17年に石綿製品を製造していた工場の周辺住民に石綿による中皮腫、肺がんが発生し、その患者さんに対して会社が補償をしたということが報道され、大きな社会問題になりました。
石綿による「じん肺」という病気は古くから知られていましたが、「じん肺」は大量の粉じんのばく露を受けて発症するため一部の職種に限られたものでした。しかし、近年、石綿による発がん性が問題になり、中皮腫などは長い潜伏期間を経て低濃度ばく露でも発症することが広く知られるようになりました。石綿は多種多様の場所で使用されているため、多くの人を巻き込む裾野の広い問題となりました。一部の方の病気から多くの方が関わるようになった石綿関連疾患とその補償制度などにつき解説をいたします。

第6回   12月12日 (金)

ストップ!肺炎-どのように身を守るか-

医学研究科 病院教授/市立大学病院 感染制御室長 中村 敦
日本人の死因でこれまで第4位であった肺炎は2011年に脳卒中を抜いて第3位になりました。若年と比べ,抵抗力が落ちるとともにいくつかの持病を抱えている高齢者は肺炎で死亡するリスクが高く,90 歳以上の高齢者で死因の第1 位となっています。高齢化が進む日本において肺炎にかからないようにするにはどうしたらよいか,予防法についても一緒に考えてみたいと思います。

第7回   12月19日 (金)

変わりゆく抗酸菌症―結核と非結核性抗酸菌症-

医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 講師 伊藤 穣
結核は世界的には現在でも最大級の患者数を有する感染症で、薬剤耐性菌など新たな問題もあります。国内での結核患者数は減少傾向にありますが、高齢者人口の増加とともにその発病が課題です。結核以外の抗酸菌である非結核性抗酸菌は、自然界や生活環境の土や水に生息する環境常在菌で結核に比べ病原性の低い菌です。しかし、近年非結核性抗酸菌症の患者数は増加傾向で、結核患者数の減少した多くの先進国で結核患者数を上回っているとみなされています。結核に比べ、治療薬の開発が遅れており、今後の医療上の課題となる疾患です。

第8回   1月9日 (金)

たかが咳、されど咳:長引く咳にご用心

医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 教授 新実 彰男
長引く咳は体力の消耗や生活の支障をきたすため、正しい診断と治療が必要です。目安として3週間以内の咳は"急性の咳"、8週間以上続く場合は"慢性の咳"といいます。
急性の多くは風邪の咳や、風邪の後咳だけが残る「感染後咳嗽」です。風邪の後に咳が2〜3週間続いたら胸部X線撮影を受けましょう。X線の異常や咳以外の症状がなく、徐々にでも良くなるなら様子をみてよいでしょう。他に原因がなければ最終的には咳は止まります。
一方、1ヵ月を過ぎても良くならなければ他の原因が考えられます。慢性咳の主な原因は、「咳喘息」、「胃食道逆流症」,「副鼻腔気管支症候群」などです。これらの疾患につき解説します。