オープンカレッジのご案内


健康科学講座   オープンカレッジ   2013年第1期のご案内。

No.1「疫学から見た世界」

[開講日程]平成24年6月7日(金) 〜 7月26日(金)
[コーディネーター]医学研究科 公衆衛生学分野 教授 鈴木貞夫
「疫学」は、簡単には「集団を対象にする秩序ある研究」です。事象を数え、集計し、分析し、対策を立案、実施、評価するという一連の流れを受け持っている学問体系です。疫学的な考え方は、医学のみならず社会学全般に広く用いられています。
個々の疾患や寿命、心の在り方などの分析による疾患予防や健康増進、疫学の臨床や薬剤開発への応用、国際医療行政への関与、さらにリスクヘッジとしての生命保険の仕組みなど、トピックスとしては多彩なものですが、すべて「疫学」が根底に流れています。
世の中の現象の数を調べ、その動きから関連を考察する、「疫学」のエッセンスに触れることで、明日からの新聞の読み方が変わってくるかもしれません。

第1回   6月7日(金)

疫学とはどういう学問か

医学研究科 公衆衛生学 教授 鈴木貞夫
タバコは身体に悪いのでしょうか。少年犯罪の根底にあるのは「心の闇」でしょうか。世の中には膨大な情報があふれ、あるものは「原因」として、ある「結果」を導くと信じられています。こうした因果関係はどのようなデータに基づいているのでしょうか。信ぴょう性はあるのでしょうか。要因相互の因果関係を数の面からアプローチするのが疫学の重要な役割です。この考えは医学だけでなく、様々な分野に広く応用されています。今回は、実例を引きながら、疫学と因果関係について概説します。

第2回   6月14日(金)

寿命から健康を考える

医学研究科 公衆衛生学 准教授 永谷照男
日本は世界でもっとも長い寿命を達成している国のひとつです。日本では寿命は毎年計算され、公表されていますが、その意義や算出方法は一般にはあまり知られていません。今回、これまでの日本人の寿命の推移や諸外国との比較などから、長寿の社会的・医学的背景や健康・疾病との関わりを考えます。また、長寿の結果として、日本は世界でもっとも急速な人口の高齢化を迎えていますが、人口の現況と将来予測から、これからの日本人の健康についても考察します。

第3回   6月21日(金)

臨床疫学

愛知医科大学 医学部 講師 西山毅
医療に自然科学的手法が持ち込まれたのは比較的最近の19世紀中頃であり、その手法が確立されたのはつい最近の20世紀末のことです。したがって、「医療の歴史は誤りの歴史」となるのは必然のことでした。ヒポクラテスの誓いにあるように、「少なくとも害を与えない」ために具体的にどういう取り組みが行われ、その結果医療がどのように変化したかについて、今回の講義で平易に説明します。

第4回   6月28日(金)

疫学と生命保険

ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 出口治明
疫学とはとても深い関係である生命保険ですが、まず、生命保険とは、どのように、何を目的に作られたものなのでしょうか。今回の講義では、生命保険の歴史をさかのぼり、生命保険の原点を整理することからはじめ、それを踏まえて、生命保険と疫学との関係性について、理解を深めていきたいと思います。

第5回   7月5日(金)

心と体の健康と疫学

医学研究科 公衆衛生学 准教授 小嶋雅代
目に見えない人の心ですが、疫学的な研究手法を用いれば、心と体の健康の関係の強さを数字にして見ることができます。アレキシサイミアとは、自分の気持も相手の気持も良く分からない、感情を言葉で表現できない性格傾向で、難治性の心身症患者の特徴として提唱された概念です。近年、様々な病気の危険因子として注目されています。身体的健康との関連が深い心理的要因として「うつ病」と「アレキシサイミア」に注目し、関節リウマチ(RA)と慢性腎不全という2つの異なる慢性疾患を対象として行った疫学調査の結果についてご報告します。

第6回   7月12日(金)

疾病予防医療支援を目的とした国際協力

名古屋大学 大学院医学系研究科 教授 浜島信之
わが国の医療は多くの問題を抱えていますが、アジアの国々では日本の医療レベルでは考えられない現状が存在します。健康保険が完備されていないこと、医療施設や医療従事者が不足しているなど、多くの問題は本質的で解決困難です。これらの問題解決を支援することは、わが国の重要課題のひとつです。名古屋大学では、アジアからの厚生省医系職員を対象に、Young Leaders' Program(YLP)からの奨学資金を受け入れ、1年の修士コースを10年前に開始しました。今回は、アジアの医療の現状とYLPの内容をご紹介します。

第7回   7月19日(金)

薬剤疫学-『薬を育てる』という発想

株式会社 CLINICAL STUDY SUPPORT 代表取締役社長 磯村達也
みなさんは、薬局で売られている薬や、医療機関で使われている薬が、新しく世の中に出るまでに、どのようなプロセスを経ているかご存知でしょうか。薬の安全性や有効性はどのように評価されるのでしょうか。動物実験では確認できない、人間に対する薬の作用を、「人権」を守りながら、どのように判定するのでしょうか。そもそも薬が「効く」というのは、どういうことで、基準はどのように設定されているのでしょうか。新薬の開発はどのようになされるべきなのでしょうか。ここでは、人間の英知が作り出した臨床試験、薬剤疫学を概説します。

第8回   7月26日(金)

がん疫学

医学研究科 公衆衛生学 教授 鈴木貞夫
がんは、日本の死因のトップの疾患であり、いまや日本人の3人に1人はがんで死亡し、2人に1人は生涯に1回はがんに罹患すると言われています。しかし、がんは部位によって異なる特性を持ち、したがってリスク要因も多彩です。私たちはがん予防のために、何に気をつけ、どのような生活を送ったらよいのでしょうか。今回はがんをテーマにして、疫学的な観点から概説します。特に、がんの部位別の年次推移、国際比較、リスク要因、検診とその位置づけ、予防法を中心にお話します。