オープンカレッジのご案内


健康科学講座   オープンカレッジ   2012年第3期のご案内。

No.3「感覚受容のメカニズムと感覚器障害」

[開講日程]平成24年11月9日(金)~平成25年1月18日(金)
(11月23日、12月28日、1月4日は除く)
[コーディネーター]医学研究科 機能組織学分野 教授 鵜川眞也
われわれは、常に光や音といった外界からの刺激を受けています。また、おなかの痛みや関節の曲がり具合などのように、身体の内側からも刺激を受けています。これらの刺激は、その種類ごとに高度に特殊化した感覚器で感知されます。そして、われわれは、内外の状況に応じて、適切かつ機敏に反応しています。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、自然を正しく把握する能力として、いわゆる五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を提唱しました。第3期オープンカレッジでは、五感と痛覚を対象に、感覚器の構造と感覚受容のメカニズム、感覚器障害とその治療方法について、最新の知見をまじえながら、わかりやすく解説したいと思います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

第1回   11月9日(金)

難聴をいかに克服するか

医学研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学 助教 稲垣彰
聴力はヒトにとって重要な感覚情報のひとつです。しかしながら、WHOの調査によると世界中で約3億人もの人がこのかけがえのない感覚を失い、中度から高度の難聴に悩まされています。しかし、一方で難聴者の50%が予防、あるいは治療が可能であるといわれています。今回の講義では、難聴のしくみをはじめ、現在病院で行われている治療法、さらには最新の遺伝子治療研究の最前線まで幅広くご説明いたします。

第2回   11月16日(金)

嗅覚障害の診断と治療

医学研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学 准教授 鈴木元彦
においがわかりにくくなる嗅覚障害は、Quality of Life (QOL)を低下させます。においがわからなくなると、香りを楽しむことができなくなったり、食事がおいしくなくなったり、食べ物の腐敗に気がつかなかったり、火事やガス漏れを見つけるのが遅れたりするなどの困ったことが生じます。また嗅覚障害は副鼻腔炎、感冒、アレルギー性鼻炎、外傷、薬の副作用などさまざまな原因で起こります。本講義では嗅覚障害の診断と治療を中心に説明いたします。

第3回   11月30日(金)

ヒトの痛みを考える

医学研究科 麻酔・危機管理医学 講師 杉浦健之
病院へ通う理由では、体のどこかの"痛み"が最も多いのではないでしょうか。痛みはもともと警告信号として、体に異常が起きていることを知らせる重要な感覚です。本講義では、まずヒトが痛みを感じるメカニズムを、感覚神経と脳(こころ)の両面から考えてみたいと思います。感覚神経の興奮性、脳における情動や記憶などとの関連が、痛みを複雑にしています。後半では、痛みの代表である腰下肢痛、がんに伴う痛みにどのように対処したら良いか理解していただき、さらに慢性痛の先進的な治療方法を紹介したいと思います。

第4回   12月7日(金)

視覚系の構造と機能

医学研究科 視覚科学 病院教授 吉田宗徳
視覚とは可視光によってもたらされる感覚をいいます。ヒトは視覚によって、物の形や色、運動などの情報を得ています。その情報量は人間が外界から得る刺激の80%以上を占めるとされています。ヒトでは光の刺激はまず眼球内の神経組織である網膜視細胞によって受容され、化学反応によって光の刺激が電気信号に変えられます。その後、信号は中継基地である網膜神経節細胞に伝えられ、視神経を通って外側膝状体から大脳に至り、後頭葉の視覚野で情報処理を受けて視覚として感知されます。本講義では、視覚に関する組織の構造と機能について解説します。

第5回   12月14日(金)

網膜に関連する視覚障害の予防と治療

医学研究科 視覚科学 准教授 安川 力
眼球をカメラに例えた場合のフィルムに相当するのが網膜であり、さまざまな疾患が存在し、視力低下、視野欠損、変視症(ものがゆがんで見える)といった症状が出現します。主な疾患としては、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑円孔などがあります。加齢黄斑変性は最近増加している高齢者の疾患で、早期治療、予防が大切です。糖尿病網膜症は成人失明の主因ですが、適切な治療により多くの場合、失明を防ぐことができます。網膜剥離、黄斑円孔は手術を要します。網膜の障害は回復困難な場合が多く、本講義では、予防・早期発見・早期治療の大切さを解説します。

第6回   12月21日(金)

視覚のサイエンス-白内障と緑内障

医学研究科 視覚科学 講師 野崎実穂
本講義では、特に中高年になると問題になってくる緑内障、白内障についてお話します。白内障は、目の中のレンズ=水晶体が濁ってくる病気ですが、現在手術の技術も進歩しており、予後の良い病気といえます。いっぽう、緑内障は、視神経が障害される病期で、視野が狭くなるといった症状があり、白内障のように、手術すればよく見えるようになる病気ではありません。ただ、早期発見できれば、それ以上進行しないように治療することは可能です。白内障、緑内障になるとどのように視覚が障害されるのか、さらに早期発見するための注意などに触れたいと思います。

第7回   1月11日(金)

めまい・平衡と耳の関わり

医学研究科 耳鼻咽喉・頭頚部外科学 助教 竹村景史
めまいというと、ぐるぐるやふわふわといった感覚を言います。実はそのめまいの多くが、皆さんが三半規管と言われる耳から起こっているのはご存じですか。耳は、姿勢保持に深く関与しており、2本足で立っている人間は、4本足の動物に比べ不安定で、高度な姿勢保持が必要です。そんな2足歩行に大きく関与している耳の構造、働きを説明し、耳から起こるめまいについて学びませんか。また、めまいに対して有効なリハビリテーションの仕方について説明したいと思います。

第8回   1月18日(金)

味覚・触覚受容のメカニズム

医学研究科 機能組織学 教授 鵜川眞也
味覚には、塩味、酸味、苦味、甘味、うま味があります。また、トウガラシなどで引き起こされる辛味も味覚に分類されることがあります。これらの味は、食べ物に含まれる栄養源と毒物とを区別するための、われわれにとって必須の感覚です。近年の医学・生物学の進歩により、それぞれの味がどのような機序で生じるのか、遺伝子レベルで明らかになりつつあります。興味深いことに、食べ物を受容し、味覚を引き起こすタンパク質の一部は、われわれの触覚にも関係しています。本講義では、味覚が生じるメカニズムおよび触覚との意外な関係について、基礎医学の立場から、わかりやすく解説したいと思います。