オープンカレッジのご案内


健康科学講座   オープンカレッジ   2012年第2期のご案内。

No.2「小児医療の最先端」

[開講日程]平成24年9月7日(金)〜平成24年10月26日(金)
[コーディネーター]医学研究科 新生児・小児医学分野 教授 齋藤伸治
近年の医学研究や医学技術の革新的発展は、小児医療の姿を大きく変えています。これまで、不可能であった診断や治療が今日の医療現場では当たり前に行われています。しかし、このような変化は病院の外からはなかなかみることができません。新しい技術は一方で、倫理的な問題を伴うことも多く、望ましい医療の発展には、一般の方々が正しく医療の進歩を理解することが重要です。本講座では、小児医療における先端医療の到達点を、それぞれの分野での第一人者の方々に分かりやすく解析していただくことを通して、これからの小児医療のあり方を一緒に考えていきましょう。

第1回   9月7日(金)

小児医療の最先端:遺伝子診断から遺伝子治療へ

医学研究科 新生児・小児医学 教授 齋藤伸治
近年の分子遺伝学やゲノム科学の進歩により、ほとんどの遺伝病の原因遺伝子が同定されました。また、革新的に発展している遺伝子解析技術により、単一遺伝子病にとどまらず、多因子遺伝病の遺伝要因を目に見える形で示すことが可能になってきています。このような発展により遺伝子が関連する疾患の理解は著しく進んでいます。しかし、原因となっている遺伝子に対する治療は未だに研究段階であり、更なる発展が望まれています。今回の講義では、遺伝子医療の到達点と課題を解説します。

第2回   9月14日(金)

胎児の診断について

医学研究科 臨床遺伝診療部 准教授 鈴森伸宏
今まで出産後に診断されていた新生児でも、最近では妊娠中に診断される場合が増加している一方、胎児診断されてもすぐ治療の対象となることは少なく、妊婦さんに多大なストレスをかけることがしばしばあります。また、出生前遺伝子診断が可能な症例が増加していく反面、国内では倫理的な問題の指摘により診断の対象となる疾患はごく限られており、妊婦さんやその家族を悩ませることがあります。今回、出生前診断と遺伝カウンセリングについて解説し、これからの胎児診断と小児医療のあり方を考えたいと思っています。

第3回   9月21日(金)

小児整形外科疾患における概念、診療技術の変遷と進歩

医学研究科 リハビリテーション部 病院教授 和田郁雄
小児整形外科疾患の中には診断や治療が遅れると不良な経過をとり、思春期以降に重度の機能障害を招来する疾患が少なからずみられます。そのため、早期かつ的確な診断、治療が重要である事は論をまちません。本講演では、下肢運動器系の要である股関節の疾患を中心に、下肢の疾患あるいは変形に関する概念や診療技術の変遷あるいは進歩について概説します。併せて、筋骨格器系の発生と成長についても述べます。

第4回   9月28日(金)

小児泌尿器科治療の最先端

医学研究科 腎・泌尿器科学 病院教授 林祐太郎
私たち泌尿器科医は、病気とたたかう子どもたちの腎機能、排尿機能を守るだけでなく、将来の生殖機能、性機能を保持することを使命としています。水腎症や膀胱尿管逆流という腎臓関係の疾患では、早期に手術すべきか、経過観察すべきかの判断が重要です。停留精巣や尿道下裂という生殖器の疾患では、早期に確実な手術治療が必要とされます。名市大の泌尿器科チームは全国に先がけて、腹部を切開しないで小さな孔から手術を行う腹腔鏡手術をリードしてきました。さらに将来を担う小児のために、今後はロボット手術を導入する予定です。

第5回   10月5日(金)

小児外科診療の最前線

医学研究科 腫瘍・免疫外科学 病院准教授 近藤知史
生まれてくる赤ちゃんは、何事もなくすくすくとそだっていくことが理想であり、両親や祖父母の皆さんの願いでもあります。しかし、運悪く様々な病気をもって生まれたり、様々な病気や事故に遭遇することもあり得ます。そのような場合に、できるだけ普通の生活ができるようにきちんと治療してあげるのが、我々小児医療に関わるものの願いであり使命です。ここでは、代表的な新生児の外科的疾患と小児期の代表的な疾患についてお話しをします。

第6回   10月12日(金)

先天性心疾患への外科治療の進歩と展開

医学研究科 心臓血管外科学 病院教授 浅野實樹
生まれながらに心臓血管疾患(先天性心疾患)を持つ子供への治療は、近年目覚ましい進歩を遂げており多くの大切な命が救われるようになってきました。一方でより複雑で重症な先天性心疾患の外科治療が求められるようにもなってきており、特に心室が一つだけの疾患群(単心室症)では数年にわたる段階的手術が計画治療されるようになっています。さらに救命だけでなく将来の成長や機能向上をも考慮した心臓血管構築の再建が求められるのも当領域外科治療の特徴でもあります。今回は本学における豊富な先天性心疾患治療経験をもとに最前線の外科治療や今後の展開をご紹介いたします。

第7回   10月19日(金)

小児難聴の診断と治療

医学研究科 耳鼻咽喉・頭頚部外科学 助教 高橋真理子
先天性高度難聴の出現率は1,000~2,000の出生に対して1人の割合と報告されており、他の先天性疾患と比較しても高率に発生する疾病です。従来、小児難聴は言葉の発達の遅れから発見されてきましたが、近年では新生児聴覚スクリーニングの普及により、新生児期より難聴の診断が行われるようになり、早期から療育を開始することが可能になっています。高度難聴に対する新しい治療として人工内耳が開発され、人工内耳装用後に言語獲得のためのハビリテーションを行っています。今回の講義では、現在の小児難聴の診断と治療について解説します。

第8回   10月26日(金)

新生児医療の進歩と成育限界

医学研究科 新生児・小児医学 助教 杉浦時雄
新生児医療の進歩に伴い、より週数の早い、より小さい赤ちゃんが助かるようになってきました。日本の新生児死亡率は非常に低く、世界でトップレベルの成績となっています。1000g未満の超低出生体重児の生存率も80%を越えています。しかし、予定日を40週として、22週で生まれた赤ちゃんの生命予後はまだまだ厳しいものがあります。また、後遺症が問題となることもあります。何週から助けるのか?自分のお子さんやお孫さんが、その週数で出産になりそうになったらどうするか?成育限界について考えるきっかけになれば幸いです。