オープンカレッジのご案内


健康科学講座   オープンカレッジ   2012年第1期のご案内。

No.1「生活と毒性学の関わりー毒を知って安心・安全な生活」

[開講日程]平成24年6月1日(金)〜平成24年7月20日(金)
[コーディネーター]医学研究科 分子毒性学分野 教授 酒々井眞澄
毒性学というと毒を作っている危ない研究室というイメージがあるかもしれません。実際には、私達は普段の生活で皆さんが食べたり、吸い込んだりして体に取り込むような物質(例えば、グリシドール脂肪酸エステルやアスベスト)の安全性評価を行っています。安全性評価は毒性学の極めて重要な分野です。評価の結果は化学物質などの規制につながることもあります。今回は、毒性学がカバーする分野全般から専門家に来ていただき、皆さんの生活に役立つような情報をわかりやすく解説してもらいます。是非この機会に私達といっしょに勉強してはいかがですか。

第1回   6月1日(金)

毒性学とは何でしょうか
~ 食品の安全性 ~

医学研究科 分子毒性学 教授 酒々井眞澄
毒を避けて安心、安全な生活を送るには毒を知らねばなりません。私達の身の回りには様々な形で毒が存在します。食べ物に極少量存在するもの、天然物として存在するもの、嗜好品、化粧品、医薬品に含まれるもの、職場や生活の場でで吸い込むもの、付着するもの、照射されるものなどです。人の体に害になる毒についてわかりやすくお話します。食品の安全性に関する情報をどのように知れば良いかなどについて一緒に勉強しましょう。

第2回   6月8日(金)

毒を規制する
~ 化学物質の悪影響を食い止める ~

医学研究科 環境保健学 教授 上島通浩
現代の文明社会に生きる私たちの生活は、化学物質なしには成り立ちません。化学物質は生活を便利に、そして豊かにしてくれる反面、正しく利用・管理しないと私たちの健康を害したり、また環境破壊の原因になったりします。このことは、その化学物質が自然由来か、あるいは工業的に合成されたものであるかを問いません。本講義では、化学物質がもたらす人体や環境への悪影響をいかに防ぐか、実例を示しながら考え方の基本や社会的取り組みの現状について解説し、あるべき姿について皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

第3回   6月15日(金)

病気を起こす毒物
~ 毒を知って中毒を防ぐ ~

医学研究科 分子毒性学 准教授 二口充
毒と言えば、真っ先に思い浮かぶ言葉が「中毒」です。O157による食中毒は記憶に新しいところです。しかし、身の回りに潜む中毒の危険性は、食中毒だけではなくヒ素、カドミウムなどの重金属、カビ、細菌が産生する毒物、蛇、虫などに噛まれた場合など、日常生活の様々な場面で中毒症状を呈する場合があるのです。この講義では、日常生活のどのような場面に中毒の可能性があるのかを学び、それを避けるにはどうすれば良いか? 万が一中毒となった場合にはどうすれば良いのか? について解説いたします。

第4回   6月22日(金)

くすりの安全性
~ 飲み方次第で薬にも毒にもなる ~

医学研究科 臨床薬剤学 教授 木村和哲
薬は「両刃の剣」と呼ばれ、使い方によっては大変危険なものになります。人々の命を救う薬でも使用法を間違えれば必ず毒になります。抗生物質はなぜ細菌を死滅させ人にとって有用なのでしょうか。これは人にはほとんど害がなく細菌には毒だからです。がんの痛みを和らげるモルヒネなどは上手く使用すれば、がんの末期患者に有用な鎮痛剤となりますが、使い方を間違えば、依存性を残し快感を生む薬として使用されたり、死ぬことだってあります。この講義では、薬は使い方次第で毒にも薬にもなるということを実例で示し、わかりやすく解説します。

第5回   6月29日(金)

職場で遭遇する毒物とは
~ アスベストの危険性 ~

順天堂大学大学院医学研究科 分子病理病態学 教授 樋野興夫
アスベストは極小さい針のような形をした物質です。岩石を切り出して製造され、現在までに多くの国で広く使われてきました。アスベストを吸い込むと長い年月の経過後にがんを発症することがあります。私達は動物実験によりアスベストの吸入による中皮腫を診断可能な方法を発見しました。この研究成果をもとに2005年にわが国で初めて順天堂大学に「アスベスト・中皮腫外来」を開設し、患者の診断と治療を進める一方、建築作業員等の検診を実施してきました。私達は新たな中皮腫治療法の確立を目指しています。

第6回   7月6日(金)

毒を知ってがんを予防する
~ 食べ方次第で毒になる ~

静岡県立大学 環境科学研究所 教授 若林敬二
がん細胞が発生してから症状が出るまで10〜30年かかるといわれています。がんの罹患率や死亡率の動向を分析していくと、がんは予防できる病気であることがわかってきました。最近の研究で大腸がんのリスク要因として総脂肪、動物性脂肪、赤身の肉、加工肉、焦げた肉、アルコール飲料、メタボリックシンドローム等が報告されています。最近の研究成果をもとに、がんを予防するための食事、食生活のあり方、又、がん化学予防剤の開発の現状について解説します。

第7回   7月13日(金)

遺伝子を傷つける毒
~ 毒を知って遺伝子を守る ~

国立がん研究センター 研究所 所長 中釜斉
遺伝子はらせん状の分子が長く連なった構造をしています。これをDNAと呼んでいます。DNAは生命の設計図です。私達の身の回りに存在する様々な物質の中には直接的にあるいは間接的にDNAに傷(きず)をつけるものがあります。この傷は正常細胞が「がん細胞」になる最初の事象であると考えられています。このような物質を遺伝子障害性発がん物質と呼びます。この講義では、がんはどのようにして発生するかをわかりやすく解説し、私達の遺伝子を発がん因子から守る方策を考えます。

第8回   7月20日(金)

毒のからだへの影響
~ 毒を知ってからだを守る ~

医学研究科 実験病態病理学 教授 高橋智
毒が体に取り込まれた場合は吸収後に肝臓で無毒な物質に変換されて体外に排泄されます。これを解毒作用と呼びます。食品、食品添加物、医薬品、天然物などに含まれる様々な毒物は肝臓で代謝、解毒されます。中には臓器に対して障害性をもつ毒物も含まれています。例えば、ある種の薬剤は劇症肝炎を引きおこすことがあります。この講義ではヒトの体に障害をもたらすような毒をとりあげ、起こり得る臓器の障害をわかりやすく解説します。