オープンカレッジのご案内


健康科学講座   オープンカレッジ   2010年第3期のご案内。

No.3「環境と健康」

[開講日程]11月5日(金)〜12月24日(金)
[コーディネーター]医学研究科   環境保健学   教授   上島通浩
環境が人の健康に影響を与えることは、古代ギリシャの時代から知られていました。医学の祖として知られるヒポクラテスは、疾病と環境との関係について、自ら執筆した医学書の中で論じたと言われています。20世紀前半までは、地域社会や職場で衛生的な環境を実現することが大きな課題でしたが、21世紀の今日では、非衛生的な環境を原因とする感染症、公害病及び職業病は大きく減りました。一方、安全であることはもちろん、安心して元気に働き生きることのできる環境が求められるようになっています。このコースでは、こうした市民の皆様の関心に応えるために、現代における環境と健康の問題をわかりやすく解説します。

第1回   11月5日(金)

有害性評価からリスク評価へ

医学研究科   環境保健学   教授   上島通浩
典型的な公害病や職業病では、有害な環境と健康影響との因果関係が明確に証明あるいは容易に推定されます。これは、人体がばく露される(さらされる)有害環境因子の量が多いため、生じる健康影響が病気として容易に見分けがつくとともに、同じ環境にある人に多発するからです。しかし、環境が改善してその有害因子の量が減ってくると、健康影響は病気としては現れにくくなります。環境の「安全・安心」を確保するために、医学の分野ではどのようなことが行われているか、また、どのような課題があるのかを、具体例とともに解説します。

第2回   11月12日(金)

超高齢社会における労働環境と健康

医学研究科   環境保健学   講師   榎原毅
日本は超高齢社会へと突入しています。65歳以上の人口は全人口の22.7%を占め、2025年には全人口の30.5%を占めると予測されています。労働力人口の減少が見込まれる中で、高年齢者雇用安定法の改正に伴い、65歳定年の引き上げ・継続雇用制度の導入などが進みつつあります。活力ある高齢労働社会づくりのために、高齢労働者の産業保健の今と展望を紹介します。職域に於ける健康保持対策、そしてエイジマネジメントの視点から健康確保のための健康教育、疾病を抱えながらでも就労可能な作業管理、環境管理対策について包括的に学びます。

第3回   11月19日(金)

住環境とアレルギー

独立行政法人労働安全衛生総合研究所   有害性評価研究グループ   研究員   坂本龍雄
アレルギー疾患は年齢を問わず近年急速に増加しており、都市化に伴う環境変化が原因と考えられています。高気密住宅の新築ラッシュや室内中心の住まい方への変化により、室内環境要因がアレルギー疾患の発症にいっそう影響を及ぼすようになってきました。室内空気中に含まれるアレルゲン(ダニ、真菌、ペットなど)や増悪因子(タバコ煙、ホルムアルデヒドなど)の汚染実態と環境整備についてお話しします。さらに、アレルギー疾患の発症予防に関与する環境因子が明らかにされてきており、近未来のアレルギー予防戦略を紹介します。

第4回   11月26日(金)

室内での温熱環境と健康

名古屋市衛生研究所   生活環境部   主任研究員   酒井潔
室内の温熱環境は屋外環境と比較して一般に温和で穏やかですが、それでも健康に影響を及ぼす主な要因のひとつです。室内での温熱環境が影響していると考えられる健康問題としては、冬季の部屋間の温度差に起因する浴室事故やトイレ事故、夏季の屋内外の大きな温度差による冷房病や屋内での熱中症などが知られています。今回は、これらの健康問題を引き起こす温熱環境について概説するとともに、身近な温熱環境の一例として、ヒトが1日の約3分の1を過ごす寝室での実態についてお話しします。

第5回   12月3日(金)

食環境と健康:食の安全・安心

東海コープ事業連合商品安全検査センター   センター長   斎藤勲
私達は今、経済的にも豊かな食環境を享受し、世界的にも先端の長寿国となっています。しかし、食品にかかわる様々な漠然とした不安を抱えているのも事実です。日常的な報道では、基準違反、表示違反、産地偽装、食品汚染など食品にかかわるネガティブな情報が多く、その結果として私達の健康は大丈夫なのかと不安に駆られる方も多くいます。今回は残留農薬問題などを中心に食の安全性などについて紹介します。

第6回   12月10日(金)

内分泌攪乱化学物質の健康リスク評価

医学研究科   環境保健学   助教   伊藤由起
『沈黙の春』や『奪われし未来』の出版を契機に環境化学物質の汚染とその健康影響が注目され、1990年代には内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)問題が連日マスメディアなどで報道されてきました。「そういえば最近環境ホルモンという言葉を聞かないけれど、どうなったのかなぁ…」と思われる方も多いのではないかと思います。環境ホルモン騒ぎはブームのように過ぎ去りましたが、ブームとその後について現在の最新の知見を含めて解説します。

第7回   12月17日(金)

名古屋市における環境問題の変遷

名古屋市環境科学研究所   大気騒音部   研究員   池盛文数
高度経済成長に伴い、日本各地で公害問題が発生しました。今日では先人たちの知恵と努力で環境は改善されています。名古屋は大規模な工業地帯が隣接していますが、どのような公害問題が起こり、そして改善されているのか、大気環境を中心にお話しいたします。また、今日、どのような環境問題が改善されておらず、またどのような課題があるのか、最新の話題を提供するとともに、その取り組みについてお話しいたします。

第8回   12月24日(金)

子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)

医学研究科   環境保健学   教授   上島通浩
近年、子どもの健康に対して環境中の化学物質等が影響しているのではないかとの懸念があり、社会の関心が高まっています。この疑問に答えるために、子どもがお母さんのお腹にいる時から13歳に達するまで、定期的に健康状態を確認する追跡調査(出生コーホート調査)が、環境省の事業として間もなく始まります。3年間かけて全国各地の10万人の妊婦の方々にご参加いただくことになっていますが、東海地区では、名市大がこの調査を担当します。このエコチル調査の概要と東海地区における取り組みの内容をお話しします。