オープンカレッジのご案内


健康科学講座 オープンカレッジ 2009年第3期のご案内。

No.3「がん治療の最前線

[開講日程]11月6日(金)~12月25日(金)
[コーディネーター]医学研究科 臨床病態病理学 教授 稲垣宏
日本人死因の第1位を占めるがんは、人類にとって極めて重要な課題であり、その克服が急がれる疾患であります。21世紀に入り目覚しく進歩した医学・医療により、不治の病であったがんも適切な診断・治療により治療可能になりつつあります。その中心となるのが、正確な診断法、早期発見、外科手術療法、化学療法、放射線療法などの高度な医療技術です。それぞれの医療技術を適切に組み合せることにより、がんの治療効果を高め、さらに副作用、合併症が少ない医療を実現しています。このオープンカレッジでは、最新のがん治療に関してわかりやすく解説します。皆様には、講義を通じてがんについて広く理解を深めていただきたいと思います。

第1回   11月6日(金)

がん治療における病理診断の重要性

医学研究科 臨床病態病理学 教授 稲垣宏
近年、新しいがん治療法が開発され、多くのがんにおいて高い治療効果が得られるようになりました。それぞれのがんに対し適切な治療法を選択することは非常に重要であり、その選択がうまくいかないと効果が十分でないばかりか、副作用という不利益を患者は被ることになります。顕微鏡を用いて行う病理診断は、”最終診断”として、また”がん治療の指針”として極めて重要であります。本講義では病理診断の現況を説明しながら、がん治療において病理診断がいかに深く関わっているかをわかりやすく解説します。

第2回   11月13日(金)

がんの疫学と予防

医学研究科 公衆衛生学 講師 鈴木貞夫
がんにはいろいろな種類があり、それにより、分布、推移、原因、予防、治療などは異なります。この講義では、近年の日本のがんの死亡や罹患の動向を概括し、国際的に見た場合の日本のがん死亡・罹患の特徴について述べ、これから増えるがん、減るがんの将来予測について検討します。また、代表的な部位のがんについて、その関連要因についての現在までの研究成果を報告し、がんの予防法(がんの発生予防あるいは早期発見)について検討します。

第3回   11月20日(金)

消化器・腹腔鏡手術

医学研究科 消化器外科学 助教 高山悟
消化器疾患の手術は腹腔鏡手術の出現により、この15年程で大きな変貌を遂げつつあります。腹腔鏡下手術は当初、胆嚢摘出術程度に限定されていたのですが、その後の手術器械開発や手術手技の向上に伴い、今では多くの消化器疾患に普及しはじめています。当院でも早期胃癌や大腸癌などは普通に腹腔鏡下の手術を行っておりますし、その他腹腔内臓器広範に腹腔鏡手術は可能になりつつあります。今回の講義では当院での現状そして現在世界で行われ始めている究極の低侵襲手術などの紹介を交えながら、腹腔鏡手術全般のお話をさせていただきます。

第4回   11月27日(金)

最新のがん化学療法の進歩:造血器腫瘍を例に

名古屋市立大学病院 化学療法部 部長 小松弘和
21世紀に入って、がんに対する薬物療法の進歩は著しいものがあります。特に、古くから化学療法の代名詞とされてきた白血病、悪性リンパ腫といった造血器腫瘍の領域では、新しいタイプの薬物療法剤、「分子標的治療薬」の開発が進み、がん医療の在り方を変えつつあります。従来の化学療法剤の概要とともに、分子標的治療薬として、小分子製剤(チロシンキナーゼ阻害剤)、大分子製剤(抗体医薬)と分けて、その開発の現況を説明しながら、がん医療にもたらしているインパクトをまとめていきます。

第5回   12月4日(金)

がんを切らずに治す新しい放射線治療

医学研究科 放射線医学 教授 芝本雄太
放射線療法は概して副作用が少なく、高い生活の質(QOL)が期待できる治療法です。今後放射線治療は、化学療法との併用も含めて、“切らずに治す”がん治療の主役となることが期待されます。近年はハイテク技術の進歩に伴って、放射線治療が著しい発展を遂げています。高精度放射線治療と呼ばれるX線による新しい治療法には、定位照射と強度変調放射線治療IMRTがあり、また3年後には、X線よりさらに優れた放射線である粒子線による放射線治療が名古屋市に導入予定です。本講義では、これらの新しい放射線治療について紹介します。

第6回   12月11日(金)

泌尿器科がんの診断・治療

医学研究科 腎・泌尿器科学 准教授 戸澤啓一
泌尿器系のがんには、代表的なものとして腎臓がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣腫瘍があり、このほか比較的稀なものでは副腎腫瘍や陰茎がんがあります。アメリカでは男性の全がん患者の25%を泌尿器系のがんが占めています。これは主にアメリカ人に前立腺がんが多いためですが、日本でも近年食生活や生活様式が欧米化したためか、最近泌尿器系のがんは前立腺がんを中心に増加しています。 本講義では前立腺がんを中心に泌尿器系のがんの診断・治療を概説します。

第7回   12月18日(金)

乳がん最新情報

医学研究科 腫瘍・免疫外科学 講師 遠山竜也
乳がんは女性が罹りやすいがんのトップで近年増加傾向にありますが、最近の乳がんに対する診断技術の向上や治療方法の進歩にはめざましいものがあります。乳がんに対する治療には、[1]手術療法、[2]薬物療法(ホルモン療法、化学療法、分子標的療法)、[3]放射線療法がありますが、がんのタイプや進行度により個々の患者さんに最適な治療方法は異なります。本講義では、乳がんの疫学から、診断方法、治療方法全般について最新情報を交えわかりやすく解説します。

第8回   12月25日(金)

最新の皮膚がん治療

医学研究科 加齢・環境皮膚科学 助教 渡辺正一
近年高齢化社会に伴い皮膚がんも増加しています。皮膚悪性腫瘍には、いわゆる「ほくろのがん」といわれる悪性黒色腫をはじめ、有棘細胞がん、基底細胞がんなどがあります。診断方法には皮膚の一部をとる皮膚生検がありますが、最近では病変部を拡大するダーモスコピーで早期に病変の評価ができるようになっています。皮膚がんも他のがんと同様にリンパ節や他臓器に転移をきたすことがありますが、早期リンパ節転移の評価にセンチネルリンパ節生検という新しい方法も行われています。これらの新しい技術を含め、皮膚がんの診断・治療方法などを紹介します。