名市大 大学院医学研究科・医学部からのお知らせ


ニュース&トピックス ~2009年度~ [プレスリリース]

C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン併用療法の
有効性を規定する IL28B(インターフェロンλ)領域の遺伝子多型(SNPs)

[掲載日:2009年9月14日]

1.概要

わが国のC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は約200万人存在するとされ、我が国における最大の感染症である。HCVは一旦感染すると6~8割が慢性肝炎に移行し、自然に治ることはほとんどなく、多くは肝硬変・肝癌へと進展し、本邦では年間約2万5千人が肝がんで死亡しているのが現状である。

そのHCVの根治治療で、現時点で最強治療であるペグインターフェロン+リバビリン併用療法で根治させることができるようになったが、日本人に最も多いGenotype 1型高ウイルス量の症例では50%程度の根治しか得られず、約20%はペグインターフェロン+リバビリン併用療法が全く効かないのが現状である。

今回、国立国際医療センター国府台病院 肝炎・免疫研究センター長(溝上雅史)、名古屋市立大学医学研究科准教授(田中靖人)、東京大学医学系研究科教授(徳永勝士)、さらに国内15か所の大学、病院との厚労省科学補助金研究班(田中班)で、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法の全く効かないことに関与する宿主の遺伝子多型(SNP)の同定に成功し、平成21年9月13日付でNature Geneticsにオンライン掲載される。

内容は、インターフェロンの一種であるIL28B遺伝子及びその遺伝子周辺に存在する遺伝子多型(SNPs)に関して、その危険遺伝子(マイナーアリル)を持つHCV患者群は危険遺伝子を持たない(メジャーアリル)患者群に比較して危険率30倍の確率でペグインターフェロン+リバビリン併用療法で効かないこと、さらに効かなかった人たちはIL28B遺伝子発現レベルが有意に低いことを明らかにした。

このIL28B遺伝子は通常C型肝炎の治療に使用されているIFN- α や β とは異なるIFN- λ (ラムダ)の1種でその下流に存在するIFN誘導遺伝子群を誘導して抗ウイルス効果をもたらすことがすでに報告されているので、今後このIL28Bを増強する新規薬剤を開発することで、現在ペグインターフェロン+リバビリン併用療法で効かない人達や効果の不十分な人達も根治が望める。さらに、現実的にはペグインターフェロン+リバビリン併用療法の前にこの危険遺伝子を測定することで、根治の見込める患者群を高い確率(的中率85%)で選別できるし、効かない人たちからは無用な苦痛や出費から免れることができる(的中率90%)。

また、現在、肝炎治療の効果的促進(経済的負担軽減)をはかるため2008年4月1日より「B型・C型肝炎患者医療給付事業」がスタートしているが、これらの公費助成も効率的運用が図れることを意味する。

図説

2.公表された論文名と掲載サイト

Genome-wide association of IL28B with response to pegylated
interferon- α and ribavirin therapy for chronic hepatitis C

Yasuhito Tanaka, Nao Nishida, Masaya Sugiyama et al.

Nature Genetics 41, 1105 - 1109 (2009)

[掲載サイトURL]
別ウィンドウで開きますhttp://www.nature.com/ng/journal/v41/n10/full/ng.449.html

3.ご案内

本研究に関する詳細は[研究トピックス]-[研究・技術レポート]の記事をご覧ください。

【該当トピックス】
「C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン併用療法の有効性を規定する IL28B(インターフェロン λ )領域の遺伝子多型(SNPs)」