Allostatic State Mapping by Ambulatory ECG Repository (ALLSTAR研究)

ALLSTAR研究とは

ホルター心電図検査では通常24時間に渡って連続的に心電図を記録します。24時間の記録には、成人で約10万拍分の心電図波形が記録され、そこから得られる情報は膨大です。現在、ホルター心電図は主に不整脈と一過性心筋虚血(狭心症など)の検査に使われていますが、それに使用されている情報はホルター心電図に含まれる情報のごく一部に過ぎません。コンピュータ技術の導入によって、近年、ホルター心電図に含まれるこれまで十分に活用できていなかった情報を詳細に分析する技術が発展し、日常生活中の自律神経活動状態に関する指標や、循環器疾患のリスクを予測する指標など、従来の方法では捉えることのできなかった様々な生体情報を得ることができるようになりました。

これらの新しい指標は日常生活下の生体のダイナミックな変動を捉え得ることから、そこには神経系、免疫系、内分泌系などの活動や、その背景にある自然環境・社会環境などの環境因子の変化の影響が含まれていると考えられます。しかし、その詳細についてはこれまでほとんど研究されていません。ホルター心電図から得られる新しい情報を医療に応用するには、これらの環境因子の影響を明らかにする研究が必要です。Allostatic State Mapping by Ambulatory ECG Repository (ALLSTAR)研究では、日本全国で記録された数十万例規模のホルター心電図データから時系列データベースを構築し、ホルター心電図指標に対する環境因子の影響を分析します。本研究によって、ホルター心電図の医療における利用価値がさらに高まることが期待されます。

研究の目的

全国で記録されるホルター心電図データから、環境因子が健康や疾患に与える影響の新しい評価方法を確立し、ホルター心電図の医療における利用価値を高めるとともに、長寿社会における予測・予防医療の推進に貢献することを目的とします。

研究の内容

以下のホルター心電図情報、時間・環境情報、医療情報の間の関連を調べます。

  1. 心電図情報: 心拍数、心拍変動、心拍ダイナミクス、不整脈、一過性心筋虚血、心電図波形変動
  2. 時間・環境情報: 測定時の気象、地磁気、月齢、太陽活動、地理情報、社会状況についての情報
  3. 医療情報: 年齢、性別、臨床診断、合併症、治療薬剤、人工ペースメーカー、症状、12誘導心電図所見、心血管危険因子、服薬・行動記録

研究に使用するデータ

株式会社スズケンの東京、名古屋、札幌のホルター心電図解析センターで、2008年6月以降に解析された既存のホルター心電図および今後解析されるホルター心電図とそれらに付随する情報が対象です。

そのうち、当該患者様より当研究における使用を認めないとのお申し出があったものは除きます。

データは、誰由来のものであるかが分からないように研究専用番号を用いて匿名化した上で、ALLSTAR研究グループのみが、上記の研究の目的にのみ使用するものとします。氏名と研究専用番号との対応表は株式会社スズケンが機密情報として保管し、下記メンバーを含め外部には開示しません。

ALLSTARデータ数マップ

組  織

【ALLSTAR研究グループ】

名古屋市立大学大学院医学研究科 早野順一郎
名古屋大学環境医学研究所 神谷香一郎
  植田 典浩
名古屋大学 児玉 逸雄
京都大学健康科学センター 川村  孝
東京大学大学院教育学研究科 山本 義春
藤田保健衛生大学循環器内科 渡邉 英一
法政大学応用情報工学科 八名 和夫
大阪大学大学院基礎工学研究科 清野  健