2017年9月~2025年3月に法医解剖を受けられた方のご遺族の方へ
「ヒト血液中エクソソームmiRNA解析を用いた死因解明の実験的検証」の情報公開文書
- 研究について
- この研究を計画した背景
体内において、細胞から放出されるエクソソームは、脂質・たんぱく質・RNA・DNAなどを運ぶ細胞間情報伝達物質として知られています。様々な疾患に特徴的なRNAなどを含有するエクソソームが放出されるため、癌のみならず様々な疾患の診断や治療、バイオマーカーに応用する試みがされています。エクソソームは脂質二重膜に囲まれているため、体液試料中で比較的安定であります。生体での疾患のバイオマーカーとしての利用だけでなく、解剖のご遺体の血清中のエクソソームから、死因に関する情報が得られる可能性があります。特にエクソソームに含有されている、マイクロRNA(miRNA)と呼ばれる遺伝子発現を調節する小さなRNAが重要です。ご遺体体液中のエクソソームに含まれるマイクロRNA解析により疾患情報が得られることが検証されれば、少量の体液試料を使用し、簡便に高精度な死因の解明ができる可能性は十分あり得ます。
- 研究の目的
以前行った研究にて、ご遺体の血液中エクソソームが死後2日までは安定に存在することがわかりました。そこで、ご遺体の血清中エクソソームに含有されるマイクロRNAの解析を行います。疾患に特異的なマイクロRNAの発現量の変化が捉えられれば、死に至るまでの体内変化の情報を得ることができ、死因の解明に繋がる可能性があります。法医解剖のご遺体における死因解明に適用できるか検討を行います。
- 当該研究で、何をどこまで明らかにするのか
2017年9月から2025年3月までに、当教室で行われた解剖22例のご遺体から採取した試料の一部を使用します。法医解剖されたご遺体の血清中エクソソームに含有されているマイクロRNAの発現量を網羅的に解析し、試料間で発現量の比較をします。あるいはもしエクソソームから十分のマイクロRNAが採取できない場合は、血清中のマイクロRNAを用いる可能性もあります。
研究期間は2025年3月までです。
この研究は、公立大学法人 名古屋市立大学大学院 医学研究科長および名古屋市立大学病院長が設置する医学系研究倫理審査委員会(所在地:名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1)において医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、実施することが承認されています。またこの委員会では、この試験が適正に実施されているか継続して審査を行います。
なお、本委員会にかかわる規程等は、以下、ホームページよりご確認いただくことができます。
名古屋市立大学病院 臨床研究開発支援センター ホームページ “患者の皆様へ”
- この研究で用いる遺体の試料・情報の利用目的及び利用方法について
ご遺体の血液は、マイクロRNAの解析に使用されます。解析は専用の解析用ソフトを用いて、当教室内で行います。研究を通じて得られたご遺体に係わる記録が学術雑誌や学会で発表されることがあります。
- この研究で用いる遺体の試料・情報の内容について
2017年から2025年3月までに当教室で行われた解剖時に、検査用に採取した血液の一部を使用します。年齢、性別、死因、既往歴、解剖所見、当教室で分析を行った服用していた薬やアルコールの飲用の情報や研究を通じて得られたご遺体に係わる記録が、学術雑誌や学会で発表されることがあります。しかし検体などは匿名化した番号で報告されるため、報告書などで個人が特定されることはありません。
- 遺体の試料・情報を利用させていただく研究者等について
この研究は、以下の責任者が試料・情報を利用させていただきます。
研究機関名: | 名古屋市立大学大学院・医学研究科 法医学分野 |
研究責任者: | 菅野さな枝 |
- 本研究施設における研究責任者等の氏名
この研究は、以下の研究責任者/個人情報管理者が責任をもって試料・情報を管理します。
研究機関名: | 名古屋市立大学大学院・医学研究科 法医学分野 |
研究責任者: | 菅野さな枝 |
個人情報管理者: | 菅野さな枝 |
- 故人のプライバシーに関わる内容は保護されます(個人情報等の取り扱い)。
研究を通じて得られた個人に係わる記録が学術雑誌や学会で発表されることがあります。しかし検体などは匿名化した番号で管理されるため、得られたデータが報告書などで個人のデータであると特定されることはありませんので、個人のプライバシーに係わる情報(住所・氏名・電話番号など)は保護されます。
- 遺体の試料・情報の利用又は他の研究機関への提供を希望しない場合
この研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。また、この研究に、故人の試料・情報が利用されることを希望されない場合は、ご連絡ください。
- 遺体の試料・情報の利用又は他の研究機関への提供を希望しない場合
この研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。また、この研究に、故人の試料・情報が利用されることを希望されない場合は、ご連絡ください。
【問い合わせ先】
研究実施機関: | 名古屋市立大学大学院・医学研究科 法医学分野 |
連絡先: | 052-853-8180 |
(対応可能時間帯) | 9時~17時 |
対応者: | 名古屋市立大学大学院・医学研究科 法医学分野
|
| 研究責任者 菅野さな枝 |
- 研究に関する情報公開
この研究の成果は、学術雑誌や学術集会を通して公表する予定ですが、その際も参加された方々の個人情報等が分からない状態で発表します。
- 研究により得られた研究成果等の取り扱い
この研究で得られるデータ又は発見に関しては、研究者もしくは研究者の所属する研究機関が権利保有者となります。この研究で得られるデータを対象とした解析結果に基づき、特許権等が生み出される可能性がありますが、ある特定の個人のデータから得られる結果に基づいて行われることはありません。したがって、このような場合でも、ご遺族が経済的利益を得ることはなく、あらゆる権利は、研究者もしくは研究者の所属する研究機関にあることをご了承ください。
- この研究の資金源及び利益相反(COI(シーオーアイ):Conflict of Interest)について
研究一般における、利益相反(COI)とは「主に経済的な利害関係によって公正かつ適正な判断が歪められてしまうこと、または、歪められているのではないかと疑われかねない事態」のことを指します。具体的には、企業等が研究に対してその資金を提供している場合や、研究に携わる研究者等との間で行われる株券を含んだ金銭の授受があるような場合です。このような経済的活動が、研究の結果を特定の企業や個人にとって有利な方向に歪曲させる可能性を判断する必要があり、そのために研究の資金源や、各研究者の利害関係を申告することが定められています。
この研究は、日本学術振興会・科学研究費により実施するものです。また、研究に使用する医薬品等製造販売業者からの資金提供等はありません。
なお、名古屋市立大学においては、この研究について、企業等の関与と、研究責任者および研究分担者等の利益相反申告が必要とされる者の利益相反(COI)について、名古屋市立大学大学院医学研究科医学研究等利益相反委員会の手続きを終了しています。
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