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 和文要約(Eur J Epidemiol. 2010; 25(3): 195-202)                         

  安静時心電図の QTc時間と糖尿病罹患

安静時心電図の QT時間は交感-副交感神経バランスの指標であり、QT時間の延長は交感神経優位を示す。そこで、健康者の QT時間を指標とし、交感神経活動度の2型糖尿病 (DM) 罹患への影響を追跡研究で示した。追跡開始時に DMの現病・既往がなく、他の治療中疾病がなく、重大疾病の既往がなく、さらに安静時心電図に異常の無い 30-59歳の男 12530名を平均 7.4年、女 7163名を平均 7.2年追跡した。  この追跡で、男 637名、女 192名で DM罹患を認めた。心拍数で補正した追跡開始時の QTc時間は DM非罹患者に比し DM罹患者で長く、QTc時間の四分位による4群では、QTc時間が長いほど DM罹患リスクが高かった。この結果は、年齢、BMI、喫煙、飲酒、運動、学歴で補正している。  QTc時間は dose-dependent DM罹患の危険因子であり、交感神経系の慢性的緊張はDM罹患リスクを増加させる。  永谷照男