蝶ヶ岳ボランティア診療所


夏の蝶ケ岳ヒュッテ(2677m)からの槍ヶ岳、穂高連峰の眺め


「残雪の槍---瞑想の丘から」(作品May 2, 1983 by Yutaka Miura

5月の連休に蝶ケ岳に登り、一人でテントを張った。その夜中に春の暴風雨に襲われた。私のテントも床が浮くような強風に煽られたが、テントを設営する時に風で飛ばされないようにハイマツにロープでしっかりと結んでおいたので安心である。見晴らしのよい、風当たりの強い場所に張った連中は皆夜中に恐れをなして、ヒュッテに退却したようである。翌朝起きて外を見ると、周囲のテントは潰されて岩石を乗せた状態で水浸しであった。その日は快晴になった。暴風雨に耐えたテントに優越感を感じつつ、目前の残雪に缶ビールを突っ込んで冷やし、のんびりと槍穂のスケッチをしながら絶景を目に焼き込んだ。 


三浦 裕