自炊計画における調理指針

-------食中毒予防---------

確実で簡単な予防策=加熱処理


(1) 野菜の加熱料理:流水で十分生野菜を洗うことができない環境で生野菜をサラダで食べることは避けるべきです。大腸菌O157食中毒すら単純な加熱処理で予防可能です。卵を割った手にサルモネラ菌が付着している可能性など、現場で検定ができない環境では例外なく加熱調理を徹底することで食中毒は予防できます。

(2) 料理器具の衛生管理:お櫃(ひつ)の熱湯処理を頻繁に実施して下さい。個人のコッヘルなども、食事の最後に熱いお茶などで洗うことは、衛生管理上合理的な処理です。

(3) 共用調理道具や「しゃもじ」を舐めたりするのは厳禁です。表面的に奇麗であることと、衛生的に奇麗であることは、別問題です。口腔内には大量の細菌が存在していることを認識しているべきです。口をつけたものは、すべて加熱処理(熱湯処理)してください。熱湯処理が難しい物品はアルコール消毒や日光消毒をしてください。温かいご飯が入るお櫃は細菌培養装置のようなものです。衛生管理に努めてください。

(4) ナイフを操作する場合には十分に操作に注意してください。野外で活動する場合にも手袋着用など手の傷の予防をして下さい。手の小さな傷は黄色ブドウ球菌が感染する危険性が高く食中毒の原因になります。

(5) 調理中に熱湯をこぼして熱傷を起こすことのないように注意してください。

    食中毒に関する基礎知識

    1)食中毒は感染型と毒素型二つに分類できます。

       感染型: サルモネラ菌(35%)、腸炎ビブリオ(28%)、キャンピロバクター
       毒素型: 黄色ブドウ球菌(5%)、ボツリヌス菌

    2)耐熱性の毒素を産生する細菌。
       黄色ブドウ球菌(お握りによる食中毒菌の代表:常念岳---蝶ヶ岳の稜線で登山客の中で発生した事例あり)
       cf. ボツリヌス菌は耐熱性の芽胞を作るが、毒素は加熱処理で分解される。

三浦 裕
名古屋市立大学蝶ヶ岳ボランティア診療班運営委員長
名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学助教授


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更新日 07.31.03
名前 Yuaka Miura、M.D., Ph.D.