臨床研修医の支援体制

  1. 山岳診療所の地理的困難性:
    蝶ヶ岳ボランティア診療所が設置されている環境は、蝶ヶ岳山頂(2677m)で他の医療施設に患者を搬送するための通常の交通手段はなく、徒歩で数時間を要する困難な地理的状況にあります。このような困難な環境下で医師が緊急患者に遭遇した場合に、現場に居合わせた医師の判断で一次救命救急に当ることが必要になります。

  2. ボランティア活動:
    蝶ヶ岳ボランティア診療所の活動への参加者は、通常はそれぞれの本業の休暇中に登山し、蝶ヶ岳ボランティア診療活動に従事します。その滞在期間は1日から数日程度の短期間で、無報酬で活動します。参加者自身の責任において、蝶ヶ岳ボランティア診療活動の理念を理解し、現地の困難な状況を判断して、それぞれの参加期間や職務内容を自由意志で決定します。参加する医師は緊急患者に対して一次救急処置を施すに目的に限り、医療施設を活用できます。活動内容は公共性が高く、参加者自身の自由意志に任される部分が大きいことから、通常の医療業務活動とは区別されるボランティア活動として位置付けられます。

  3. 研修医の支援:
    1年次、2年次の研修医であっても、個人として臨床研修プログラムの休暇を利用して蝶ヶ岳ボランティア診療所の活動に参加することは可能です。その場合に、山岳診療所で、臨床研修医が唯一の医師として緊急患者への対応が迫られた状況で「指導医の管理下で診療活動をする」という条件に具体的にどのように対応すべきか、という問題が起こります。山岳診療所の地理的困難性から考えると、緊急患者に対して、医師である限り躊躇せずに一次救命救急に当ることが求められると同時に、臨床研修医は可能な限り指導できる医師から助言を受けることが望まれます。山岳診療所の状況を深く理解している蝶ヶ岳ボランティア診療所での活動経験のある医師から適切な助言を受けることができるように、蝶ヶ岳ボランティア診療所は、以下に記載するサポートスタッフの緊急連絡先を公開します。必要に応じて24時間態勢で電話やコンピュータ通信手段を使って助言を与えます。

  4. 臨床研修協力施設としての責任
    平成16年4月から医師の新臨床研修制度が実施されています。
    厚生労働省のホームページ新医師臨床研修制度に関するQ&A
    に「臨床研修協力施設ではない施設の見学等を行うことについては、臨床研修協力施設の責任において、研修を行う上で有効な施設を1、2日見学させる程度であれば差し支えありません。その場合の見学先の施設については、特に臨床研修協力施設として位置付ける必要はありません。」と記載されています。

    蝶ヶ岳ボランティア診療所が研修医を1、2日受け入れる事例は上記の「見学」に該当します。臨床研修協力施設としての責任の所在は医療法第8条の規定により蝶ヶ岳ボランティア診療所を松本保健所長へ届出た開設者・管理者である三浦裕にあります。

    サポートスタッフ:緊急時連絡先


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作製:2007.08.30.
修正:2015.08.06. 臨床研修協力施設としての管理責任の項目追加
名古屋市立大学大学院蝶ヶ岳ボランティア診療所 管理者 三浦 裕