名市大 環境保健(衛生学)











研究領域

研究業績(主に原著論文など)




教室員が専門とする研究領域

 現在の教室員の研究は、大きく以下の領域に分類されます。カッコ内は主に担当する教室員名です。研究に関しては、スタッフの項もご参照下さい。

 
化学物質のリスク評価(上島、伊藤)

  • 殺虫剤による健康リスクの解明
    農薬は、食品中などに基準値以下の一定量が残留しうる前提で使用される環境化学物質であり、薬効・薬害に加え、毒性、環境への影響、農作物への残留性等の試験・審査を経て登録・使用されている。ヒトがふだんの生活を通してどれだけ摂取・曝露し、健康へのリスクがどの程度であるかに関し、尿中の代謝物(分解物)を測定すると個人レベルで定量的なデータが得られるが、そのような試みは少ない。したがって、一般生活環境ならびに殺虫剤散布職域環境を対象に調査研究を行っている。これまでは主に一般成人を対象に研究を行ってきたが、今後は、妊娠期や小児期も対象に研究を実施する。並行して、実験研究により殺虫剤およびその代謝物の神経、生殖器系への影響の解明を行っている。(名古屋大学、愛知医科大学、労働安全衛生総合研究所、東北大学その他大学等との共同研究)

  • シックハウス症候群(シックビル症候群)の解明と予防対策の追求
    「シックハウス対策済み」のビルでもシックハウス症候群患者が発生しうるが、こうした事例のなかに、国のシックハウス対策の対象物質とされていない2-エチル-1-ヘキサノール(2E1H) の濃度がきわめて高く、症状の原因となる場合がある。現在、病態機序の解明を、世界的に限られた施設にしか設置されていない吸入曝露装置を用いて、動物実験により行っている。その他に、ヒト集団における曝露と発症の量反応関係の解明、客観的な診断マーカーの開発、工学的側面から見た2E1H発生源対策の解明、外国(バングラデシュ及び中国)における室内空気汚染問題も検討の対象としている。(山口大学、名古屋市衛生研究所、愛知医科大学、北海道大学、名古屋大学、その他大学等との共同研究)


  • 有機溶剤トリクロロエチレンによる重症皮膚障害の解明
    中国をはじめとするアジア諸国の有機溶剤職場で、重症薬疹に似た全身性皮膚・肝障害患者が近年多発している。乳児期の突発疹の原因ウイルスであるヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)が発症者で再活性化すること、また、トリクロロエチレンは感作性物質であるという、有機溶剤中毒に関するこれまでの常識にはなかった2つの概念を明らかにした。職業性中毒と重症薬疹という一見まったく異なる疾病に、共通の病態が存在することを証明した。現在、患者の病態におけるHHV-6の役割、予防法及び早期の診断マーカーの確立に関する研究を行っている。(名古屋大学、中国広東省職業病防治院、藤田保健衛生大学、その他機関との共同研究)


  • 職業または環境起因性が疑われる疾患の事例検討
    職業または環境中の化学物質(特に石綿等の粉じん、有機溶剤等の産業化学物質)が原因ではないかと疑われる疾患事例について、症例検討や疫学調査を行っている(臨床医の方からの相談は歓迎します)。なお、一般の方からの労働衛生や環境衛生に関する相談については、都道府県産業保健推進センター、労災病院、地域の保健所等が受けつけているため、そうした機関を紹介することを原則としている。(愛知教育大学、愛知医科大学、名古屋市衛生研究所、名古屋大学、その他機関との共同研究)

  • フタル酸エステル類のリスク評価
    プラスチックの可塑剤として汎用されているフタル酸エステル類は、ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体α(PPARα)に配位し生体影響をもたらすと危惧されているが、PPARαの機能には種差があることが報告されている。現在、ヒトのPPARαをもつマウスを用いて、フタル酸エステル類曝露の肝臓の脂質代謝への影響と、発がん影響について研究を行っている。(名古屋大学、信州大学、米国NIHとの共同研究)

  • ディーゼル排気ナノ粒子の生体影響評価
    ディーゼル排ガスの中には様々な粒径の粒子が含まれており、その大部分が粒径0.1 mm以下のナノ粒子である。ナノ粒子は血流に入り全身に影響を及ぼすことが危惧されているが、毒性影響はいまだ不明な点が多い。そこで、動脈硬化に関わる脂質代謝と炎症についてPPARαに関連して研究を行っている。(名古屋大学、国立環境研究所、東京農工大との共同研究)


 疲労性健康障害・ストレス関連疾患の予防対策及び労働生産性向上のための人間工学的対応

  • 作業関連運動器疾患(WMSDs)予防策に関する研究(榎原)
    主に腰痛などの運動器疾患に関するリスク軽減策について、フィールドを重視した応用研究に取り組んでいる。職場における運動器疾患(腰痛・肩こり等)は、労働者の健康保護・生産性向上の観点から、業種を問わず多くの職場で共通の課題となっている。この問題を解決するために職場改善のための創意工夫や現場の知恵を引き出すことに主眼をおいた「自主対応型改善活動」の導入支援プログラムを開発、実践応用活動を行っている。タイ国国立労働環境改善研究所(National Institute for the Improvement of Working Conditions and Environment (NICE), Ministry of Labour, Thailand)と連携協力し、海外においても現地企業への介入および担当者のトレーニング(2003年〜)を行うほか、東海地域を中心に本成果に基づくアプローチの普及および安全衛生活動に関する学術的技術援助も行っている(岡崎商工会議所主催「ものづくり岡崎フェア2008(2008/02/14-15)」へ名古屋市立大学シーズとして出展など)

  • 立位・座位選択可能型VDT作業に関する人間工学ガイドラインの開発(榎原・高西・佐藤)
    近年、欧米にて普及しつつある、新しいスタイルのVDT作業方式である「立位・座位選択可能型VDT作業」に関する人間工学ガイドラインを検討・開発している。人間工学的な設計指針を導出するための各種評価実験を行っている。

  • 副次行動を用いた行動学的指標の解釈と応用可能性(榎原・高西)
    作業単調性からの離脱行動・補償動作のひとつとして、作業者の意識的・無意識的にとる作業とは直接関連のない行動を「副次行動」という。この行動学的解釈については、その行動のもつ質的な解釈の分類や、パフォーマンス・エラー・自律神経活動レベルと副次行動との因果関係(予兆因子・予後因子)に関する学術的エビデンスは充分とは言えない。我々の研究成果では、VDT作業のような座位単調作業時における副次行動は3因子構造性が確認されており、この3因子構造を用いたパフォーマンス・エラー・自律神経活動レベルと副次行動の相互補完モデルを検証している。

  • 医療安全文化評価指標の開発(榎原・鈴村)
    医療安全水準の向上には組織の安全文化醸成が不可欠である。安全文化の評価指標については、IAEA(国際原子力機関)の小委員会INSAGグループにて評価ガイドラインや安全性能指標などが提唱されている。しかしながら、医療安全分野は社会ニーズが高まっているにも関わらず、特に医療安全水準の向上に貢献する諸要因(例えば、組織体制、活動、教育・訓練、権限など)に関する学術的研究はほとんど見あたらないこれまでに、約2,000名の医療従事者からのデータを基に分析した結果、医療安全文化の構成要因は6因子構造であることが信頼性・妥当性の観点から確認できており、現在はこれら6因子を用いた(1)医療安全文化評価指標(patient safety climate scale)の開発、および(2)医療安全文化がエラーおよび職場ストレスに与える影響について研究を進めている。

  • 加速度脈波を用いた心拍変動解析によるうつ症状の評価(上島・榎原)
    産業保健現場におけるメンタルストレス評価は、主に問診票および面談による評価が主流である。メンタルストレス状態を簡便に測定・評価するために加速度脈波を用いて、産業保健現場で実践応用可能な評価手法を検討している。
    うつ病が寛解したと精神科医に診断され、復職した作業者の示す心拍変動パターンの特徴を明らかにした研究はなく、うつ病による長期間の休職経験者と健常者との症例対照研究を展開している。健常者と復職者では自覚的疲労の程度に差は認められないが、特に内服加療を終了した復職者は交感神経活動優位の傾向が認められ、復職後のフォローアップのあり方を検討する必要性が示唆されている。

  • 若年健常者におけるAPGのHRVパラメータ値の生理的定常性についての調査(榎原、高田)
    APG短時間測定によるHRV解析によって、メンタルストレスを定量的に評価しようとする場合、HRVパラメータ値の再現性(生理的定常性)の確認が必要になる。そこで男子大学生を対象に繰り返しAPG測定を行い、得られたHRVパラメータ値の再現性(生理的定常性)について調査した。(鈴鹿医療科学大学との共同研究)

  • 深夜交代制勤務者の産業疲労対策としての軽強度エクササイズの有効性検証(榎原・佐藤)
    夜勤の眠気対策としては、仮眠や頻回な休憩・洗面・喚起・カフェインやガムの摂取、照度調節など、様々な方策が提唱されている。そのひとつとして、ローコストで産業現場に導入可能な低強度なアクティブレスト(身体活動)が注目されている。我々の研究では、夜勤中に低強度のエクササイズを導入することにより、作業能率や作業ミス、覚醒水準などの低下を抑制する効果があることが模擬夜勤実験においては確認されつつある。




Updated: 8/6/2013

<2010年>

  • Tomohide Kubo, Masaya Takahashi, Hidemaro Takeyama, Shun Matsumoto, Takeshi Ebara, Kensaburo Murata, Norihide Tachi, and Toru Itani, How do the length and timing of night-shift nap have an impact on sleep inertia? Chronobiology International 27(5), 2010(accepted for publication)

  • Ito Y, Hayashi Y, Nakajima T. DEHP-induced reproductive and developmental toxicity and PPARα. Bisphenol A and Phthalates: Use, Health Effects and Environmental Risks. Bradley C. Vaughn ed. Nova Science Publishers, Inc. 2010 (in press)

  • Nakamura D, Yanagiba Y, Duan ZW, Ito Y, Okamura A, Asaeda N, Tagawa Y, Li CM, Taya K, Zhang SY, Naito H, Ramdhan DH, Kamijima M, Nakajima T. Bisphenol A may cause testosterone reduction by adversely affecting both testis and pituitary systems similar to estradiol. Toxicol Lett (in press)

  • Tomoaki Sato, Tomohide Kubo, Takeshi Ebara, Hidemaro Takeyama, Tatsuki Inoue, Megumi Iwanishi, Norihide Tachi, Toru Itani and Michihiro Kamijima:Brief hourly exercise during night work can help maintain workers’ performance, Ind Health (in press)

  • Mikio Takada,Takeshi Ebara,and Michihiro Kamijima: Heart Rate Variability Assessment in Japanese Workers Recovered from Depressive Disorders Resulting from job stress: Measurements in the Workplace, Int Arch Occup Environ Health (in press)

  • Toshimasa Takanishi, Takeshi Ebara*, Gen-i Murasaki, Tomohide Kubo, Norihide Tachi, Toru Itani and Michihiro Kamijima, Interactive model of subsidiary behaviors, work performance and arousal level during visual display terminal work, Journal of Occupational Health, 52(1):39-47, 2010 *corresponding author


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 Updated: 8/6/2013
 
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