教授挨拶

 名古屋市立大学の心臓血管外科学教室は平成13年9月 に大学院医学研究科に新設され、当時の病態機能外科学(旧第一外科学)教室から独立致しました。
経済や政治を含めた社会の急激な変化と多様な要望に応えるために、医学に限らず大学教育そのものの改革が精力的に行われた時代であったと思います。
外科診療の為に大学病院を受診した時、第一外科や第二外科のような案内では一般の患者さんには診療内容の専門性が殆ど分りません。医学及び生命科学の大きな進歩に追随する目的だけではなく、医療安全に十分配慮した適切な医療を提供するためにも、分かり易い診療内容の表示と診療体系の確立が強く望まれました。

 私は教室の初代教授を拝命致し、最初は心臓血管外科教室単独で活動して参りました。しかし研修医制度や専門医制度が新たに構築される時代にあって、心臓血管外科を目指す若き外科医が望ましい外科医のキャリア形成を図るには、細分化された各外科診療科の医師が志を一つにして積極的に支援することが不可欠と考えています。そこで平成21年度より心臓血管外科学教室も他の消化器外科や呼吸器外科などの教室と共に名古屋市立大学外科学教室の一員となり、特に外科医の人材育成に協力し個々の教室と外科全体の発展に寄与することとなりました。

 当大学は日本の新生児医療発祥の地であります。歴史の浅い大学の困難な時代に私達の先輩は、小児外科や小児心臓外科領域で優れた手術成績を収められました。この歴史的背景に支えられ、当大学の心臓外科は生まれつき心臓に病気を抱える先天性心疾患を中心に手術治療を行ってきました。しかし高齢化社会や生活習慣病の増加は多くの成人循環器疾患を生み出し、その治療には社会の大きな関心と期待が寄せられています。これ応えるために私達は名古屋市立病院と連携し、赤ちゃんから高齢者に至る全ての心臓血管疾患の手術治療を可能とする診療体系を新たに構築しています。心臓血管外科医には高度な専門的知識と技術が、そして安全な手術には麻酔科や循環器科などの各専門医の配属や医療機器の整備が強く要求されます。連携する市立病院も含め、私たちには各専門医や医療設備における充実した医療環境に自信があります。この環境の中で、患者さんとご家族の方には豊かな生活の質を、若き心臓血管外科医には充実したキャリア形成を提供していきたいと願っています。