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No.2 「子どもの成長・発達にとってより良い環境を目指して」

環境と子供の健康最前線② 「子どもの成長・発達にとってより良い環境を目指して」

「環境と子どもの健康 最前線②」は、小児科医でエコチル調査愛知ユニットセンターの追加調査研究員である宮地泰士先生に、エコチル調査の意義と追加調査に取り組む姿勢を説明していただきました。先生がエコチル調査にて取り組まれる研究課題は、「小児の協調運動の発達実態調査」です。

子どもの成長・発達の成り立ち

私たち、子どもの成長・発達の研究をしている専門家の間では、「子どもの発達は、その子が生まれながらに持ち合わせている身体や脳の構造・機能といった「生まれ持った特性(個性)」と、その子を取り巻くありとあらゆる刺激や条件といった「環境的要因」とがお互いに影響し合って形作られていくもの」と考えられています(下図参照)。

ここで言う「環境的要因」の中には、子どもが生まれ育っていく過程の中でかかる病気や怪我、養育や教育の状況やそれらにおける様々な人との関わりの他に、食事や生活場面の中で身近に存在する様々な物質等が含まれます。また、子どもにとっての「環境」とは、お母さんのお腹の中にいる時期のものも含まれますので、子ども本人だけでなく、妊娠中のお母さん自身の状態や、そのお母さんを取り巻く様々な「環境的要因」も重要です。

さて、近年世界的に子どもの成長・発達にとってより良い環境とは何かを科学的に追究しようという動きが盛んになり、諸外国では子どもが生まれて(あるいはお母さんのお腹にいる頃)から何年もその子の成長・発達の様子を追跡調査し、子どもの成長・発達と様々な「環境的要因」との関係を研究する試みが既に始まっており、その成果が次第に報告されるようになってきています。そしてついに日本でも、子どもの健康・発達と環境(物質)との関係を解き明かすための、大規模かつ長期間にわたる一大プロジェクトとして、今回のエコチル調査がはじまることになったのです。

エコチル調査の対象となる「環境的要因」は、主に食事や生活場面などに含まれる環境物質についてですが、できるだけ多くの「環境的要因」についても確認するため、質問内容は多岐にわたります。御回答いただく上では何かとご負担をおかけしてしまうかと思いますが、どうかご理解とご協力をお願いしたいと思います。

私たち、子どもの成長・発達の研究をしている専門家の間では、「子どもの発達は、その子が生まれながらに持ち合わせている身体や脳の構造・機能といった「生まれ持った特性(個性)」と、その子を取り巻くありとあらゆる刺激や条件といった「環境的要因」とがお互いに影響し合って形作られていくもの」と考えられています(下図参照)。

エコチル調査から得られるもう一つの貴重な情報

今回のエコチル調査では、子どもの成長・発達と環境(物質)との関係を解き明かすための貴重な情報を集めることができますが、実はその副産物として、現代における子どもたちの成長・発達の実態を知ることもできます。

御承知のように、時代の流れとともに現代では、昔にはなかった様々な物が生み出され、ネットやメディアの発達とともに誰でも様々な情報を得ることができるようになり、子どもたちの生活様式や経験できることも昔とは随分違ってきているように思います。また、少子高齢化の影響などもあって、子どもに対する大人や社会の思いや期待も変わってきているかもしれません。このような社会の変化によって、子どもが知っていることやできることも昔とは異なっている可能性があります。先述のように、子どもの成長・発達にとってより良い環境とは何かを追究するためには、そもそも現代の子どもたちがどのような生活をして、どのように成長・発達しているのかを正しく理解(把握)する必要があります。

またこれに関しては、近年社会的にも関心が高い発達障害という特性を持つ子どもたちが、いつ頃からどのような特徴を見せるのかを発見することも重要となります。それを知れば、今後、そのような特性を持つ人たちに対して早期から適切な支援を展開するための体制を整え、将来的に1人でも多くの子どもたちが過ごしやすく生きやすい社会を作っていくことが見込まれます。

このようにエコチル調査によって集められた皆さまからの御回答は、現代の日本の子どもたちを正しく理解し、子どもたちの成長・発達にとってより良い環境を整備していくことへと繋がっていくのです。

私たちの追加調査について

現在、私たちはエコチル調査の愛知県地域において、いくつかの追加調査を予定しています。既に準備が進められているものとしては、子どもに対して親の方々が抱くイメージと子ども自身の状態や育児ストレスとの関係を調べるものと、子どもたちの手先の器用さや身体の使いこなしといった運動機能や社会性の発達指標を作ろうというものがあります。

これらの追加調査の成果については、結果がまとまり次第、今回のような媒体を通して皆さまに御報告させていただければと思っております。これらの調査結果報告では、それぞれの方が現代の子育て事情や子どもの成長・発達の様子を知りながら、最終的には自分たちらしい子育ての実践にとって有益な情報を得られるようにしていきたいと思っております。

今回のエコチル調査や私たちの追加調査が、皆さまやこれからの日本の未来を担っていく子どもたちにとってお役に立てるよう努めてまいりたいと思います。どうぞ今後とも長いおつきあいになりますが、よろしくお願い申し上げます。