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No.047 <瑞友会賞 学術部門賞>
「名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科受賞課題:遺伝環境相互作用を考慮した頭頸部がん罹患・予後因子の網羅的解析」

[更新日:2019年3月7日/掲載日:2019年3月7日]

受賞報告:「瑞友会賞・学術部門賞」受賞のご挨拶」

名古屋市立大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科
講師 川北大介(かわきた だいすけ)(H15卒)

この度は大変光栄な瑞友会賞(学術部門)をいただきまして、まことにありがとうございます。瑞友会会長の山本喜通先生をはじめとして、御選考いただきました先生方に厚く御礼申し上げます。また、耳鼻咽喉・頭頸部外科 村上信五教授をはじめとして、これまで熱心に御指導いただきました先生方に、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

私は卒業後、豊橋市民病院で耳鼻咽喉科医として研鑽を積む中で、頭頸部癌治療を追究していきたいと強く考えるようになりました。村上教授のおすすめをいただき、歴史ある愛知県がんセンター中央病院で頭頸部外科医として歩み始めました。頭頸部癌は舌をはじめとした口腔、咽頭、喉頭など解剖学的に多数の亜部位に分かれておりますが、治療を行うにあたり大きな問題を抱えております。それは治療自体が生活の質の低下に直結するということです。手術に伴う機能喪失や放射線治療に伴う嚥下機能障害などが主なものになります。その中で、私は何とか頭頸部癌を予防することができないかと考えるようになりました。愛知県がんセンター中央病院頭頸部外科長谷川泰久前部長のおすすめもあり、併設されています愛知県がんセンター研究所で疫学研究を開始いたしました。

受賞対象となりました研究課題は、大学院時代からのテーマである“遺伝環境交互作用を考慮した頭頸部がん罹患・予後因子の網羅的解析”であります。愛知県がんセンター研究所がん予防研究分野分野長松尾恵太郎先生のもと、葉酸をはじめとした微小栄養素と頭頸部がんの関連について、また確立したリスク因子である喫煙・飲酒の頭頸部がん予後への影響について、それぞれの代謝酵素遺伝子多型の影響を考慮して検討を行ってまいりました。平成28年にミラノ大学・ユタ大学へ留学の機会いただき、国際コンソーシアムのプール解析や大規模前向きコホートデータの解析にも従事することができました。

現在は名古屋市立大学病院で放射線科・歯科口腔外科・形成外科・内分泌内科などの先生方のご協力をいただきながら、頭頸部癌・甲状腺癌の治療に従事しております。非常にやる気ある若手の中で働けていることは幸せだと日々実感しております。私の関わらせております、疫学研究は癌研究分野においても非常に求められていると痛感しております。今後とも微力ながら、この分野の発展に尽力してまいる所存であります。

最後に改めまして、本研究を支えて頂きました村上教授、耳鼻咽喉・頭頸部外科の諸先生方、愛知県がんセンター中央病院・研究所の先生方に厚く御礼申し上げます。今後とも御指導御鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。


略歴
平成15年
名古屋市立大学医学部卒業
平成20年
愛知県がんセンター中央病院頭頸部外科レジデント
平成22年
愛知県がんセンター研究所疫学・予防部リサーチレジデント
平成25年
名古屋市立大学大学院耳鼻咽喉・頭頸部外科助教
平成28年
イタリア・ミラノ大学、米国ユタ大学客員研究員
平成30年
名古屋市立大学大学院耳鼻咽喉・頭頸部外科講師
川北大介氏 授賞理由

遺伝子多型による頭頸部がんの予防モデルと予後因子の個別予測モデルの構築を行ってきた(Brit J Cancer, 2017, IF 6.17)。これによって、膨大なデータより生活習慣(Head and Neck, 2017, IF3.37)、ビタミンB群とくに葉酸(folic acid)が予後決定因子として重要であり、従来の予防因子に加えて個別化頭頸部がんの予後予測モデルの構築に新しい道を拓いた(Cancer and Metastasis Review、2017, IF 4.69)・Int J Cancer, 2017, IF 6.51)等。