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No.043 <瑞友会賞 学術部門賞>
「受賞課題:冠動脈病変の形態解析と機能解析の対比による狭心症病態の解明」

[更新日:2017年10月12日/掲載日:2017年7月24日]

受賞報告:「瑞友会賞受賞の挨拶」

伊藤 剛(いとう つよし)
平成16年 名古屋市立大学医学部卒
名古屋市立大学 心臓腎高血圧内科学 助教

この度は栄誉ある瑞友会賞(学術部門賞)をいただき大変光栄に存じます。瑞友会の諸先生方、選考委員の先生方、これまでの研究を指導いただきました先生方に心から御礼申し上げます。

私は卒業後、初期研修を行い、一般内科を研修した後に、循環器内科医となりました。そして循環器内科の中でも心臓血管カテーテル治療の修練を行い専門医となりました。心臓カテーテル治療の現場では一刻を争う緊急症例や重症例が多く、答えのない決断に迫られる状況がしばしばあります。臨床を懸命にやるほど、自分が行った決断が正解に近いのかどうかを臨床研究で確かめる必要性を感じるようになりました。そのような状況の中で心臓カテーテル治療の世界的権威である豊橋ハートセンターの鈴木孝彦先生に師事する機会に恵まれ、臨床研究を論文化すること、世界で勝負することの重要性と方法について指導いただきました。現在は名市大の大手教授の下、冠動脈疾患の病態の解明についての研究をさらに発展させているところです。

受賞対象となりました研究内容は「冠動脈病変の形態解析と機能解析の対比による狭心症病態の解明」です。冠動脈病変は断層撮影、血管内超音波、光干渉法の画像診断を用いることで10μまでの詳細な形態的評価が可能です。また、薬剤負荷法、冠動脈内圧測定法によって冠動脈の内皮や心筋血流の機能を定量化することができます。形態的評価と機能的評価を対比分析することで急性心筋梗塞につながる脆弱な冠動脈プラークの同定法、冠動脈攣縮の機序と診断法、心臓周囲脂肪と冠動脈疾患との関連、酸化ストレスと冠動脈疾患との関連について研究を行いました。

生活習慣の欧米化、高齢化とともに冠動脈疾患の患者さんは増え続け、医療費の高騰も相まってその対策は急務です。24時間365日体制の循環器疾患の診療現場はともすると日常臨床業務に忙殺されがちですが、複雑で重症な症例に真摯に向き合うことで解決すべき答えのない疑問が生じます。今後も臨床を大事にしながら「名市大から世界へ」発信できる研究を継続、発展させていきたいと考えております。

改めまして今まで私のことを指導し支えて下さった豊川市民病院、豊橋ハートセンター、名市大病院、心臓腎高血圧内科学のスタッフの方々と仲間に深く感謝申し上げます。今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。


略歴
平成16年
名古屋市立大学医学部卒業
平成16~18年
豊川市民病院臨床研修医・後期研修医(内科 循環器科)
平成20年
豊橋ハートセンター 循環器内科
平成24年
名古屋市立大学大学院医学研究科
平成25年
名古屋市立大学病院臨床研究医(循環器内科)
平成27年
循環器内科助教
平成29年~
名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓腎高血圧内科学助教
伊藤 剛氏 授賞理由

心臓病の中でも多くの割合を占める冠動脈疾患は発症すると心臓突然死の原因になるだけでなく、患者の生活の質を大きく低下させる。冠動脈病変を断層撮影、血管内超音波などの画像診断法を用いて形態的に評価し、薬剤負荷法、冠動脈内圧測定法を用いて冠動脈の内皮機能や心筋虚血を対比、分析して狭心症の病態を明らかにし、底侵襲でかつ安全、簡便で安価な冠動脈疾患の診断、治療法を探索、開発してきた。そのデータによって冠動脈狭窄の形態的・機能的データを基にして31報の英文原著(症例報告含む)を有名ジャーナルにて刊行し、そのうち内20報は筆頭著者でIF5.0以上の高インパクトファクターの論文が複数含まれている。高い研究能力と臨床手腕を併せ持つ将来を嘱望される人材である。