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No.037 <瑞友会賞 社会部門賞>
「受賞課題:多年にわたる愛知県小児医療、小児保健及び小児福祉の推進と基盤樹立」

[掲載日:2016年10月25日]

受賞報告:「瑞友会賞(社会部門)を受賞して」

杉浦 壽康(すぎうら としやす)
小児科延寿堂杉浦医院・院長
昭和35年 名古屋市立大学医学部卒

過日(平成28年6月25日)開催された第49回名古屋市立大学医学部同窓会(瑞友会)総会において瑞友会賞(社会部門)を受賞いたしました。当日受賞式の後、司会者から突然しかも1分で挨拶をするようにと言われ心の準備もないまま十分なお礼を申し上げることなく大変申し訳なく恥ずかしく、ここに改めて受賞のお礼を申し上げる次第です。今回の受賞は名古屋市立大学医学部小児科教室同門会のご推薦を頂きこの栄に浴したものでご推薦いただいた小児科同門会並びに受賞に値すると評価いただいた同窓会理事会に心から感謝いたします。さらに感謝いたさねばならないのは私を小児科医としてお育て頂いた恩師名古屋市立大学教授(小児科学)の(故)小川次郎先生です。小川先生も天上から「よく頑張った」と喜んでくださっていることと思います。また今回の受賞は瑞友会賞が制定され10回目の節目の年でもあり大変光栄に存じます。

これまでに受賞の対象となった方、今回受賞された方の業績は私を除きみな立派であり、私が行なってきた社会的活動の成果は他の方々の業績と比べまことに内容の乏しいものであり、何を評価頂いたのか未だに理解に苦しんでおります。

学術及び臨床の業績は個人の仕事として理解し評価しやすく、それぞれ受賞に値するものでありますが、社会部門特に今回の私の活動の実績については私個人で行って結果を出せるものではありません。

受賞の対象となったうち、「岡崎市における小児に対する予防接種の個別化」は岡崎市医師会理事を拝命したおかげで、予てから考えていたことを、医師会理事会の承認を得て行政に働きかけて実施に至ったものであります。行政への働き掛けは理事として私が交渉し実現に向けて努力しました。しかし医師会理事会および行政の理解が得られなかったら実現しなかったと思われます。私が個人で努力したと言えるものは「不登校児童・生徒の相談」です。昭和58年(開業6年目)当時、「不登校児童・生徒」の数が急速に増加していくのを見て、まだ社会的にはあまり受け入れられていなかった「相談」(カウンセリング)を個人(自院)で開始しました。通常の診療時間には相談できないため診療を終えて午後7時30分から一人1時間で二人計2時間、在宅している時は毎晩のように相談を行いました。時には土曜日の午後、あるいは夜、場合によっては日曜日も行いました。

相談の結果は対象の子どもの多くが学校復帰あるは社会参加が可能になりました。この経験を踏まえ岡崎市医師会の事業の一つよして「岡崎市医師会不登校相談室」を平成13年に設置してもらいました。

もう一つ個人として努力して来たものは「時間外・休日の小児の急患の受け入れ」です。「病気に曜日・時間は無い」、ましてや育児経験の浅い若い親にしてみれば、救命救急の対象でなくても「わが子の急病」にどうして良いのか判らず右往左往するのは当然であり、こういう時にちょっと手を差し伸べるだけで若い親は安心し子どもも落ち着きます。私は在宅している限り24時間365日診療することにし現在も続けております。

今回の受賞で個人として評価頂くとすれば「予防接種の個別化」、「不登校児童生徒の相談」、「子どもの急病にたいする取り組み」の3点のみで、その他のことは、たまたま岡崎市医師会長あるいは愛知県小児科医会会長の職にあったが故に多くの会員の皆さん、あるいは行政はじめ関係する諸団体の皆さんのご理解とご協力に負うところが大であり、受賞についてはこうした方々にも心から感謝いたします。

瑞友会賞受賞して思ったことが一つあります。社会部門はともかく、基礎医学、臨床医学の研究に対する瑞友会賞は若い医師(研究者)の目標となりまた励みになり良い制度と思います。更に学生が卒業して研究への動機づけとなり医学・医療の発展につながると思います。更に真面目に勉学し優秀な成績で卒業する学生にと学生時代に社会的活動(ボランティア)をした学生に対し卒業式の時に「報奨金」を贈呈してはどうでしょうか。こうすることにより学生の同窓会に対する意識を高め同窓会活動にも積極的に参加することが期待できます。是非とも理事会でご検討をお願いします。

最後に受賞とは直接関係あませんが、名古屋市立大学医学部同窓会が昭和43年に新たに初代会長水谷孝文先生の下で発足した当時、理事(会計担当)を仰せつかり2期ほど務めさせていただきました。その後は評議員をしばらく仰せつかりましたが、あまり熱心な会員ではありませんでした。そうこうしている内に同窓会と言う文字が消え「瑞友会」となり組織も純粋な同窓会とは思えなくなり総会には出席しませんでした。会費が免除されていましたことは幸いでした。今回法人化に伴い正式名が「名古屋市立大学医学部同窓会」となり「瑞友会」は一般呼称として残りますが正式名称から外れたことは個人的には大変嬉しく、これからはできる限り総会に出席しようと思っています。

ここに改めて私の医師としての社会的活動を高く評価して頂いたことを感謝いたすとともに、齢80歳を少々過ぎたところであり、医師として働くことが出来る限り、子どもの幸せのために今後も頑張る所存です。皆様のご理解とご支援をお願いいたし受賞の御礼の言葉に代えさせていただきます。ありがとうございました。


杉浦 壽康氏 授賞理由

開業(1977年)当初より一貫して24時間365日診療を行っている。また愛知県小児科医会(会長)として、小児夜間救急に対応すべく電話相談事業を構築した。さらに、予防接種実施において全国に先駆けて「個別接種」と「広域予防接種」の実現に貢献し、1983年に岡崎市で麻疹と三種混合ワクチンの個別化を開始した。また、1996年から医療活動とは別に今日まで「不登校児童・生徒」のカウンセリングを行い、多くの子どもの学校復帰あるいは社会参加を可能にし、岡崎市教育委員会「いじめ不登校対策協議会」の副会長、会長として小児科医の立場から不登校問題に深く関わり成果を上げて来た。さらに、子どもの福祉の観点から、子どもの医療費公費助成と定期予防接種の公費助成について行政に強く働きかけ、愛知県内では早い持期に全額公費助成を実現させた。さらに、障害児教育または障害児福祉において小児科医の立場から保護者の相談に乗っている。

以上のように、地域医療の提供にとどまらない幅広い、革新的医療、さらに社会福祉に多大の無私の貢献をしてきた。