救急専門医研修コースプログラム 

A.   診療科の概要

1.    特色

年間2400人以上が救急車で搬入され、独歩来院する患者も年間1万人以上におよび軽症から重症まで様々な救急患者を経験することができる。当院の救急は多くの市中病院が行っているような研修医のみによる救急ではなく、救急車搬入患者は必ず救急専従医とともに診療にあたり指導体制が整っているとともに、大学病院の特性を生かして各科にコンサルトできる体制をとっている。現在のところ、ほぼER型救急(診断、初療、トリアージ)を行なっているが、蘇生後、急性中毒、環境障害(熱中症、低体温症)などは救急部が主科となり救急病棟で診療にあたっている。またメディカルコントロールの一環として救急隊症例検討会(月1回)を行っており、救急隊との「顔の見える関係」を築くとともに地域の救急隊のレベル向上を図っている。

 

2.    指導体制

1)       部長

2)       副部長1

3)       助手4

4)       臨床研究医3

 

3.    学会認定施設

日本救急医学会専門医認定施設

4.    研究会、サークル(診療、研究)等

1)       桜山ACLSコース(救急医学会ICLS認定コースで年5回)

2)       桜山BLSAEDコース(月2-3回)主催

 

B.   研修目標

1.    コースの目標

1)       専門医の取得に必要な臨床経験と技能の習得を考慮したプログラムとする。

2)       コースGIO

全科のcommon diseasecommon conditionに対処するとともに上級医や専門医に紹介できる能力を養い、すべての救急疾患と急性疾患の初期治療を行う事のできる技能を獲得し、救急認定医・専門医の取得を目指すために、指導医師のもと救急外来で経験を積み、各種講習会に参加し、必要に応じて関係各科をローテートする。

2.    ユニット構成(コースを構成する研修ユニット)と各ユニットのGIOSBO

1)       ユニット:一次および二次救命処置

GIO: 一次および二次救命処置を迅速的確に自分で行え、かつ指導できるようになる。

SBO 1:      救命処置の必要性の判断ができる

SBO 2:      救急医療システムをアクティブにできる

SBO 3:      気道内異物に対して適切な処置ができる

SBO 4:      気道確保と人工呼吸・心臓マッサージが適切にできる

SBO 5:      除細動の適応が判断でき安全に電気的除細動が行える

SBO 6:      蘇生に必要な薬剤が適切に使用できる

SBO 7:      心肺停止になった原因が判断できる

SBO 8:      蘇生中止の判断ができる

SBO 9:      心肺停止患者の家族に対して心情を理解し適切な配慮ができる

SBO 10:  異状死体の判断ができ、正しく届出ができる

SBO 11:  インストラクターとして一次および二次救命処置を指導できる

2)       ユニット:外傷重症度評価と初療

GIO: preventable trauma deathとならないような外傷の評価と診断・初療技術を身につける。

SBO 1:      外傷患者の呼吸・循環の状態について評価できる

SBO 2:      頚椎保護の重要性について理解している

SBO 3:      出血性ショックに対して評価・対応でき、手術適応の判断ができる

SBO 4:      preventable trauma deathの原因となる病態につき見逃しなく診察でき対処できる

SBO 5:      各傷病について専門医に適切にコンサルトできる

3)       ユニット:急性冠症候群の診断と初療

SBO 1:      急性冠症候群の病態について理解している

SBO 2:      急性冠症候群の診断と初療が適切にできる

SBO 3:      専門医に適切にコンサルトできる

4)       ユニット:脳卒中の診断と初療

SBO 1:      脳卒中の病態について理解している

SBO 2:      脳卒中の診断と初療が適切にできる

SBO 3:      専門医に適切にコンサルトできる

5)       ユニット:頻脈の診断と初療

SBO 1:      患者の状態が安定か不安定かの診断ができる

SBO 2:      診断に基づき適切な薬剤が使用できる

SBO 3:      cardioversionの適応が判断でき安全に施行できる

6)       ユニット:徐脈の診断と初療

SBO 1:      処置を必要とする徐脈かどうか判断できる

SBO 2:      診断に基づき適切な薬剤が使用できる

SBO 3:      経皮ペーシングの適応が判断でき安全に施行できる

7)       ユニット:急性中毒の診断と初療

8)       ユニット:環境障害(熱中症、低体温症)の診断と初療

9)       ユニット:急性呼吸不全の診断と治療

10)   ユニット:急性循環不全の診断と治療

11)   ユニット:急性腎不全の診断と治療

12)   ユニット:急性感染症の診断と治療

13)   ユニット:プレホスピタルケア・メディカルコントロールへの参加

14)   ユニット:大規模事故、災害時の対応

 

3.    取得できる資格

日本救急医学会認定医、専門医

 

C.   研修プログラム

1.    年次計画

 

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

1年次

SR1

市大病院 

救急部研修

2年次

SR2

他病院 

循環器科研修

他病院

ICU研修

他病院

外科・整形外科研修

3年次

SR3

他病院 

救急・ICU・麻酔科研修

 

2.    研修の場所

1)       市大病院

2)       他院

 

3.    アルバイト先、内容の概要

1)       外来

2)       当直

3)       健康診断

 

4.    日直・当直計画

1)       4回程度

2)       当直明けは原則として業務なし。

 

D.   研修修了後の進路について

1.    当院救急部で勤務

2.    他院救急部門へ赴任

3.    他科へ転科

 

以上