脳神経外科専門医研修プログラム
A.
診療科(部)の概要
1. 特色
脳神経外科では、主に脳血管障害(脳卒中)、脳腫瘍、頭部外傷、中枢神経系の先天異常・炎症性疾患・機能的疾患、脊髄・脊椎疾患などの診断と外科治療を行っています。一般市中病院では脳卒中、外傷などを対象とすることが多く、救急医療の中で中心的な役割を担っています。意識障害を伴った重症患者さんが多く、神経系のみでなく全身管理を行うための幅広い見識が必要で、脳神経外科を専攻することにより、種々の救急処置、輸液・栄養管理、呼吸循環管理、重症感染症の管理、高血圧・糖尿病など慢性疾患の管理、など医師としての総合的な能力を身につけることができます。
名古屋市立大学脳神経外科ホームページ http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/noge.dir/indexJ.htm
2. 指導体制
1) 部長 山田和雄 (教授)
2) 副部長 間瀬光人 (助教授)
3) 責任指導医 間瀬光人 (助教授)
4) スタッフ 梅村淳 (講師)
5) スタッフ 相原徳孝 (講師)
6) スタッフ 西尾実 (助手)
7) スタッフ 谷川元紀 (助手)
8) スタッフ 大蔵篤彦 (助手)
9) スタッフ 磯村健一 (助手)
10) スタッフ 岡 雄一 (助手)
3. 学会認定施設・標榜施設
1) 日本脳神経外科学会専門医訓練施設(A項):名古屋市立大学病院、東市民病院、豊川市民病院、蒲郡市民病院
2) 日本脳神経外科学会専門医訓練施設(C項):静岡医療センター、名鉄病院、掛川市立総合病院、社会保険浜松病院、公立尾陽病院、大隈病院、知多厚生病院、厚生連尾西病院、総合上飯田第一病院、菰野厚生病院、いなべ総合病院、厚生連足助病院、名古屋徳洲会病院
3) 日本脳卒中学会認定研修教育病院:名古屋市立大学病院、東市民病院、豊川市民病院、蒲郡市民病院、静岡医療センター、名鉄病院、掛川市立総合病院、社会保険浜松病院、公立尾陽病院、大隈病院、知多厚生病院、厚生連尾西病院、総合上飯田第一病院、菰野厚生病院、いなべ総合病院
4. 現在行っている新しい治療法
2004年の手術件数は381件で、これは全国的にみても大学病院として十分上位に位置する数字である。手術内容も開頭手術、定位脳手術、血管内手術、脊椎・脊髄手術、頸動脈手術などバラエティに富み、脳神経外科専門医をめざす人々の研修病院として、十分な機能を果たしています。とくに脳腫瘍摘出術72件、クリッピング術24件、血管内手術32件は脳神経外科研修として十分な件数であり、脳深部刺激電極設置術35件、低髄液圧症候群に対するBlood patch療法24件など他施設にはないユニークな治療法も行われています。
5. 特色とする医療の治療成績
1) 脳血管障害:
山田教授の専門領域である虚血性脳血管障害の外科治療(特に頸動脈狭窄症)においては症例も豊富でこの地区の中心的センターとなっている。
脳血管内手術症例も豊富で、脳動脈瘤、頸動脈狭窄症に対しては、症例に応じて直達手術または血管内手術いずれの方法も対応が可能である。
神経内科と共同で脳卒中センターを運営している
2) 脳腫瘍
聴神経腫瘍の手術においては耳鼻科との連携により聴力温存を重視した手術を行っている。
内視鏡を使用したより低侵襲な経鼻下垂体手術を行っている。
手術ナビゲーションシステム、覚醒手術により安全かつ最大限の摘出を目的としたグリオーマ手術を行なっている。
3) 頭部外傷
重症頭部外傷に対して、麻酔科との連携により各種モニタリングや脳低温療法を行なっている。
4) 機能的疾患
パーキンソン病をはじめとした各種不随意運動症や難治性疼痛の治療として神経内科と連携して脳深部刺激療法(DBS)を行っている。
6. 研究会、サークル
1) 入院患者症例検討会(週1回)
2) 術前症例検討会(週1回)
3) 英語での術後症例検討会(週1回)
4) 神経内科との合同カンファレンス・回診(週1回)
5) 英文雑誌抄読会(週1回)
6) 専門医試験勉強会(週1回)
7) 関連病院合同での手術手技研究会(年2回)
B.
研修目標
1. コース名とGIO
1) コース名: 名古屋市立大学病院脳神経外科 専門医研修コース
2) GIO: 脳神経外科専門医研修プログラムにおける最大の目標は、脳神経外科医として診療に必要な知識、技能、態度を身につけ脳神経外科専門医資格を取得することである。
2. ユニット構成
1) ユニット1:基本的事項
ユニットのGIO:以下の事項につき、適切に検査・処置を行い、診療に参加する。
SBO 1: 入院患者管理(病歴の聴取、神経学的検査、救急患者の診察、検査、治療の修得、確定診断および鑑別診断)
SBO 2: 術前、術後の管理(術前検査の分析、薬剤投与の指示、体位変換の指示、安静度の指示、輸液管理、合併症の管理(高血圧、糖尿病、心肺疾患等)
SBO 3: 退院時要約(外来通院までの計画作成および説明、紹介病院への回答)
SBO 4: 神経放射線学的検査(頭蓋、脊椎単純写、CT、MR、SPECT、PET、脳血管撮影、神経超音波検査)
SBO 5: 神経生理学的検査(脳波、誘発電位、頭蓋内圧測定 など)
SBO 6: 神経精神学的検査(知能検査など)
SBO 7: 神経内分泌学的検査(内分泌負荷テスト、内分泌補充療法)
2) ユニット2:基本的手技
ユニットのGIO:以下の手技につき、適切に実施できる。
SBO 1:
剃毛および消竃法
SBO 2:
無菌操作
SBO 3:
糸結びおよび糸切り
SBO 4:
縫合および抜糸
SBO 5:
中心静脈穿刺およびカテーテル挿入
SBO 6:
局所麻酔法
SBO 7:
手術体位および頭部固定
SBO 8:
脳室穿刺およびドレナージ術
SBO 9:
穿頭術
SBO 10:
開頭術
SBO 11:
脳室腹腔シヤント術
SBO 12:
陥没骨折整復術
SBO 13:
頭蓋形成術
SBO 14:
慢性硬膜下血腫手術
SBO 15:
CTガイド下定位的血腫吸引術
SBO 16:
手術用顕微鏡の操作法
SBO 17:
マイクロサージェリーの基本
SBO 18:
血管内手術の基本
SBO 19:
局所血栓溶解術
3. 取得できる資格
1) 脳神経外科専門医
2) 脳神経血管内治療専門医
3) 脊髄脊椎外科認定医
4) 脳卒中専門医
C.
研修プログラム
1. 原則的に3年次より大学院に所属して研修を行う。
2. 専門医研修は、症例数の豊富なA項訓練施設を中心としたローテーションを行う。これにより4年間で専門医試験に合格するに足る臨床経験を積むとともに学位取得のための臨床研究を行う。
3. 研修中は院外研修での収入も含めて生活するために十分な給与を保証する。
4. 年次計画表
卒後 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
1 |
2 |
3 |
3年次 |
市大病院または関連病院での脳神経外科研修 |
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4年次 |
市大病院または関連病院での脳神経外科研修 |
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5年次 |
市大病院または関連病院での脳神経外科研修 |
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6年次 |
市大病院または関連病院での脳神経外科研修 |
5. 研修場所
日本脳神経外科学会専門医訓練施設(A項):
名古屋市立大学病院、東市民病院、豊川市民病院、蒲郡市民病院
6. 週間スケジュール(市大病院)
|
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
午前 |
抄読会 手術 |
病棟診療 脳血管撮影 |
手術 |
病棟診療 |
症例検討会 手術 |
午後 |
手術 |
血管内手術 |
手術 症例検討会 専門医勉強会 |
病棟診療 |
手術 |
7. 院外研修
市大病院での研修中は週に1〜2日の関連施設での外来診療、手術応援など
8. 学会活動
研修期間中に、脳神経外科中部地方会、各種研究会での症例発表を必ず行う。さらに、日本脳神経外科学会など各種全国学会、国際学会での発表も奨励する(発表に対しては金銭的援助あり)。
9. 研修評価の方法、修了認定
研修期間中に専門医試験受験に必要な十分な臨床経験を積み、専門に試験に合格することで研修終了と認定される。
D.
大学院との関係
原則的に3年次より大学院に所属して研修を行う。
E.
研修修了後の進路
1. 研修終了後の進路としては、大学病院でさらにsubspecialityの研鑽を積む、一般市中病院に脳神経外科スタッフとして赴任する、留学など各人の希望を考慮する。
2. これまでの留学実績は、ロンドン大学神経学研究所、セントルイス大学、NY Mt. Sinai病院、ペンシルベニア大学、シカゴ大学、国立循環器病センターなど。