放射線科専門医研修コースプログラム

 

A.   診療科の概要

1.    特色

1)       放射線治療、画像診断、核医学、IVRなど、放射線医学分野は多岐にわたっています。また、全身の各臓器毎やモダリティー毎の専門性も高まっています。名古屋市立大学放射線科ではそれぞれの分野の専門医を揃えており、それぞれが高い水準にあります。当院放射線科研修では各専門分野をバランス良く研修することが可能です。また、個人の意志が尊重されており、希望に沿った専門分野の研修も可能です。

2)       大学、関連病院共に各診療科との連携が重視されており、良好な信頼関係が得られています。各診療科と情報交換をしながら、臨床に直結した患者サービスを目指しています。

3)       放射線治療機器、診断機器はめざましく進歩しています。大学、関連病院共に常に最新の機器を導入しており、最先端技術を駆使した医療サービスを行っています。特に、病巣部に集中する高精度放射線治療は手術と匹敵する成績が得られており注目されています。また、多彩なIVR手技は低侵襲性治療として重視されています。

4)       臨床研究にも力を入れており、研修期間中にも積極的に研究発表、論文作成を指導し、実践しています。

5)       放射線科専門医の要請は多く、人的不足から十分に対応できていない状況です。多くの放射線科専門医を養成することが、医療水準を上げ、患者様へのメリットにつながると考えています。

6)       有給の院外研修先が多く、収入面の安定は確保されています。また、女性の妊娠、出産に関しては相応の考慮を致します。

 

医局ホームページ:http://www5c.biglobe.ne.jp/~radon/

 

2.    指導体制

1)       部長                         芝本雄太  (教授)      専門:放射線治療、放射線生物学、放射線増感剤      

2)       副部長                      原 眞咲   (助教授)  専門:画像診断(胸部)、PET     

3)       責任指導医               荻野浩幸  (講師)      専門:IVR、放射線治療             

4)       スタッフ                     遠山淳子  (講師)      専門:核医学            

5)                                      北瀬正則  (助手)      専門:IVR、画像診断(躯幹部)

6)                                      白木法雄  (助手)      専門:画像診断(乳腺)、IVR

7)                                      小田京太  (助手)      専門:放射線治療

8)                                      大島秀一  (助手)      専門:画像診断(頭頚部、腹部)、IVR

9)                                      馬場二三八(助手)    専門:放射線治療

10)                                  森 雄司   (助手)      専門:画像診断(中枢神経)、IVR

11)                                  宮本顕彦  (助手)      専門:画像診断、放射線生物学

12)                                  鈴木宏昌  (助手)      専門:画像診断(造影剤)、IVR

 

3.    学会認定施設・標榜施設

1)       日本医学放射線学会 専門医修練機関 (放射線診断、放射線治療、核医学)

2)       日本放射線腫瘍学会 認定施設

3)       日本血管造影IVR学会 指導医修練施設

4)       日本超音波学会 超音波専門医研修施設

 

4.    現在行っている新しい治療法、診断法

1)       放射線治療: 定位放射線照射法(ライナックサージャリー)

IMRT(強度変調放射線治療)

ガンマナイフ

サイバーナイフ

トモセラピー(関連病院に日本第一号機)

2)       画像診断                  16列、64列マルチスライスCTによる多次元画像診断

1.5T3T MRIによる各種機能画像

3)       IVR                           リザーバー留置術 (肝臓、骨軟部腫瘍)

動脈瘤コイル塞栓術

頭頚部癌、膀胱癌に対する動注療法

CT透視による生検

 

5.    特色とする医療の治療成績

放射線治療:上記のような病巣に集中するピンポイント照射法で、I期非小細胞肺癌に対して手術に匹敵する治療成績が得られている。前立腺癌に対するIMRTでは、従来の6670Gyの治療線量から、78Gyまで安全に線量増加することに成功している。

 

6.    研究会、サークル 

1)       中部放射線治療研究会(Chubu Radiation Oncology Group, CROG)事務局

2)       東海先進放射線医学研究会 代表幹事

3)       名古屋レントゲンカンファレンス(年4回)事務局

4)       東海IVR懇話会

5)       東海神経放射線勉強会

 

B.   研修目標

1.    コース名とGIO

1)       コース名: 名古屋市立大学病院放射線科専門医研修コース

2)       GIO:診療科医師としての人間形成を図るとともに、放射線科専門医として臨床医療に貢献できるように、放射線医学領域における診断と治療の実地の知識および手技を修得する。

 

2.    ユニット構成

1)       ユニット1: 放射線治療

ユニットのGIO:放射線治療の基本的知識、技能を修得する。治療中及び治療後の患者管理を行えるようになる。

SBO 1:      放射線治療の生物学的効果を理解する。

SBO 2:      放射線治療の種類及びその適応を理解する。

SBO 3:      病態、病期にあった治療方法、線質、線量、期間を選択できるようになる。

SBO 4:      放射線治療の副作用を理解し、その防止方法や対応方法を習得する。

SBO 5:      放射線治療中及び治療後の患者管理に習熟する。

SBO 6:      カンファレンスにて病期にあった放射線治療適応につきrecommendできる。

2)       ユニット2: 画像診断

ユニットのGIO:画像診断の基本的知識、技能を修得し、病態にあった適切な画像診断を選択でき、臨床医師に有用な画像診断を提供できるようになる。

SBO 1:      放射線被曝について学習し、その対応方法を理解する。

SBO 2:      放射線画像の種類、特性、特色を理解する。

SBO 3:      全身の正常解剖を記憶し、各種画像での表現形態を理解する。

SBO 4:      単純X線写真の成り立ちを理解し、基本的読影技術を身につける。

SBO 5:      CTMRI技術の基礎を学習し、その画像の成り立ちを理解する

SBO 6:      CTMRI検査にて病態にあった適切な撮像方法、造影方法を習熟する。

SBO 7:      CTMRIにおいて三次元画像表示を理解し、病態にあった適切な画像処理を行う。

SBO 8:      CTMRIの読影レポート作成の修練を行う。

SBO 9:      超音波検査の基礎的知識を理解し、検査技能、画像解釈を習熟する。

SBO 10:  胃透視、注腸造影、下肢静脈造影などの基礎的透視検査を行い、その画像診断を行うことができる。

SBO 11:  カンファレンスにて、読影を行い、発表することができるようになる。

 

3)       ユニット3: 核医学

ユニットのGIO:核医学の基本的知識、技能を修得し、病態にあった適切な検査を選択でき、臨床医師に有用な情報を提供できるようになる。

SBO 1:      核医学の生物学的効果について学習する。

SBO 2:      核医学薬剤の取り扱い方法を理解し、安全に検査を行うことができる。

SBO 3:      目的にあった、核医学検査、使用薬剤を選択できるようにする。

SBO 4:      使用薬剤毎の画像の成り立ちを理解し、その正常像を認識する。

SBO 5:      核医学読影レポート作成の修練を行う。

 

4)       ユニット4: IVR

ユニットのGIOIVRの基本的知識、技能を修得する。 病態にあった適切なIVRを選択し、安全に施行できる技能を修得できるようになる。 また、IVRの術前後管理を行えるようになる。

SBO 1:      IVR手技の種類及び適応疾患を理解する。

SBO 2:      術前の患者診察・説明及び、画像データ、血液データの評価をできるようにする。

SBO 3:      血管系のIVRでは、血管造影の基本的手技を身につけ、シース、カテーテル、マイクロカテーテルなどの使用方法を身につける。

SBO 4:      動注薬剤や塞栓物質の種類と薬効を理解し、適切に用いることができる。

SBO 5:      血管ステントや血管内バルーン拡張の仕組みを理解し、適切に用いることができる

SBO 6:      緊急の血管造影、血管内止血術の適応を理解し、迅速に安全に手技を行う。

SBO 7:      胆道系IVRを理解し、PTCDや胆道ステント留置を行う。

SBO 8:      門脈や静脈系のIVR PTOBRTOなど)を理解し、その手技を行う。

SBO 9:      CTUSをガイドとして生検 (肺、骨、軟部、リンパ節など)や、ドレナージ手技を行う。

SBO 10:  カンファレンスにて、病態にあったIVRrecommendできるようになる。

 

3.    取得できる資格

1)       放射線科専門医(放射線診断、放射線治療)

2)       日本放射線腫瘍学会認定医

3)       日本血管造影IVR学会指導医

 

C.   研修プログラム

1.    年次計画表

卒後

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

3年次

大学病院での研修

 

4年次

大学病院での研修

或いは関連病院での研修

5年次

大学病院での研修

或いは関連病院での研修

 

2.    研修場所

1)       名古屋市立大学病院

2)       関連病院:名古屋第二日赤病院、刈谷総合病院、名古屋共立病院、帯広北斗病院、津島市民病院、岡崎市民病院、豊川市民病院、成田記念病院、愛知県がんセンター愛知病院、東市民病院、市立城北病院、緑市民病院、市立城西病院、守山市民病院、厚生連尾西病院、名古屋市総合リハセン、NTT西日本東海病院、いなべ総合病院、菰野厚生病院、公立尾陽病院、小林記念病院、三嶋内科病院、東海産業医療団中央病院、半田市医師会健診センター、西尾市検診センターなど

 

3.    週間スケジュール (例)

 

午前

CT検査

読影

放射線

治療外来

IVR

放射線

診断・IVR外来

CT検査

読影

午後

MRI検査

読影 

放射線

治療計画

超音波検査

関連病院での

研修(読影)

病棟

1)       夕方には、ほぼ毎日各診療科とのカンファレンスが行われています。

2)       また、放射線科内の読影検討会は毎日随時行われています。

 

4.    院外研修

1)       画像診断: 関連病院での画像読影、レポート作成する。

2)       IVR: 関連病院にて常勤医と共に手技を担当する。

3)       放射線治療: 関連病院の放射線治療装置を用いた治療計画と患者の診察を行う。

 

5.    学会活動

1)       3年次より国内学会はもとより、国際学会に積極的に参加、発表している。

2)       研修期間中に最低でも国内発表:中部地方会3回、全国的学会2回、国際学会発表1回、論文発表1編を行う。

3)       国内学会                           日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会、日本核医学会、日本血管造影・インターベンショナルラジオロジー学会、日本超音波医学会、日本肺癌学会、日本磁気共鳴医学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本放射線影響学会、日本脳腫瘍学会、日本定位放射線治療学会、日本脈管学会、日本画像医学会など

4)       国際学会

ASTRO (American Society for Therapeutic Radiology and Oncology)

RSNA (Radiological Society of North America)

ECR (European Congress of Radiology)

ESTRO (European Society for Therapeutic Radiology and Oncology)

SNM (Society of Nuclear Medicine)

International Congress of Radiology, International Congress of Head and Neck Radiology, SMRM (Society of Mag. Reson. in Med.), ARRS (American Roentgen Ray Society), ASNO (Asian Society of Neurooncology) Fleischner's Society, WCTI (World Congress of Thoracic Imaging), ISSInternational Skeletal Society

日韓放射線学会など

5)       研究会

頭頚部放射線研究会、胸部放射線研究会、腹部放射線研究会、骨軟部放射線研究会、救急放射線研究会,心血管放射線研究会,三次元CTMRI研究会,医用画像認知研究会,胸部CT検診研究会,胸部放射線診断を語る会,国際癌治療増感研究会、高精度放射線治療研究会など

 

6.    研修評価の方法、修了認定

指導医による観察記録に基づき、放射線科専門医合格レベルを修了認定とします。

 

D.   大学院との関係

希望により専門医研修期間内でも随時入学可能です。

 

E.   研修修了後の進路

1.    関連病院での常勤医

2.    大学病院の研究医或いは助手

3.    大学院

4.    開業 (遠隔画像診断など)

5.    海外留学

 

以上