眼科専門医研修コースプログラム

 

A.   診療科の概要

1.    特色

 

2.    指導体制

1)       部長                         小椋祐一郎(教授)

2)       副部長                      吉田宗徳(助教授)

3)       責任指導医               山田 潔(助手)

4)       スタッフ                     櫻井英二(講師)

5)                                      野崎実穂(学内講師)

6)                                      西脇晶子(助手)

7)                                      森田 裕(助手)

8)                                      加藤亜紀(助手)

9)                                      倉知 豪(助手)

10)                                  平野佳男(助手)

 

3.    学会認定施設・標榜施設

1)       日本眼科学会認定施設

名古屋市立大学、名古屋市立東市民病院、名古屋市立城北病院、名古屋市立緑市民病院、名古屋市立守山市民病院、津島市民病院、常滑市民病院、東海産業医療団中央病院、厚生連加茂病院、厚生連尾西病院、知多厚生病院、菰野厚生病院、大同病院、名古屋徳州会総合病院、いなべ総合病院、亀山市立医療センター など

 

4.    現在行っている新しい治療法

1)       加齢黄斑変性症に対する光線力学的療法(Photodynamic therapy, PDT

加齢黄斑変性(age-related macular degeneration, AMD)は、黄斑部網膜下の脈絡膜から病的な新生血管(=脈絡膜新生血管 choroidai neovascularization, CNV)が生ずる疾患で、欧米をはじめ我が国でも中途失明の原因疾患としてとても重要でその治療法が世界で研究されています。PDTAMDに対する治療法のひとつで、海外ではすでに多数例の実績があり、有望な治療法として日本への導入が待たれていました。そのPDT20045 月に日本国内でもようやく認可され、名古屋市立大学では中部地方で最初にPDTを導入し、以後症例が増えつつあります。

 

2)       網膜硝子体手術

増殖糖尿病網膜症、増殖性硝子体網膜症、黄斑円孔、黄斑上膜など、難治の網膜硝子体疾患に対して積極的に硝子体手術を行っており、良好な成績が得られています。

また、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎などによる黄斑浮腫に対する硝子体手術や、トリアムシノロンアセトニドの硝子体内注射・テノン嚢下注射を行っています。

 

3)       その他

白内障手術をはじめ、緑内障領域では開放隅角緑内障に対する選択的線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty, SLT)や、難治性の緑内障に対して毛様体レーザー光凝固術を行っています。小児眼科では、未熟児網膜症に対するレーザー網膜光凝固術を行っています。

 

5.    特色とする医療の治療成績

1)       PDT:約50例(20046月〜20055月)

2)       硝子体手術:約320例(年間平均、以下同)

3)       白内障手術:約450

4)       緑内障手術:約60

5)       網膜剥離手術:約20

6)       角膜移植:約5

7)       その他:約50

 

6.    研究会、サークル 

1)       名古屋市立大学眼科オープンカンファレンス

3か月に1回、金曜日の18時から、国内外で活躍されている先生をお招きし、ご講演いただきます。

2)       硝子体フォーラム

1回、白樺湖周辺などのリゾート地を会場として、網膜硝子体疾患をメインとした研究会が行われます。

 

B.   研修目標

1.    コース名とGIO

1)       コース名: 名古屋市立大学病院眼科専門医研修コース

2)       GIO: 眼科医として診療に必要な知識と技能、態度を身につけ日本眼科学会認定眼科専門医資格を取得する。

2.    ユニット構成

1)       ユニット1:基本的知識

ユニットのGIO:眼科疾患を理解するために基本的知識を習得する。

SBO 1:      視覚に関わる臓器・組織の構造と機能について説明できる。

SBO 2:      視覚器の発生と分化について説明できる。

SBO 3:      視力、視野および眼圧の概念を理解し説明できる。

 

2)       ユニット2:基本的診察法

ユニットのGIO:眼科診療において的確な診察ができるように知識・技能を習得する。

SBO 1:      患者の問診、病歴が的確に行うことができる。

SBO 2:      眼位・眼球運動の所見をとることができる。

SBO 3:      細隙灯顕微鏡を使い、前眼部の所見をとることができる。

 

3)       ユニット3:基本的検査法

ユニットのGIO:必要に応じて自ら検査を実施あるいは指示し、結果の解釈ができるようになるために眼科的な臨床検査法とその意義を習得する。

SBO 1:      他覚的および自覚的屈折検査を行うことができる。

SBO 2:      眼圧検査を行うことができる。

SBO 3:      眼底検査を行うことができる。

SBO 4:      調節検査を行うことができる。

SBO 5:      動的および静的視野検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 6:      色覚検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 7:      光覚検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 8:      両眼視機能検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 9:      眼球突出度を計測することができる。

SBO 10:  角膜曲率半径を計測することができる。

SBO 11:  涙液分泌検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 12:  網膜電図検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 13:  超音波検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 14:  角結膜塗抹標本検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 15:  暗順応検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 16:  角膜内皮細胞検査

SBO 17:  眼科写真撮影(前眼部、眼底)を行うことができる。

SBO 18:  フルオレセインおよびインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査を行い、結果を評価することができる。

SBO 19:  光干渉断層撮影を行い、結果を評価することができる。

SBO 20:  視覚誘発電図の結果を評価することができる。

 

4)       ユニット4:基本的治療法

ユニットのGIO:的確な処置・治療を行い管理できるようになるために基本的な治療法を習得する。

SBO 1:      点眼処置を行うことができる。

SBO 2:      眼軟膏処置を行うことができる。

SBO 3:      涙嚢洗浄を行うことができる。

SBO 4:      睫毛抜去を行うことができる。

SBO 5:      薬剤の球結膜下注射・球後注射ができる。

SBO 6:      結膜異物除去ができる。

SBO 7:      角膜異物除去ができる。

SBO 8:      眼鏡処方ができる。

SBO 9:      コンタクトレンズ処方できる。

 

5)       ユニット5:基本的手術法

ユニットのGIO:基本的な眼科手術を自らあるいは指導医のもとで執刀できるようになるために知識・技能を習得する。

SBO 1:      眼科手術における消毒法を理解し実践できる。

SBO 2:      眼科手術顕微鏡の原理・構造を理解し駆使できる

SBO 3:      各種眼科手術機械の使用法を理解できる。

SBO 4:      外眼部・前眼部の手術(マイボーム腺梗塞切開術、麦粒腫切開術、霰粒腫摘出術、眼瞼内反症手術、翼状片手術)を行うことができる。

SBO 5:      レーザー治療(網膜光凝固術、虹彩切開術、後発白内障切開術)を行うことができる。

SBO 6:      白内障手術(超音波白内障乳化吸引術、眼内レンズ挿入術)を行うことができる。

SBO 7:      緑内障手術(毛様体レーザー光凝固術)を行うことができる。

 

6)       ユニット6:高度な手術

ユニットのGIO:指導医が施行するのを助手を務めながら観察し、その手技・結果を理解する。

SBO 1:      角膜移植術(表層移植、全層移植)

SBO 2:      白内障手術(水晶体嚢内摘出術、水晶体嚢外摘出術、眼内レンズ毛様体逢着術)

SBO 3:      緑内障手術(虹彩切除術、線維柱帯切開術、線維柱帯切除術)

SBO 4:      網膜剥離手術

SBO 5:      硝子体手術

SBO 6:      その他の手術(眼球摘出術、斜視手術、穿孔性眼外傷に対する手術)

 

7)       周術期管理

ユニットのGIO:術前・術中・術後管理を的確に行うことができようになるために患者の状態を把握する。

SBO 1:      手術適応および術式を理解できる。

SBO 2:      術前処置を自ら実施あるいは指示できる。

SBO 3:      術中の全身状態を把握できる。

SBO 4:      術後合併症の早期診断ができ、適切に対処できる。

 

3.    取得できる資格

日本眼科学会専門医

 

C.   研修プログラム

日本眼科学会専門医資格を取得するためには、平成164月から厚生労働省の定める卒後臨床研修を開始した場合、2年間の卒後臨床研修と4年以上の眼科臨床経験、すなわち卒後臨床研修も含めて6年以上の臨床経験を行う必要があります。

 

詳細は日本眼科学会ホームページ(http://www.nichigan.or.jp/index.jsp)をご覧ください。

 

1.    年次計画表

卒後

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

3年次

市大病院または関連病院での眼科研修

4年次

市大病院または関連病院での眼科研修

5年次

市大病院または関連病院での眼科研修

6年次

市大病院

または

関連病院での眼科研修

専門医試験

 

 

2.    研修場所

名古屋市立大学、名古屋市立東市民病院、名古屋市立城北病院、名古屋市立緑市民病院、名古屋市立守山市民病院、津島市民病院、常滑市民病院、東海産業医療団中央病院、厚生連加茂病院、厚生連尾西病院、知多厚生病院、菰野厚生病院、大同病院、名古屋徳州会総合病院、いなべ総合病院、亀山市立医療センター など

 

3.    週間スケジュール

 

午前

外来

手術

(外来)

外来

手術

(外来)

外来

午後

緑内障外来

術前カンファレンス

手術

網膜外来

手術

総回診

医局会

症例検討会など

 

4.    院外研修

各研修施設がそれぞれ臨床の特徴をもち、様々な臨床研修を行うことが可能です。

 

5.    学会活動

臨床研修医・臨床研究医の段階で、地方会など比較的小規模な学会で筆頭演者として発表を行い、以後状況に応じて全国学会、国際学会での発表を行うことになります。

 

6.    研修評価の方法、修了認定

1)       指導医評価報告書

2)       目標経験症例数など

眼科手術100例以上(外眼手術、内眼手術、およびレーザー手術が、それぞれ執刀者として20例以上を含む)に関与すること。

眼科に関する論文を単独または筆頭著者として1篇以上発表すること。

学会報告を演者として2報以上発表すること。

 

D.   大学院との関係

本人の意志・希望を尊重しますが、基本的に入学はいつでも可能です。

 

E.   研修修了後の進路

1.    市大病院勤務(助手)

2.    関連病院への赴任

3.    大学院への進学  など

以上