呼吸器内科 専門医研修コースプログラム
A. 診療科の概要
1.
特色;
温かく、熱意ある指導医が、呼吸器内科医をめざすあなたの後期臨床研修をサポートします。【関連病院群での研修】名古屋市立大学病院と充実した関連病院において研修することで、第一線医療から高度医療まで経験できます。異動しても、名古屋市内および名古屋近郊に密集しているため便利です。呼吸器疾患は、腫瘍、感染症、免疫・アレルギー性疾患、環境・産業性疾患など疾患群は多岐にわたり、いずれも重要疾患、common diseaseを含みます。専門医になるために、単に症例を経験するだけでなく、臨床に深く習熟できるよう、関連病院全体で研究会、症例検討会など多くの機会を設けています。さらに実地医療に加え、学会活動、臨床試験、研究とバランスのとれた構成で、専門医をめざすあなたをサポートし、研修後も活躍の場を提供します。教育関連病院以外にも多数の関連病院があり、勤務医師、開業医師、大学教員、研究者はもちろん、そのほかにも行政、公衆衛生、疫学、病理学、予防医学など多彩なフィールドで先輩たちは活躍しています。
2.
指導体制 (名古屋市立大学病院)
1) 部長 佐藤 滋樹 (責任指導医・助教授)
2) 副部長 中村 敦 (講師)
3) スタッフ
新美 岳 (学内講師)
前田 浩義 (助手)
小栗 鉄也 (助手)
丹羽 俊朗 (臨床研究医)
加藤 高志 (臨床研究医)
村松 秀樹 (臨床研究医)
宮崎 幹規 (臨床研究医)
森田 博紀 (臨床研究医)
加藤 宗博 (臨床研究医)
高野 裕子 (臨床研究医)
石井 明子 (臨床研究医)
4) 留学
阿知和宏行 (アメリカ)
大学院生
沓名健雄
前野健
鈴木勇史
衣斐寛倫
坂本英雄
3.
学会認定施設・標榜施設
1)
名古屋市立大学病院
日本呼吸器学会認定施設
日本呼吸器内視鏡学会認定施設
日本臨床腫瘍学会認定施設
2)
【教育関連病院】
日本呼吸器学会認定施設
愛知県がんセンター、愛知県立尾張病院、旭労災病院、春日井市民病院、岐阜県立多治見病院、大同病院、東海市民病院、豊川市民病院、名古屋市厚生院、名古屋市立城北病院、名古屋市立緑市民病院、名古屋第二赤十字病院
日本呼吸器内視鏡学会認定・関連認定施設
愛知県がんセンター、愛知県立尾張病院、旭労災病院、遠州総合病院、春日井市民病院、大同病院、東海市民病院、豊川市民病院、名古屋第二赤十字病院
|
4.
現在行っている新しい診療法とその概要
1)
仮想内視鏡をナビーゲーターとした極細径気管支鏡による肺末梢微小病変の診断
2)
局所麻酔下胸腔鏡による診断困難胸腔疾患へのアプローチ
3)
リアルタイム超音波気管支内視鏡を用いた肺門縦隔病変の診断の確立;正確な肺がん病期診断
5.
研究会等
1)
主催
名古屋肺フォーラム; 天理よろず相談医学研究所病理科の小橋陽一郎先生を迎えて
肺のclinico-pathological conference
名古屋呼吸器研究会; 全国の高名な先生を特別講師とした、呼吸器臨床の研究会
気管支鏡治療セミナー; 最新の気管支鏡治療に関する症例検討、講演
さくらやま呼吸器/感染症フォーラム; 呼吸器感染症に関する症例検討、話題提供
名古屋分子呼吸器研究会(名古屋大学との共催); 分子レベルの診断、治療をめざす
非定型抗酸菌症研究協議会(全国);非結核性抗酸菌症に関する研究会、事務局
など
2)
愛知4大学の共催
東海喘息研究会、成人喘息研究会、東海呼吸器疾患研究会、東海呼吸器感染症研究会、
RTI(Respiratory Tract
Infection)研究会、COPDテオフィリン研究会、
東海抗菌化学療法研究会、東海院内感染対策フォーラムなど多数
B. 研修目標
1.
コースGIO
1)
臨床医として患者様、他科医師から信頼されるエキスパートとなること。これを基盤に、臨床、地域医療、研究、予防医学などいずれのフィールドにおいても、呼吸器病学の発展に寄与する人材を育成すること。
2)
日本呼吸器学会、日本呼吸器内視鏡学会のカリキュラムに沿う。
3)
Medical
oncologistをめざす人はさらに、日本臨床腫瘍学会のカリキュラムも習得が必要。
4)
そのほかの、subspecialtyは、各専門学会のカリキュラムがある。
2.
日本呼吸器学会
1)
申請時において4年以上継続して本学会の会員であること。
2)
この規則により認定された認定施設において、本学会所定の研修カリキュラムに従い 日本内科学会認定内科医資格取得した年度も含めて3年以上、呼吸器病学の臨床研修を行い、これを終了した者。
3)
非喫煙者であること。
3.
日本呼吸器内視鏡学会
1)
日本国の医師免許証を有し,医師としての識見を備えていること.
2)
申請時において,計5年以上本法人会員であること.
3)
認定施設,又は別に定める関連認定施設の指導医のもとで,所定のカリキュラムを
4)
修了し,気管支鏡専門医としての技能及び経験を有していること.
5)
気管支鏡診療実績(経験症例計100例以上,術者20例を含む)を証する指導医の証
6)
明書
4. 日本臨床腫瘍学会
1)
申請時において2年以上継続して本学会の会員であること.
2)
2. 医師国家試験合格後2年の初期研修を終了した後に5年以上のがん治療の臨床研修を
3)
行っていること.(基礎系大学院の期間は臨床研修の対象としない)
4)
この規則により認定された研修認定施設において、本学会所定の研修カリキュラム
5)
に従い2年以上、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の臨床研修を行い、これを修
6)
了した者.(ただし、海外にて研修、教育を受けた者については別項審査する)
7)
各科の基本となる学会(例:日本内科学会、日本外科学会など)の認定医あるいは
8)
専門医の資格を有していること.
5.
取得できる資格:
1)
日本内科学会; 認定内科医、専門医
2)
日本呼吸器学会; 専門医、指導医
3)
日本呼吸器内視鏡学会; 専門医、指導医
4)
日本臨床腫瘍学会; 専門医、指導医
5)
日本感染症学会; 専門医
6)
日本化学療法学会; 臨床試験指導者
7)
インフェクションコントロールドクター
8)
日本アレルギー学会; 専門医
など
6.
ユニット構成
1)
ユニット1:レントゲン診断
ユニットGIO:呼吸器疾患の診断、管理に最も重要な検査は胸部単純X線写真をはじめとするレントゲン検査である。患者様に余分な検査、治療を行わないために、精細なレントゲン読影ができるようにする。
SBO 1: 胸部単純X線写真、CT、MRIに現れる正常陰影が説明できる。
SBO 2: 異常陰影の構成機序を理解する。
SBO 3: 異常サインを列記できる。
SBO 4: CT、MRI、シンチグラフ、PETを適切にオーダーし、解釈できる。
2)
ユニット2:各種検査
ユニットGIO:喀痰検査および呼吸器疾患の診断、管理に有用な各種血液検査をよく理解し、また、呼吸機能検査を適切に利用できる。
SBO 1: 喀痰細菌検査、抗酸菌検査(含む遺伝子検査)、喀痰細胞診を適切に、オーダー、解釈する。一部は自分でできる。
SBO 2: 呼吸器疾患診断、管理に有用な各種血液検査を適切に、オーダー、解釈する。
SBO 3: 基本的な呼吸機能検査を行える。
SBO 4: 気道過敏性試験などスパイロメトリー以外の呼吸機能検査について理解する。
3)
ユニット3:呼吸器内視鏡検査
ユニットGIO:気管支鏡に十分習熟し、患者様に苦痛の少ない検査を施行できるようにする。
SBO 1: 気管支鏡トレーニングモデルを使用し、正常解剖を理解し、気管支鏡操作に習熟する。
SBO 2: 気管支鏡の直視異常所見を理解する。
SBO 3: 透視下の気管支細胞診、経気管支肺生検を行うことができる。
SBO 4: 極細径気管支鏡、超音波気管支内視鏡など先進機器について理解する。
SBO 5: 診断困難胸膜疾患に対する局所麻酔下胸腔鏡の適応を理解する。
4)
ユニット4:呼吸不全、呼吸管理
ユニットGIO:呼吸不全の原因、基礎疾患と、初期の兆候を知り、呼吸不全を早期に発見する。レスピレーターの使用方法を含めて、呼吸不全患者の呼吸管理ができるようにする。
SBO 1: 慢性肺疾患患者において、呼吸不全を悪化させないよう、予防処置ができる。
SBO 2: 急性呼吸不全、慢性呼吸不全の急性増悪の対処ができる。
SBO 3: 在宅酸素療法の適応を理解し、管理ができる。
SBO 4: 非侵襲的人工呼吸の適応を理解し、管理ができる。
SBO 5: レスピレーターの装着と管理ができる。
5)
ユニット5:包括的治療
ユニットGIO:COPDなど慢性肺疾患のなかには、リハビリテーションなど様々な医療スタッフでチーム医療を行うことが必要となる。各部門と医療計画を策定し、診療ができるようにする。
SBO 1: 包括的医療の意義を理解する。
SBO 2: リハビリテーション、薬剤、栄養、看護などの部門の役割を理解する。
SBO 3: 各部門と調整し、治療計画を立てられる。
SBO 4: 在宅酸素療法の適応を理解し、管理ができる。
6)
ユニット6:緩和医療
ユニットGIO:肺がんなど悪性疾患の治療において、疼痛緩和、呼吸困難緩和、QOL向上は重要である。身体的のみでなく、精神的にも緩和医療を実践できるようにする。
SBO 1: 緩和医療の意義を理解する。家族の立場にも立てる。
SBO 2: 疼痛コントロールに習熟する。
SBO 3: palliativeな放射線療法、化学療法の適応を知る。
SBO 4: サイコオンコロジーについて理解し、実践できる。
SBO 5: (すべてのユニットについて)患者の社会面に配慮し、適切な社会制度を紹介できる。
7)
ユニット7:感染症・結核
ユニットGIO:呼吸器感染症を診断し、他者への感染を防御するとともに、エンピリックセラピーを適切に開始できる。
SBO 1: 呼吸器感染症の原因菌を理解する。グラム染色ができる。
SBO 2: トリアージュができる。
SBO 3: 血清診断、PCR、痰の細菌検査などがオーダーできる。
SBO 4: エンピリックセラピーが開始できる。
SBO 5: 適切な感染防御ができる。
8)
ユニット8:免疫・アレルギー性疾患
ユニット GIO:呼吸器のアレルギー疾患を理解し、気管支喘息の管理、救急対応ができる。
SBO 1: 免疫・アレルギー性疾患を列記できる。
SBO 2: ガイドラインに沿った気管支喘息の診断、管理ができる。
SBO 3: 気管支喘息の救急対応ができる。
SBO 4: 過敏性肺臓炎の診断と管理ができる。
SBO 5: 好酸球性肺炎の診断と管理ができる。
9)
ユニット9:腫瘍性疾患
ユニットGIO:肺がんの鑑別診断、病期診断、治療について方針が立てられ、実践できる。
SBO 1: 喀痰細胞診、気管支鏡などにより、肺がんの確定診断ができる。
SBO 2: CT、MRI、PETのオーダー、解釈ができ、正確な病期診断ができる。
SBO 3: 放射線科医、外科医と集学的治療についてディスカッションできる。
SBO 4: 肺がんに対して、最適な化学療法を選択できる。
SBO 5: 転移性肺がんについて、他科からのコンサルトに対応できる。
10)
ユニット10:びまん性肺疾患
ユニットGIO:特発性間質性肺炎、サルコイドーシスについて、診断ができ、適切な管理ができる。
SBO 1: 特徴的なレントゲン像を理解し、診断への適切なアプローチができる。
SBO 2: 気管支鏡、VATS(胸腔鏡下肺生検)の意義を知っている。
SBO 3: 長期管理を理解する。
SBO 4: 特発性間質性肺炎の急性増悪に対応できる。
SBO 5: 関連疾患として、膠原病肺について説明できる。
11)
ユニット11:環境、産業性疾患
ユニットGIO:呼吸器疾患は生活歴、職業歴により発症することがあるが、その最も代表的な疾患である、COPD、じん肺について習熟する。
SBO 1: 環境、職業歴とさまざまな呼吸器疾患との関連を理解し、適切な生活歴調査ができる。
SBO 2: 喫煙の影響を説明でき、禁煙指導ができる。
SBO 3: COPDを発見、診断できる。
SBO 4: COPDの長期管理ができる。
SBO 5: COPDの急性増悪に対応できる。
SBO 6: じん肺の特徴的なレントゲン像を理解する。
SBO 7: 法的な事項も含め、じん肺を管理できる。
12)
ユニット12:胸膜の疾患
ユニットGIO:一般に気胸を除いて、胸膜の疾患は、診断が困難なことが多いが、種々の検査を組み合わせ、できるだけ低侵襲性に診断することをめざす。
SBO 1: CT、エコーなど組み合わせ、胸膜疾患の存在を判定する。
SBO 2: 胸水検査、胸膜生検ができる。
SBO 3: トロッカー留置ができる。
SBO 4: 局所麻酔下胸腔鏡による診断困難胸腔疾患へのアプローチを理解する。
13)
ユニット13:臨床試験
ユニットGIO:臨床試験の意義を理解し、適切なインフォームドコンセントを行い、臨床試験、治験を実践できる。
SBO 1: 臨床試験、治験の意義を理解する。
SBO 2: 臨床試験、治験の手順を正しく把握する。
SBO 3: 患者様に正しくインフォームドコンセントができる。
SBO 4: 日常診療との差を理解し、適正に臨床試験、治験が実施できる。
C. 研修プログラム
1.
年次計画表: 卒後3-5年
1)
R-1. 必修研修で、認定内科医取得のための症例が経験済みで、内科ローテートを希望しない人
卒後 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
1 |
2 |
3 |
3年次 |
市大病院 呼吸器内科研修 |
市大病院 呼吸器外科 |
市大病院 呼吸器内科研修 |
|||||||||
4年次 |
A病院 呼吸器内科研修 |
|||||||||||
5年次 |
A病院 呼吸器内科研修 |
呼吸器外科ローテートの時期は固定ではありません。
大学病院では、膠原病内科も経験可能です。
2)
R-2. 認定内科医取得のための症例が不足で、内科ローテートを希望する人
大学病院では、膠原病内科も経験可能です。
卒後 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
1 |
2 |
3 |
3年次 |
市大病院 呼吸器内科研修 |
市大病院 内科希望科 |
市大病院 内科希望科 |
市大病院 呼吸器外科 |
||||||||
4年次 |
A病院 呼吸器内科研修 |
|||||||||||
5年次 |
A病院 呼吸器内科研修 |
3)
R-3. 将来medical
oncologistをめざす人
卒後 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
1 |
2 |
3 |
3年次 |
市大病院 呼吸器内科 |
市大病院 消化器内科 |
市大病院 血液内科 |
市大病院 精神科(SO) |
市大病院 乳腺外科 |
市大病院 呼吸器外科 |
||||||
4年次 |
B病院 (推奨; 愛知県がんセンター) 呼吸器内科研修 |
|||||||||||
5年次 |
B病院 (推奨; 愛知県がんセンター) 呼吸器内科研修 |
ローテート科の時期は固定ではありません。
2.
研修の場所(施設名、診療科名、複数ある場合はそのリスト)
1)
名古屋市立大学病院 (呼吸器内科、呼吸器外科、消化器内科、血液内科、精神科、乳腺外科)
2)
日本呼吸器学会認定施設
愛知県がんセンター、愛知県立尾張病院、旭労災病院、春日井市民病院、岐阜県立多治見病院、大同病院、東海市民病院、豊川市民病院、名古屋市厚生院、名古屋市立城北病院、名古屋市立緑市民病院、名古屋第二赤十字病院
3.
週間スケジュール(外来、カンファレンス等)
|
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
午前 |
|
|
気管支鏡 |
気管支鏡 |
|
午後 |
|
|
|
部長・副部長回診 |
|
夕 |
症例 検討会 |
チェストカンファレンス(第3) |
内科 教室会議 |
(research meeting) |
|
内科外来撮影分のレントゲン読影は毎日
D. 学会活動
1)
3年間で地方会発表2回以上
2)
3年間で論文発表1回以上
E. 研修修了後の進路について
1.
大学院進学 (5年次より入学・兼務もありうる)
2.
大学スタッフ、教員/研究者
3.
関連病院勤務医師
4.
開業医師
5.
行政 (県職、市、保健所)
6.
予防医学、産業医 (名古屋簡易保険健診センターなど)
7.
基礎医学 病理学、疫学など実績あり (病理学教室よりアメリカ留学中あり)
など